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印刷2010/09/29 12:02

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少し大人になって帰ってきたアリスと,不気味なワンダーランド。「Alice: Madness Returns」のプレイレポート

画像集#001のサムネイル/少し大人になって帰ってきたアリスと,不気味なワンダーランド。「Alice: Madness Returns」のプレイレポート

American McGee氏
画像集#006のサムネイル/少し大人になって帰ってきたアリスと,不気味なワンダーランド。「Alice: Madness Returns」のプレイレポート
 2000年にElectronic Artsからリリースされた「American McGee's Alice」(邦題,アリス イン ナイトメア)は,ルイス・キャロルの世界的な児童文学「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の世界観に,独特なグラフィックスとストーリーによるダークな雰囲気をアレンジしたホラーアクションだ。
 リリース後のメディアの評価はよく,コアゲーマーの支持も得たが,“アリス”という名前に惹かれたカジュアルゲーマーにとって,やや難度の高いゲームシステムだったことも指摘され,そのためか爆発的なヒットとはならなかった。だが,ロングテールのゲームとして売れ続け,現在までにトータルで150万本の売り上げを記録している。いずれにせよ,カルトなゲームとして現在でも人気の高い作品だ。
 タイトルからも分かるように,制作の中心となったのはゲームデザイナーのAmerican McGee氏で,テキサスのデベロッパ,id Softwareで「DOOM」「DOOM II」「QUAKE」といった歴史的なタイトルの制作に携わることでキャリアをスタートさせた人物だ。
 Electronic ArtsでAliceを制作したあと同社を離れ,いくつかのデベロッパを立ち上げたあと,現在は上海を本拠とするメーカー,Spicy Horseの設立者/ゲームデザイナーを務めている。
 American McGee's Aliceの続編制作がSpicy Horseから発表されたのは,2010年2月19日のことで,仮のタイトルは「The Return of American McGee's Alice」となっていたが,EAから正式発表と共に,「Alice: Madness Returns」PC/PlayStation 3/Xbox 360)の名前が公になったのは,その約5か月後,北米時間7月20日だった(関連記事)。

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公開されたアートワーク
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「Alice: Madness Returns」公式サイト


 そんなAliceが,9月15日に行われたプレスイベント「EA Tokyo Showcase 2010」関連記事)でプレイデモ展示が行われたのだ。実際のプレイシーンが見られたのは,日本のメディアにとってはもちろんのこと,海外の一般メディアにとっても,珍しいことだろう。ただ,実際にコントローラを握ってのプレイはできず,Electronic Artsで本作のプロダクトマネージャを担当する,Brent Dady氏が操作する画面を見ながら説明を受けるというスタイルだった。

くすんだロンドンのような,ワンダーランド
画像集#007のサムネイル/少し大人になって帰ってきたアリスと,不気味なワンダーランド。「Alice: Madness Returns」のプレイレポート

Electronic Artsのプロダクトマネージャ,Brent Dady氏
画像集#009のサムネイル/少し大人になって帰ってきたアリスと,不気味なワンダーランド。「Alice: Madness Returns」のプレイレポート
 ゲームは,前作の終了直後から始まる。心を病んで施設に入っていたアリスだが,それも癒え,ようやく外に出られるまでになった。建物の屋上に立ってくすんだロンドンの町並みを眺めるアリスはもう20代前半。ワンダーランドでの出来事は記憶の彼方に……と思いきや,屋上でハトに餌をやっていた老婆がいきなりモンスターに変身して彼女にキバをむいた。
 という意外なシーンを経て,アリスは再びワンダーランドへ向かうことになる。そこは,モンスターが徘徊する不気味な世界であり,ここでアリスは,さまざまなモンスターと戦い,ワンダーランドが崩壊した真の理由を解き明かして以前のような世界を取り戻さなければならない。なぜなら,それが彼女の心の病を正常に戻す,唯一の方法だからだ。

 アリスが使う武器は,前作でおなじみの包丁のほかに,ペッパーグラインダー(コショウ挽き)ガンがある。モンスターはティーポットをモチーフにしたものなどが出てきて,相変わらずデザインワークは秀逸だ。ここでお断りしておいたほうがいいかもしれないが,Dady氏の話によれば,プレイに使われたのはまだプレαといった開発段階で,今後,多くの要素が付け加えられていく予定だ。
 武器にしても,さらにホビーホース(Hobby Horse=おもちゃの馬)を模したものや,ティーポットキャノンなど,一風変わったものが出てくるし,もちろん,モンスターやマップなども,これからさらに増えていくとのこと。

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ワンダーランド。最初に訪れる場所
画像集#010のサムネイル/少し大人になって帰ってきたアリスと,不気味なワンダーランド。「Alice: Madness Returns」のプレイレポート

 ワンダーランドはいくつかの地域に分けられており,それぞれが個性的に作られている。最初にアリスが訪れるのは,原色の花々が咲き乱れるジャングルのような場所で,青い空の下,澄んだ小川が流れる美しい場所である。
 ルートは基本的に一本道のようだが,迷ったときは所定のボタン/キーを押すことで,行くべき方向が壁に浮かび上がるという仕掛け。そのため,HUDは最小限に抑えられており,ミニマップなども表示されない。
 この最初のマップを例外として,それぞれのマップでモンスターを倒したり,パズルを解いたり,押すべきボタンを押したりすることで次のマップがアンロックされ,ゲームが進んでいくシステムだ。多くの場合,最後には各マップのボスキャラが控えており,それを倒す必要があるという。
 前作にも登場した,やせこけたチェシャ猫の指示に従って道を進んでいくと,やがて次のマップに到着した。ここは,空中にいくつものチェス盤やチェッカーボードが浮かび,壁には巨大な大時計が飾られた,なんとも形容しがたい場所で,書いてる私も困っている。

こんな感じの場所
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 移動は,普通に走るほかはジャンプがメインで,チェッカーボードからチェッカーボードへ,ララ・クロフトばりに飛んだり跳ねたりすることになる。ジャンプのタイミングがシビアで難しいという前作の批判を受けたのか,本作では二段ジャンプの使用が可能になるなど,プレイのしやすさには気を配っているようだ。もっとも,Dady氏も飛び移りに失敗してチートでしのいだりしていたので,このへんは実際にプレイしてみるまでは何ともいえない。
 ともあれ,見ている分には軽快で面白そうだ。アリスが再びワンダーランドを軽快に飛び回る日が,やってくるのだ。

 包丁やペッパーグライダーガンの攻撃でモンスターを倒すと,「バラの花びら」「歯」が手に入る。これがゲーム内のお金であり,これを使って買い物をしたり,レベルアップをしたりするというわけだが,それにしても,バラの花びらや歯というのもアリスっぽいというかなんというか,なかなか変わっている。
 これらが選ばれたのには,なにやらフロイトの「夢判断」でシンボルとして使われているからという理由があるとのことで,「夢」も本作のキーワードになる。ワンダーランドそのものがアリスの夢だという話も成り立つかもしれず,もちろん,現段階では詳しいことは教えてはもらえなかったが,本作は夢と現実をテーマにした複雑なストーリー構造を持っているのは間違いなさそうだ。

ペッパーグラインダーで戦うアリス
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 ともあれマップには時折,「記憶の断片」(Memory Fragment)が落ちている。よくある趣向だが,この断片を集めることでワンダーランドに何が起きたのかがおぼろげに分かってくるのだ……というあたりでデモプレイは終了になった。
 今回は,戦闘シーンとゲームシステムの概略の説明だけだったが,独特なデザインのモンスターや,血まみれの服を着たアリスの姿は十分すぎるほど個性的で,彼女の冒険の続きを見たくなった。
 Alice: Madness Returnsの発売は2011年が予定されており,詳しい日付については未発表。日本語版についても発表されていないが,前作がローカライズされていることもあり,期待できるだろう。対応機種はPCのほか,PlayStation 3およびXbox 360が予定されている。

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