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漫画家のトマトスープ氏がWebコミックサイト「Souffle」で連載中の歴史漫画「天幕(てんまく)のジャードゥーガル」(ボニータコミックス/既刊6巻)。本作は,13世紀のモンゴルを舞台に繰り広げられる後宮譚で,「第55回日本漫画家協会」コミック部門の大賞をはじめ,数多くの賞を受賞している話題作だ。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第264回のタイトルは「天幕のジャードゥーガル A Witch in Mongolia」(毎週土曜23:30〜テレビ朝日系全国24局ネット“IMAnimation”枠ほか)。制作はサイエンスSARU,シリーズ構成は「貴族転生 〜恵まれた生まれから最強の力を得る〜」や「陰の実力者になりたくて!」の加藤還一氏が担当。監督は「映像研には手を出すな!」(関連記事)ではOPアニメを手掛けたアベル・ゴンゴラ氏,「けいおん!」シリーズや「リズと青い鳥」(関連記事)などの山田尚子氏が総監督を務めている。
「天幕のジャードゥーガル」
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「勉強して賢くなれば,どんなに困ったことが起きたって何をすれば一番いいのか分かるんだ」
ファーティマの息子・ムハンマド(CV:齋藤 潤)の言葉に心を揺さぶられたシタラは,“知”の可能性と大切さを知り,教養を深めていく。いつの日か,ムハンマドに追いつくことを夢見て……。
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その頃,皇帝チンギス・カンによる地上最強の「モンゴル帝国」が日に日に勢力を拡大していた。その歴史のうねりは,ついにシタラの住む街をも巻き込んでいく。
帝国の第四皇子トルイ(CV:鈴木崚汰)によってすべてを奪われ捕虜となったシタラは,ただ一つ残った“知恵”を駆使して王族に取り入り,帝国を内側から崩壊させようと決意する。殺されてしまった奥方から受け継いだ“ファーティマ”を名乗って。
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心に復讐の炎を宿しつつ,表向きは帝国に仕える身となったシタラはある日,第三皇子オゴタイ(CV:下野 紘)の第六妃ドレゲネ(CV:小清水亜美)と運命的な出逢いを果たす。彼女もまた壮絶な過去を抱え,心の内に帝国への深い恨みを秘めていた。
シタラとドレゲネ。出逢うはずのなかった二人が手を取り合うとき,運命が大きく動き始める。
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モンゴル帝国に立ち向かった“魔女”の物語
13世紀に存在した,世界史上で最大の遊牧国家「モンゴル帝国」。チンギス・カンが建国し,東アジアから東ヨーロッパに及ぶ広大な領域を支配した。
この巨大な帝国に立ち向かった実在の女性「ファーティマ・ハトゥン」を描いているのが,本作「天幕のジャードゥーガル」だ。ジャードゥーガルとはペルシア語で“魔術を扱う”という意味で,ここでは“魔女”を表している。
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原作を手掛けたトマトスープ氏は,文献を読み解く歴史研究家でもあり,これまでにイギリスの探検家ウィリアム・ダンピア(17世紀)をテーマにした漫画「ダンピアのおいしい冒険」(イースト・プレス/全6巻)などを世に送り出している。
今回も徹底した取材と膨大な文献により,当時のモンゴル帝国の生活様式や文化,風土に至るまで克明に調べ上げ,本作の世界観を緻密に作り上げた。
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この世界観をベースに,武力がすべてのモンゴル帝国で,奴隷の少女シタラ(のちのファーティマ)が,当時世界最高峰だったイランの「科学知識や医療技術」という知性を武器に運命を切り拓いていくのだ。
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なお,物語では史実とは異なるエピソードも作劇の都合上,盛り込まれているとのこと。第3話で4兄弟が一堂に会したシーンはオリジナルなのだと,原作者が自身のXアカウントで明らかにしている。
#天幕のジャードゥーガル
— トマトスープ (@Tsoup2) July 11, 2026
第3幕もご視聴ありがとうございました!
これは原作裏話…実は、タールカーンにジュチはいないはずなのですが、モンゴル帝国の4つの王家を今後説明するにあたり、ジュチがキャラクターとして登場した方がよいと思い、『天幕』ではこのタイミングで四兄弟を一堂に会させました pic.twitter.com/seYWVauVxn
モンゴルロケを敢行したこだわりの演出
アニメ制作を担当しているサイエンスSARUは,「映像研には手を出すな!」や「ダンダダン」(関連記事)など,原作の持ち味を生かしたアニメ化で定評のあるスタジオだ。前回紹介した「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」(関連記事)などは,士郎正宗氏の独特のタッチをそのままアニメで表現し,世界中で話題となっている。
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今回も原作が持つデフォルメの効いた愛らしいキャラクターデザインを崩さず,かつ感情豊かに,柔軟に動かすアニメ表現は圧巻だ。絵本のように愛らしいタッチとは裏腹に,侵略,略奪,肉親の死,復讐といった,非常に重厚でシリアスなストーリーが展開され,そのビジュアルのギャップが多くの視聴者に衝撃を与えている。
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さらに,総監督の山田尚子氏やアベル・ゴンゴラ監督ら制作チームは,舞台であるモンゴルでのロケハンを敢行。実際に遊牧民の住居ゲルにホームステイして得た,生活の手触りが作中の演出や背景,文化描写に反映されているという。
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SEKAI NO OWARIと女王蜂が描く“星”のテーマソング
また,SEKAI NO OWARIのオープニングテーマ「Stella」や,女王蜂のエンディングテーマ「星」もそんな本作を盛り上げるのに一役買っている。ちなみに,主人公のシタラという名前は“星”を表しており,2曲とも彼女のことを歌った楽曲となっている。そこを注意して聴くとより楽曲に没入できるのではないだろうか。
新たな歴史的視点の物語
イスラーム圏とモンゴル帝国という,これまであまり語られてこなかった歴史的視点で展開される本作。海外では,「イスラーム文化や主人公を肯定的に描いてくれて嬉しい」と歓迎する声が多数ある一方で,宗教的な描写や音楽・文学的表現のディテールに対して「外部から見た安易なオリエンタリズム(東洋趣味)ではないか」と厳しく評価する視点も混在している。
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こうした賛否が巻き起こる中,「知識と知恵を武器に戦う普遍的なカタルシス」が,多数のアニメファンの知的好奇心を刺激しているのも事実だ。コミュニティで活発に意見をやり取りするのが,昨今のアニメファン界隈であり,こうした議論が交わされるのは,作品にとってはプラス材料だと感じる。
ともあれ,類を見ない知的な世界観と,過酷な運命に知恵で抗う人間ドラマによって国内外で「今見るべきディープな作品」として認知されている「天幕のジャードゥーガル」。何クール続くのかはまだ発表されていないが,今期で注目度トップクラスの作品となりそうだ。
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そうだ アニメ,見よう:第263回はTVシリーズ最新作「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」。原作準拠版の草薙素子役は坂本真綾さん
「そうだ アニメ,見よう」第263回は最新TVアニメシリーズ「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」。制作はサイエンスSARU,シリーズ構成・脚本は「道化師の蝶」などで知られるSF作家の円城 塔氏が担当。監督は「ダンダダン」や「平家物語」のモコちゃん氏が務めている。
| 放映データ |
|---|
| 2026年7月〜毎週土曜23:30〜テレビ朝日系全国24局ネット“IMAnimation”枠ほか |
| キャスト | |
|---|---|
| シタラ:関根明良 | |
| ドレゲネ:小清水亜美 | |
| ファーティマ:桑島法子 | |
| ムハンマド:齋藤 潤 | |
| オゴタイ:下野 紘 | |
| トルイ:鈴木崚汰 | |
| シラ:入野自由 | |
| チャガタイ:浪川大輔 | |
| ジュチ:野島健児 | |
| ソルコクタニ:久野美咲 | |
| モゲ:朝井彩加 | |
| キルギスタニ:新谷真弓 | |
| ボラクチン:???? | |
| スタッフ |
|---|
| 原作:トマトスープ『天幕のジャードゥーガル』(秋田書店「Souffle」連載) |
| 総監督:山田尚子 |
| 監督:Abel Gongora |
| シリーズ構成:加藤還一 |
| キャラクターデザイン・作画チーフ:吉田健一 |
| 演出チーフ:藤倉拓也 |
| 美術監督:樺澤侑里 |
| 色彩設計:今野成美 |
| 撮影監督:高橋直希 |
| 編集:廣瀬清志 |
| 音楽:日野浩志郎 |
| 音響監督:小沼則義 |
| アニメーション制作:サイエンス SARU |
| オープニングテーマ「Stella」SEKAI NO OWARI |
| エンディングテーマ「星」女王蜂 |
| (C)トマトスープ(秋田書店)/天幕のジャードゥーガル製作委員会 |


































