「Layers of Fear」(
PC /
PlayStation 4 /
Xbox One)や
「>observer_」(
PC /
PlayStation 4 /
Xbox One)といったホラーゲームで知られるポーランドのデベロッパBloober Teamの開発者が,東京ゲームショウ2017の開催に合わせて来日しており,インタビューをする機会を得た。
今回は,Bloober Teamでプロダクションマネージャーを務める
コンラット・レキェッチ氏と,デザインディレクターの
ヴォイチェフ・ピェイコ氏に,ホラーゲームにこだわる理由や,日本語版「>observer_」の進捗について話を聞いたので,その内容をお届けする。
左)ヴォイチェフ・ピェイコ氏 右)コンラット・レキェッチ氏
![画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / [TGS 2017]私達は日本のホラーゲームで育ちました。「Layers of Fear」のデベロッパBloober Teamにインタビュー](/games/315/G031523/20170925009/TN/001.jpg) |
4Gamer:
まずはBloober Teamについて教えてください。
レキェッチ氏:
私達はサイコホラーを専門的に扱うポーランドのデベロッパです。前作の「Layers of Fear」では,そのジャンルに新しいアプローチができたと考えています。
4Gamer:
会社はいつごろ設立されたのでしょうか。
レキェッチ氏:
Bloober Team自体は,2008年に立ち上げました。最初はニンテンドーDSとWii向けにさまざまなゲームを開発していましたが,今はホラーゲーム一筋ですね。今のところPC/PlayStation 4/Xbox One向けのタイトルを中心に開発していますが,今後はSwitchにも進出します。
4Gamer:
スタッフは何人くらいいますか。
レキェッチ氏:
今は70人います。中には,ウィッチャーやダイイングライトに関わったスタッフもいます。また,今後も経験のある人達を集めていく予定です。
4Gamer:
ホラーゲームにこだわる理由はなんでしょうか。
レキェッチ氏:
サイレントヒルをプレイしたときに,ホラーゲームというジャンルでも,意味の深い物語を作れることがわかりました。私達もそうした良い物語を作りたくて,ホラーというジャンルにこだわってます。また,そのジャンルに自分の名前を残すという夢もあります。少しプレイしただけで,Bloober Teamの作品だと連想してもらえるようになれれば,とてもうれしいです。
Layers of Fear
![画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / [TGS 2017]私達は日本のホラーゲームで育ちました。「Layers of Fear」のデベロッパBloober Teamにインタビュー](/games/315/G031523/20170925009/TN/007.jpg) |
4Gamer:
Bloober Teamが作るホラーゲームは,いずれもサイレントヒルの影響が大きいのでしょうか。
レキェッチ氏:
サイレントヒルはいわば出発点です。私達の作品はゲームに関わらず,映画やマンガ,小説など,いろいろなメディアから影響を受けています。たとえば漫画であれば,伊藤潤二氏の作品に大きな影響を受けました。
4Gamer:
恐怖を演出するうえで意識しているところはありますか。
ピェイコ氏:
私達にとってホラーゲームにおける恐怖というのは,いくつもの要素で成り立ってます。見えないもの,不気味なもの,知りたくても知れないもの,象徴的なもの,緻密に感じる物語,個人の感覚,主人公に隠された秘密,といった感じです。
ゲームをクリアしたときに,改めて物語を考察したくなるようなデザインになるように,心がけています。
4Gamer:
日本でもLayers of Fearはファンが多いですよ。
レキェッチ氏:
とても嬉しいことです。私達は日本のホラーゲームで育った人間なので,日本で私達のゲームが評価されているというのは,恩返しができているような感覚でとてもうれしいです。
4Gamer:
そのLayers of Fearのヒットを受けて,「>observer_」が作られたと思うのですが,世界観はまったく異なりますよね。
ピェイコ氏:
我々がゲームを作るときに最初に決めるのは,物語で何を伝えるかです。そして,それを伝えるのにベストな世界観を求めます。Layers of Fearは,画家の精神世界という設定がベストでした。>observer_も同じ考え方で,サイバーパンクという世界観になってます。
レキェッチ氏:
また,>observer_は,我々にとってのネクストステップのような作品です。ホラーというジャンルにおける表現手段や,それに関わるグラフィックス技術,物語もより大きくて,より深いものにしました。
4Gamer:
>observer_には,主人公のダニエル・ラザルスキー役として,俳優のルトガー・ハウアーさんを起用していますよね。サイバーパンクでルトガー・ハウアーさんとなると,真っ先に「ブレードランナー」が思い浮かびます。
レキェッチ氏:
>observer_は1980年代の映画にも強い影響を受けており,とくに大きいのがブレードランナーです。そのため,ブレードランナーのつながりでルトガー・ハウアーさんの協力を得て,ゲームに出演してもらいました。
ピェイコ氏:
サイバーパンクの世界観を作るうえではほかにもさまざまな作品から影響を受けてます。日本作品だと,「AKIRA」や「攻殻機動隊」ですね。でも「BLAME!」の影響が一番大きいかもしれません。
4Gamer:
ポーランドでは日本のマンガやアニメは人気なのでしょうか。
ピェイコ氏:
もちろんです。ポーランドでは,ゲームと日本のサブカルチャーのつながりが強いのです。ポーランドのゲーム雑誌を見れば,必ず日本のマンガやアニメのコーナーがありますから。
4Gamer:
日本語ローカライズの進捗状況はいかがでしょうか。
レキェッチ氏:
Steamで配信されているPC版については,すでに第一版と呼べるものができています。これから,翻訳の間違いや,おかしな表現を直していくので,それを終えたらアップデートで追加できます。
また,日本のパブリッシャも探しています。日本のパブリッシャは,日本語化を手伝ってくれるので,より良い翻訳を作れると思います。
4Gamer:
ローカライズのアップデートはいつごろになりますか。
レキェッチ氏:
できるだけ早く……といった感じです。
4Gamer:
コンシューマへの展開はありますか。
レキェッチ氏:
欧米ではすでにコンシューマ版があります。日本でもそうしようと考えていますが,詳しいことはまだ決まっていないです。
4Gamer:
最後に,次回作の構想をお聞かせください。
レキェッチ氏:
具体的なことは何も言えませんが,ホラーという世界観は続きます。またスタジオの中で複数の次回作を検討してます。
4Gamer:
ありがとうございました。