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タイトーの開発陣が「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」を例に,リズムゲーム制作のポイントを解説したトークイベントをレポート
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印刷2016/08/30 16:33

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タイトーの開発陣が「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」を例に,リズムゲーム制作のポイントを解説したトークイベントをレポート

画像集 No.001のサムネイル画像 / タイトーの開発陣が「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」を例に,リズムゲーム制作のポイントを解説したトークイベントをレポート
 ゲームクリエイターを目指す人やゲーム作りに興味がある人に向けたトークイベント「ゲームクリエイターになろう」が2016年8月27日にApple 表参道で開催された。本稿では,タイトーのスマートフォンアプリ「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」iOS / Android)の開発に携わった,サウンドディレクターの森 正樹(MASAKI)氏,ゲームデザイナー/グラフィックデザイナーの石田礼輔(イシダ)氏,ディレクター/プランナーの花形琢真(DJ 87GT)氏の3人が,リズムゲーム制作における重要なポイントを解説したイベントの模様をレポートする。

「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」公式サイト

「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」ダウンロードページ

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写真左から,サウンドディレクターの森 正樹氏(MASAKI)氏,ゲームデザイナー/グラフィックデザイナーの石田礼輔(イシダ)氏,ディレクター/プランナーの花形琢真(DJ 87GT)氏
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 まずトークの冒頭で石田氏が,本作の楽しさはPVの映像や口頭での説明では伝わらないと強調。
 グルーヴコースターシリーズのコンセプトは「音楽のジェットコースター」。基本的には,コース上に設置されたターゲットにプレイヤーキャラクターが重なった瞬間にタップなどの操作を行うのだが,そのコースがジェットコースターのようにさまざまな方向に曲がりくねっているのがポイント。そのため,グルーヴコースターシリーズではステージのデザインすべてが異なっている。
 プレイ中は自然と,楽曲に合わせて曲がるコースを“ガン見”することになるのだが,石田氏は,ガン見している対象が曲がると,プレイヤーはあたかも自分自身も曲がっているように錯覚するのだと説明。レールを凝視することで得られる没入感こそが本作の“正体”であり,だからこそ実際に遊んだ人にしか分からないのだと述べた。

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 次に花形氏と森氏が,本作を制作するにあたっては,「サウンドデザイン」「レベルデザイン」「ビジュアルデザイン」の3工程が重要だったとし,それぞれ解説を行った。

 まずはリズムゲームでは外せないサウンドデザインについて。
 本作では原則的に,楽曲の制作が最初に行われる。森氏が音楽ゲームのサウンドを作るうえで意識するのは,「聴くための音楽ではなく,遊ぶための音楽」だということ。
 初めてプレイする人でも覚えやすく,異なるフレーズを盛り込んだり,曲調に緩急をつけたりして,曲への陶酔感を強調させ飽きにくい内容にするのだという。さらに,配置するターゲットのことを考え,“音”の密度が多すぎたり少なすぎたりしないように適度な密度を保つなど,一般的な楽曲とは異なる作り方を心がけているとのこと。

 そして,楽曲が完成したらターゲットの設定が行われる。基本はタップやフリックをする「ショート」と,ホールド,連打,スクラッチする「ロング」の2種類。難度によって配置は異なるが,主旋律となるメロディラインやドラムなど,楽曲中の聞き取りやすい部分に配置される。
 また,プレイヤーが「演奏している」という感覚をより高めるために,ターゲットの合間に「アドリブ」という隠しターゲットも設置している。

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 次に制作するのは,操作をしたときに鳴る「演奏音」だ。一般的な音楽ゲームでは,曲全体を通して単一の演奏音を採用しているケースが多いが,本作では曲中のパートに応じてさまざまな演奏音が鳴るように設計されていて,プレイヤーが曲を演奏しているような感覚を強めているのだという。
 森氏は演奏音を作るにあたって,音の「アタック」を強めてタイミングを取りやすくすることに,とくに気を遣っているとのこと。会場では,森氏が制作した楽曲「座和々」を例に,その説明が行われた。
 同楽曲では,サビの部分で流れる尺八の音が演奏音に使われているのだが,尺八の音は徐々に大きくなる波形のためアタックが弱くタイミングが取りづらい。そのため,琴など立ち上がりがはっきりしている音を同じ旋律で流してアタックを強くし,操作時のタイミングを取りやすくしているそうである。

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 レベルデザインでは,ゲームプレイ根幹となる部分の設計における,重要なポイントの解説が行われた。
 楽曲が完成し,ターゲットも配置されている状態なので,この工程ではレールの動きやカメラワーク,そしてターゲットの操作などを,ノリが良く楽しめるような形にしていくことになる。
 気を遣うべきポイントとしては,「規則性を作って予測と学習ができる」「緩急を作って感情を揺さぶる」の2点が挙げられた。

 レールや操作に特定の規則性を持たせると,プレイヤーが「この部分はこう演奏すればいいのではないか」という予測が付き,それが正解ならば気持ち良く演奏できる。失敗しても,規則性があることに気づけば,次のプレイに向けた学習になるというわけだ。

「座和々」のパターンを例に挙げて解説。レールも操作も規則性があるので,レールを“ガン見”して曲をしっかり聴いていれば,予測ができるようになる
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 緩急を作るというのは,レールの動きや操作に変化を付けるということ。プレイヤーが緊張する部分と気が緩む部分を作ることで,プレイヤーの印象に残りやすくなるのだという。

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 そして,最後に施される重要な工程がビジュアルデザインだ。曲ごとの展開に合わせた演出を作成して「音楽を視覚化」する。これによって音楽,映像,プレイヤーの演奏すべてがシンクロし,深い没入感が得られるとのこと。

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森氏が「座和々」のデモプレイを披露
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 最後に石田氏は,今回のイベントの題名になっている「ゲームクリエイターになろう」というテーマに関連した話をした。
 石田氏は,ゲームを「プレイヤーの干渉によって,感情の起伏を作る仕組み」と定義し,「プレイヤーが干渉するシチュエーション」をどう作るかが,ゲームクリエイターの仕事なのだとコメント。
 ゲームではあらゆるな疑似体験ができるので,シチュエーションを作れば,グルーヴコースターのように,現実世界に存在しない「音楽のジェットコースター」という,これまでに味わったことのない体験も可能だ。
 少しでもゲーム作りに興味を持ってもらいたいという思いからこのイベントに参加した石田氏は,来場者に向けて「ゲームの可能性は∞(インフィニティ)」だとメッセージを贈り,トークを締めくくった。

森氏が8月20日と8月27日の2週連続でApple 表参道のイベントに出演したことを記念して,アバター「MASAKI」が配信される。スマートフォン版「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」では8月31日から配信開始,アーケード版「グルーヴコースター3 リンクフィーバー」では8月29日から8月31日23:59までの期間限定先行配信(以後の配信日は未定)となる
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「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」では,8月31日から「東方プロジェクトアレンジパック9東方輝針城特集」の配信が開始される。価格は1パック600円
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