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Access Accepted第838回:gamescom 2025で取材しきれなかったが,注目してほしいインディーゲーム5選
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印刷2025/09/08 12:00

業界動向

Access Accepted第838回:gamescom 2025で取材しきれなかったが,注目してほしいインディーゲーム5選

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 2024年には,Steamだけで前年比25%アップとなる1万8647本ものゲームがリリースされたといわれる。開発ツールが安価になったことでインディーシーンがさらなる盛り上がりを見せている結果といえるが,8月に開催されたgamescom 2025では,その膨大な量ゆえ,すべてを取材できなかった。今回はそんな期待作にスポットライトを当てておきたい。


膨大な作品群のため,もはや取材しきれないインディーゲーム


 8月下旬にドイツのケルンで開催されていたgamescom 2025のポストモーテムは,「第837回:gamescom 2025つれづれ。ラテンアメリカから東南アジアまで,広がる見本市の国際化」でまとめている。「押さえるべき話題作をほぼ網羅できた」とは記述したものの,23万3000平方メートルという世界屈指のエキスポフロア面積を持つ会場には,世界72か国から1568社/団体のブースがひしめいていた。

 その多くがすでにリリースされているゲームの展示だったり,ゲーミングチェアのような関連商品や物販だったりしたとしても,ビジネスデーを入れて5日間(本誌取材班の滞在は4日間のみ)ではとてもすべてをカバーできない。

Serenity Forgeの「Fractured Blooms」は,「ドキドキ文芸部!とサイレントヒルの混合」というサイコロジーホラー。目立つ場所に展示されていた
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 Summer Game Fest 2025で発表されたばかりの新作ホラーADV「Fractured Blooms」をプレイしてきたので,紹介したい。キュートなアニメ調のキャラクターとリアルで不気味な情景が共存する本作は,毎日の作業をマスターしながら,タイムループに陥った時空から抜け出そうともがき続けるのだ。

[2025/06/07 18:33]

 メジャーなゲームなら,プレイアブルもしくはライブデモ,さらにインタビューを含めてみっちり45〜50分,ビジネスブースでインディーパブリッシャのクローズドブースで見せている小ぶりのゲームでも20〜25分,一般参加者も楽しめる回転率重視のプレイアブルで10分〜15分といったところ。1日8時間取材しても,10本から15本くらい記事にできそうなネタが拾えればいいが,会場にあるすべての新作を見て回るのは不可能なのだ。

 事前に取材アポを取っていたメーカーの作品だけでなく,知られざる原石を見つけ出すのもゲームジャーナリズムの醍醐味ではあるが,いかんせん今年の規模では,自由な取材時間を作るのは難しい。それでも,移動時にふと目にした気になる作品が多くあったのは確かだ。今回は,そんな中から5作品にスポットライトを当てて紹介したい。

先週末にゲームプレイが公開された「007 First Light」は,ビジネスエリアに展示ブースがあり,メディア向けプレビューが実施されていた
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「Death by Scrolling」


 期待作の最新トレイラー連発で大きく盛り上がったストリーミングイベント「Opening Night Live」だが,その中で初公開された「Death by Scrolling」は,ニュージーランドのTerrible Toybox NZが開発するローグライクな縦スクロールRPGだ。開発には,LucasArtsアドベンチャーの代名詞的存在でもある「Maniac Mansion」や「Monkey Island」シリーズで知られるベテランデザイナーのロン・ギルバート(Ron Gilbert)氏が関わっているという。

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 「Death by Scrolling」のゲームプレイは,新しい経営体制になった煉獄からの逃走を図っていくというもの。三途の川の渡し船を雇うのに1万ゴールド必要なため,上部へと自動スクロールしていくマップを動き回りながらモンスターたちと戦い,ジェムを集めていくことになる。
 また,画面下部からは業火が迫ってくるだけでなく,倒すことのできない死神も襲い掛かってくるので,何らかの方法で気絶させたり撃退したりして時間を稼ぐ必要があるという。

 パワーアップを得たり,アイテムをショップで購入したりするのもすべて走り続けながら行う。ギルバート氏らしいユーモアが散りばめられたサイドクエストを含めて堪能したいところだ。

Opening Night Liveで正式に制作アナウンスされたばっかりだったので,まさかプレイアブルデモが展示されているとは思わなかった「Death by Scrolling」
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「Cralon」


 ドイツのエッセンを拠点にする新興スタジオ・Pithead Studioで,チームを率いるビョーン・パンクラツ(Björn Pankratz)氏は,Piranhya Bytesの創業者として「Gothic」「Risen」「Elex」といったアクションRPGシリーズを開発してきたドイツゲーム業界のレジェンドともいえるゲームデザイナーだ。
 そんな彼のチームの新作である「Cralon」が,インディーアリーナの目立つコーナーで初プレイアブル展示されていた。

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 「Cralon」は,村を襲うモンスターたちが湧き出してくる古い坑道に潜入していくという,典型的な設定のダンジョンクロウラーだ。坑道は何層にも分かれているがシームレスにつながっており,プレイヤーは迷路のような回廊や大きな洞窟,先人が残した隠れ家や遺跡を辿りながら,とにかく奥へ奥へと進んでいく。

 道中で見つけたアイテムにストーリーが隠されていたり,レシピを発見してクラフティングできたりと,さまざまな要素が絡み合う,長く遊べるアクションRPGになりそうだ。

開発中のgamescom 2025でも多くのファンからサインや握手を求められていたビョーン・パンクラツ氏
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「Nayu」


 ベルギーの国家パビリオンで見つけた「Nayu」は,好奇心旺盛なカワウソの“ナユ”が主人公の3Dアドベンチャーゲームだ。川や森,岩山から入り江までを散策しながら,いたるところに隠されている魔法の小石を見つけ出してその助けを借り,重力を操りながら壊れかけた生態系を取り戻していく。

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 会場に展示されていたものは,まだテクノロジーデモ程度のα版だったが,ナユのコントロールは非常にスムーズで,滑らかなアニメーションのストレスなく遊べるゲームになりそうだった。メインはパズルゲームであり,戦闘要素はまったくないそうなので,子どもから大人までが楽しめるタイトルになるだろう。

 本作を開発したベルギー東部の小さな町・ぺーアーを拠点にするPolygoatは,これまで子ども向けのゲームを開発して経験を積んできた,来年で設立10年目を迎えるメーカーだ。「Nayu」は2026年内のリリースを予定しているとのことだったが,彼らにとってのブレイクスルーのタイトルになるか注目したい。

まだまだ完成には程遠い様子だったが,子どもと一緒にプレイすると楽しそうな「Nayu」を開発するPolygoatのメンバー
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Shoe It All!


 スイスの国家パビリオンの周辺で見つけたのが,Amberbite Gamesが年内にリリースを予定している「Shoe It All!」だ。手描き風のテクスチャでオブジェクトが描かれた3Dグラフィックスで,ブランコを漕ぎながら靴飛ばしをするというシンプルな物理ベースのゲームだ。

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 目の前には一軒家の前で手を振る女性,りんごの木,自動販売機,さらにはアボカドの販売棚やセグウェイに乗るおじさんなど,スケール感の異なるものを次々と靴で撃破していくだけである。

 それぞれのミッションで何をすれば,どんなリアクションが引き出せるのかといったミッションについてのヒントはなく,プレイヤーがやれることは,とにかく角度を決めて靴を飛ばすだけ。

 郵便受けなら真ん中にぶつければ中から手紙が出てくるのは想像できるが,一軒家であれば窓を狙うのか,ドアを狙うのか,はたまた傍で手を振る女の子に当ててみるべきなのかは分からない。クリアして初めて,何回でミッションクリアできたかの成績が表示される。

 gamescom 2025に合わせて体験デモもSteamストアページで公開されていたが,現在は停止している。インタフェースが日本語対応し,2025年中には販売開始する予定であるようだ。

わりと目立つ場所にあるブースだったので,筆者が前を通るたびに誰かがプレイしていた「Shoe It All!」。シンプルなアイデアで人を惹きつけそうだ
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「PVKK: Planetenverteidigungskanonenkommandant」


 ドイツの開発チーム・Bippinbitsが手掛ける「PVKK: Planetenverteidigungskanonenkommandant」は,インディーブースとしては大がかりなセットだったので,多くの一般参加者が集まって大きな賑わいを見せていた。

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 2026年夏に「Clair Obscur: Expedition 33」などで知られるKepler Interactiveからリリースされることがアナウンスされており,Steamストアページを見ると,フル音声で日本語化も行われるようだ。

 本作のジャンルはシミュレーションアドベンチャー。舞台となるのは,独裁政権下にあるアントス共同国家の辺境のバンカーだ。主人公はそこで立て籠もり任務を命じられるが,突如現れたエイリアンの襲撃に巻き込まれ,戦いを余儀なくされる。

 プレイヤーは1950〜60年代を思わせるローテク機器を操作し,空中をスキャンして敵宇宙船に巨砲を撃ち込む。しかし,単なる砲撃だけではなく,精密な軌道計算や頻繁に故障する機械の修理,さらに官僚的な管理体制との駆け引きなど,状況を有利に運ぶための多角的な判断が求められる。

 物語はプレイヤーの選択によって結末が変化するマルチエンディングが採用されており,どのような未来にたどり着くのかも気になるところだ。

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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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