![]() |
プレイヤーは「クロノハッカー」となり,さまざまな「時間軸」を巡りながら手がかりを集め,虚世の主「HIEROS-I」の打倒を目指す。
本作は2026年3月27日にプレイテストを実施した。4Gamerでは当時のプレイレポートを掲載しているので,「SlashZero」がどのような作品なのか気になる人は,あわせてチェックしてほしい。
[プレイレポ]スタイリッシュな動きと多彩なビルドが生む爽快コンボバトル。新作横スクロールアクション「SlashZero」プレイテストで見えてきたこと
Streetlamp Studioが手がける新作タイトル「SlashZero」のプレイテストが,2026年3月27日に始まった。サイバーパンクの世界観とアニメ調のグラフィックスを特徴とする本作は,スピード感あふれる戦闘とローグライク要素を組み合わせた意欲作だ。本稿では約5時間のプレイをもとに,その魅力を紹介していく。
また,本作はPlayStationの公式情報番組「State of Play 2026.9.3」で新たなトレイラーを公開するとともに,体験版の配信を開始した。体験版では,多彩な要素で自由にビルドを組み合わせ,さまざまなプレイスタイルを試せるという。
体験版には,最大10時間ほど遊べるボリュームが用意されているが,配信期間は日本時間9月24日0:00までとなっている。気になる人は早めにチェックしておくといいだろう。
開発を手掛けるStreetlamp Studioは,「クリスタル・オブ・アトラン」などの開発経験を持つスタッフを中心としたチームで,アクションゲームやカートゥーンレンダリングに関するノウハウを蓄積してきた。
![]() |
そうした経験を持つチームが,なぜ長期運営型ではない「SlashZero」に挑もうとしたのか。そして,これまで培ってきたノウハウが新作にどう生かされているのか。プロデューサーを務めるXie Jun氏(以下,Jun氏)に,その制作思想やゲーム内容について詳しく聞いた。
アクションそのものの面白さを,ローグライク要素で広げる
4Gamer:
最近のお仕事はいかがですか。かなり忙しい時期ではないでしょうか。
Jun氏:
そうですね。現在は,次のバージョンに向けた作業を進めています。3月のプレイテストを終え,そこで得られたフィードバックをもとに,さまざまな調整を進めているところです。
4Gamer:
では改めて,「SlashZero」を制作することになった経緯から教えてください。
Jun氏:
そもそもの出発点として,私たちのチームにはアクションゲームが好きなメンバーが非常に多いんです。以前は「クリスタル・オブ・アトラン」のような3D ARPGを制作していましたが,今回はもっと純粋に,アクション性を強く打ち出したゲームを作りたいと考えました。
4Gamer:
なるほど。では,なぜ横スクロール型のアクションローグライクにしたのでしょうか。
Jun氏:
一つの理由は,これまで3Dアクションゲームを作るなかで,カメラに起因する問題を何度も経験してきたからです。敵をうまく画面に捉えられなかったり,攻撃が届くのか分かりにくかったり,3D酔いにつながったりといった問題ですね。
横スクロール型であれば,プレイヤーはそうした部分をあまり意識せず,自分の操作そのものに集中できます。
![]() |
一方,ローグライクを採用したのは,アクションの遊び方にさらに幅を持たせたかったからです。
さまざまなビルドを組み合わせることで,ガードを中心に戦ったり,回避を軸にしたり,空中戦に特化したりと,同じゲームのなかでも異なるスタイルを楽しめるようにしたいと考えました。
4Gamer:
3月のプレイテストにはわたしも参加し,実際にプレイしました。その際,ローグライクのビルドだけでなく,アクション部分そのものもしっかり作り込まれていると感じました。戦闘システムを設計するうえで,最も重視していることは何でしょうか。
Jun氏:
まず,アクションゲームである以上,一番重要なのは操作感ですね。攻撃や回避,ジャンプなど,一連の操作を滑らかにつなげ,気持ちよく動かせることに注力しています。
もう一つ重視しているのが,敵との駆け引きです。敵がどのように攻撃してくるのかを,プレイヤーがきちんと読み取れるようにしたいと考えています。
ローグライクでは,多数の敵が登場し,大量の攻撃エフェクトが画面に表示されることも多いので,「何に攻撃されたのか分からないままダメージを受けた」という状況が起きやすいんです。そうしたことは,できるだけ避けたいですね。
![]() |
そのため,相手の攻撃を見ながら戦う感覚を強くしながら,エフェクトは意識的に抑えています。画面全体が派手なエフェクトで埋まってしまうと,相手の動きが見えなくなり,ゲームとしての駆け引きが失われてしまいますから。
4Gamer:
相手の動きを見るという意味では,現在のカメラは比較的引いた位置にありますよね。キャラクターをもう少し大きく表示すれば,アクションもさらに見やすくなると思いますが,その点はどのように考えていますか。
Jun氏:
実は,キャラクターが画面内で占める割合は,ステージや状況によって変えるようにしています。その場面でプレイヤーがどれだけの情報を把握する必要があるのかを基準に,カメラとの距離を決めているんです。
![]() |
たとえば,プレイテストに登場したギャングの親玉「ブレイク」は人型のボスです。彼との戦闘は1対1なので,カメラを少し近づけています。格闘ゲームのように,相手の動きや技をより細かく読み取れるようにするためです。
![]() |
一方,複雑なステージで多数の敵が登場したり,空中を大きく移動したりする場面ではカメラを引きます。そうした状況では攻撃がさまざまな方向から飛んでくるので,画面全体を見渡せることが重要だからです。
4Gamer:
なるほど。プレイテストを振り返ると,遠距離から狙撃してくる敵がいるステージではカメラがかなり引いていましたが,下水道では比較的近かったのを覚えています。
Jun氏:
そうですね。ステージの広さや登場する敵,プレイヤーがその場で把握すべき情報量に応じて調整しています。
4Gamer:
操作感に関わるところで,もう一つ気になったのがアドバンスチップです。これは数値的な強化だけでなく,アクションそのものにも変化を与えるビルド要素ですよね。
一方,アクションゲームでは,同じ操作を繰り返して体で覚え,習熟していくことも重要です。そうした上達の楽しさと,毎回異なるビルドを組んでさまざまなプレイスタイルを試す楽しさを,どのように両立させていますか。
Jun氏:
そこは前回のプレイテストから,かなり調整しました。
以前は,下方向への叩きつけやガードといった比較的基本的なアクションまで,チップを取得することで使えるようになる仕組みでした。しかし,フィードバックを見る限り,あまり良い体験ではないという意見が多かったんです。
![]() |
そこで現在は,そうした基礎的なアクションを最初から使えるようにしています。下方向への攻撃もガードも,キャラクター本来の能力として最初から備わっています。
4Gamer:
そこはかなり大きな変更ですね。最初はガードすら使えないという大胆な仕様で驚きました。
Jun氏:
そのうえでチップには,特定の遊び方をさらに伸ばす役割を持たせています。たとえばガード中心で戦いたいなら,ジャストガードの受付時間を延ばすチップがあります。空中戦を重視するなら,空中コンボをつなげやすくしたり,より長く滞空できたりするチップがあります。
4Gamer:
つまり,「このチップがなければ,そもそもその遊び方ができない」というわけではないのですね。
Jun氏:
そうです。プレイヤーが「今回はこのスタイルで遊びたい」と最初から決めている場合に必要となる基本的なチップについては,あらかじめ装備できるようにします。
![]() |
欲しいチップが出るまで何度もやり直さなければならないと,運任せになってしまいますよね。最初から方向性を決めておき,そのビルドを狙いやすくすることで,ある程度の確実性を持たせたいと考えています。
4Gamer:
たとえば特定の系統のチップを最初から装備していれば,その後も関連するチップが出現しやすくなるのでしょうか。
Jun氏:
はい。前提となるチップを装備している場合は,そこから派生するチップがラン中に出現する確率も上がります。
さらに,まだプレイヤーには正式に公開していない仕組みですが,特定のチップを出現候補から除外できる機能も用意しています。
4Gamer:
これは需要がありそうですね。
Jun氏:
自分が絶対に使わないチップを除外しておけば,そのランでは出現しなくなります。候補となるチップのプールを小さくして,狙ったビルドを作りやすくするための仕組みです。
4Gamer:
ローグライクでは,開発側の想定を超えた非常に強力なビルドを発見することも楽しみの一つです。ただ,あまりにも強すぎれば,ほかのビルドを構築する意味が薄れる可能性もあります。「面白いほど強いビルド」と「バランスを崩しているため調整すべきビルド」の境界について,どのように考えていますか。
Jun氏:
本作は対戦ゲームではないので,ほかのプレイヤーとの公平性を考える必要はありません。その点については,かなり寛容に考えています。
ローグライクでは,何度も試行錯誤した結果,非常に扱いやすく,しかも強力なビルドを完成させられること自体が,大きな爽快感につながると思っています。プレイヤーが自分でそうした遊び方を発見することも,一つの楽しみ方だと考えています。
もちろん,強力なビルドに飽きたら,今度は操作難度の高いビルドに挑戦してもいい。そうした試行錯誤こそが,ローグライクを掘り下げていく楽しさだと思います。
![]() |
4Gamer:
ビルド周りにもかなり手を入れているようですが,3月のプレイテストを通して,ほかにはどのようなフィードバックをゲームへ反映しましたか。
Jun氏:
一番大きかったのは操作感です。
たとえば以前は,回避を連続して使えるまでの間隔が1200ミリ秒でした。しかし「Dead Cells」や「BlazBlue Entropy Effect」,「HADES」などを遊び慣れているプレイヤーからすると,1200ミリ秒ではかなり長く感じるという意見がありました。
800ミリ秒程度なら気持ちよく感じるのに,1200ミリ秒になると急に操作が重く感じられる。そうした非常に細かな部分まで調整しています。
4Gamer:
かなり細かいところまで手を入れているのですね。
Jun氏:
ジャンプの仕様も変更しました。当初はメトロイドヴァニアを参考に,ボタンを長く押すと高く跳び,短く押すと低く跳ぶ仕組みにしていました。しかしプレイテストでは,アクションローグライクのプレイヤーからの反応があまりよくありませんでした。
この2つのジャンルでは,求められる操作感が少し違うんですね。そのため現在は,長押しと短押しによってジャンプ高度が変わる仕組みを廃止しています。
4Gamer:
分かる気がします。求められる操作のテンポ感がかなり違うんですね。
Jun氏:
そして,チュートリアルについてもかなり見直しました。プレイテストでは説明が十分ではなく,たとえば通常攻撃を溜めれば盾を壊せることを知らず,盾を持った敵への対処方法が分からないプレイヤーも多くいました。
そこで現在は序盤のチュートリアルを詳しくし,トレーニングルームもより早い段階で利用できるようにしました。コマンド表も序盤から確認できるようにし,キャラクターがどのようなアクションを使えるのかを早めに把握できるようにしています。
4Gamer:
操作面の調整に関連して,難度設定についても聞かせてください。敵のHPや攻撃力だけでなく,キャラクター側の回避性能やスーパーアーマーなどまで変更できるのが新鮮でした。どのような考えから採用したのでしょうか。
Jun氏:
これも,プレイヤーに自由に遊んでもらいたいという考えからです。一般にローグライクは難度が高く,失敗によるストレスも大きいジャンルだと思われています。
![]() |
私たちは,アクションゲームが好きな人であれば,できるだけ幅広い人に楽しんでもらいたい。そのため,敵の強さだけでなく,ガードの判定なども含めて,自分が一番気持ちよく遊べる状態へ調整できるようにしています。
開発側から一つの遊び方を強いるのではなく,それぞれのプレイヤーが自分に合った方法を見つけてくれればいいと思っています。
4Gamer:
プレイヤー側でかなり細かく難度を調整できる一方,ボス戦では敵の動きを理解して対処することも重要だと感じました。プレイテストでは3体のボスと戦えました。実際にプレイすると,単純に数値を上げるだけではなく,ボスの攻撃パターンを理解して対処することが重要だと感じました。
そうした強敵との戦いは,どのような方針で設計していますか。
Jun氏:
ボスごとに,できるだけ異なる駆け引きを体験してもらうことを重視しています。
たとえばさきほどふれたブレイクは大槌を持った人型ボスで,一撃が重いうえ,雑魚敵を呼び出してプレイヤーを妨害します。
![]() |
下水道に登場する汚染体グラムスは,ブレイクよりも敏捷性を重視しており,瞬間移動のスキルを多用します。
![]() |
森に登場する胡蝶型のボス光鱗の毒羽はさらに方向性が異なり,ステージギミックや弾幕回避のような要素を多く取り入れています。
それぞれ異なるタイプのボスを用意することで,一つのビルドだけですべてに対応するのではなく,さまざまな状況にある程度対応できる構成を考えてもらいたいと思っています。
4Gamer:
個人的には胡蝶にかなり苦戦しました。ローグライクなので,再戦するまでの道のりも長いですよね。トレーニングモードでボス戦を練習できるようにする予定はありますか。
Jun氏:
ボス戦を自由に練習できるようにすると,ゲーム内コンテンツの消費をかなり早めてしまう可能性があるので,現時点では慎重に考えています。
ただし,一つだけ逃げ道は用意しています。ボス戦で「これは負けそうだ」と思った段階でゲームを終了し,再起動すれば,そのボス戦を最初からやり直せます。
4Gamer:
なんと,そんな逃げ道があるとは(笑)。もう一つ,ステージ進行について気になったのですが,プレイテストでは第7区から下水道,そして森へ進むルートが固定されていましたが,途中から異なるステージへ分岐する仕組みはありますか。
Jun氏:
1周目については,基本的に固定されたルートで進んでもらう予定です。一方,2周目以降には新しいエリアやステージを解放し,分岐ルートも追加する予定です。
4Gamer:
なるほど。では,1周目のルートを固定する理由は何でしょうか。
Jun氏:
最初に,プレイヤーがステージそのものをきちんと覚えられるようにするためです。
たとえば一度失敗したあと,次の挑戦でまったく違うステージへ進むことになると,今度はそのステージを一から覚え直さなければなりません。初回クリアまでの段階でそれを繰り返すと,かえって負担が大きくなる可能性があります。
そのため,1周目ではある程度決まった内容を繰り返しながら慣れてもらい,クリア後に新しいルートを広げていく設計にしています。
4Gamer:
ゲーム終盤に差しかかる頃には,ビルドも完成に近づき,キャラクターの性能もかなり高くなります。それでも敵との駆け引きを維持するために,どのような調整をしていますか。
Jun氏:
序盤と終盤では,敵との戦い方そのものがかなり変わります。
序盤ではキャラクターの性能がまだ低いので,敵の一つ一つの攻撃を見て,回避しながら丁寧に戦うことになります。
![]() |
中盤から終盤になると,敵の数が増え,回避すべき攻撃や弾幕も多くなります。しかし,その頃にはプレイヤー側もビルドがほぼ完成し,多数の敵を素早く倒せるようになっています。
私たちは,ゲーム後半ほど爽快感が増していく形を目指しています。長い時間をかけてビルドを完成させたのに,敵のほうがそれ以上に強くなってしまったら,「何のためにビルドを作ったのか」と感じてしまいますよね。
ですから,ビルドがきちんと完成したのであれば,終盤はその成果に対する報酬として,思う存分に戦えてもいいと考えています。
サイバーパンク風の世界観を形作る「クロノハッカー」と「時間軸」
4Gamer:
現在はニックスとフィーナという2人のプレイアブルキャラクターがいます。両者は戦闘スタイルだけでなく,操作感もかなり違います。キャラクターごとの方向性は,どのように決めているのでしょうか。
Jun氏:
最初にこの2人を選んだ理由は,近接と遠距離,それぞれで本作の戦闘が成立するかを検証したかったからです。
本作のような横スクロール型の戦闘システムを採用した作品は市場にもありますが,私たちが目指しているものとはかなり違います。そのため,まずは近接と遠距離という両極端なタイプを用意し,それぞれでどの程度の距離感なら駆け引きが成立するのかを確認しました。
たとえば遠距離キャラクターの射程が長すぎると,画面の端から一方的に敵を攻撃できてしまいます。それでは敵が脅威にならず,駆け引きもなくなってしまいます。
![]() |
フィーナを作る際には,どの程度の射程であれば敵との緊張感を残したまま戦えるのかを検証しました。その結果として,双銃を使うフィーナと,双剣を使うニックスという形になっています。
4Gamer:
なるほど。この2人はいずれも動きが速い,俊敏なキャラクターですが,今後は異なるタイプも登場するのでしょうか。たとえば,もっと重量感があり,一撃一撃が重いキャラクターなどです。
Jun氏:
実は,3人目のキャラクターも用意しています。すでに実装されており,現在配信中の体験版でもプレイできます。
![]() |
3人目は剣と盾を使う騎士タイプで,動きはニックスとフィーナよりやや遅い中速くらいです。極端に鈍重なキャラクターではありませんが,ニックスやフィーナよりも一撃の重さを感じられる戦闘になります。
4Gamer:
新しいキャラクターが追加されてうれしい一方,本作ではビルドによって,同じキャラクターでも戦い方を大きく変えられます。それでも複数のプレイアブルキャラクターを用意するのはなぜでしょうか。ビルドでは代替できない,キャラクター固有の面白さとは何だと考えていますか。
Jun氏:
戦闘だけでなく,世界観や物語を豊かにするためでもあります。
本作では,異なる「時間軸」からさまざまなクロノハッカーが集まってくるという設定があります。そのため,性格も生い立ちも異なるメンバーを登場させたいと考えています。
さらに,武器とキャラクターの人物像を一体化できることも大きいですね。
たとえば剣と盾を使うキャラクターなら,外見も雰囲気も騎士らしくできます。一方,同じキャラクターが双刃も剣盾も何でも使えるようにしてしまうと,その人物の個性が曖昧になってしまいます。
4Gamer:
なるほど。ニックスが突然大きな盾を構えたら,キャラクターの個性も薄れそうですね。
Jun氏:
フィーナも同様です。彼女はNDSに所属する人造人間という背景があり,銃を使う現在のスタイルが人物像と結びついています。
今後,たとえば拳を使うキャラクターを作るのであれば,体格や筋肉の付き方,性格まで含めて,それにふさわしい人物として設計したいと考えています。
![]() |
4Gamer:
本作では,クロノハッカーが異なる「時間軸」を渡り歩き,“権能の鍵”を集めてHIEROS-Iに立ち向かいます。この世界観はどのように生まれたのでしょうか。
Jun氏:
ローグライクを作るにあたって,プロジェクトのかなり早い段階で話し合ったのが,「失敗して何度も再挑戦する」という仕組みを,世界観の中できちんと成立させることでした。
単純に「死んだから最初からやり直してください」では,物語として少し不自然です。そこで,何度も繰り返し挑戦すること自体に納得できる世界設定を作ろうと考えました。
本作ではサイバーやSF的な雰囲気を目指していたので,そこから並行する複数の「時間軸」を行き来するという発想が生まれました。
![]() |
新しいランに入るたびに,プレイヤーは実際には別の「時間軸」へ移動しています。そのため,同じ場所であっても前回とは異なるランダムな変化が生まれます。それを世界設定として自然に説明できるわけです。
4Gamer:
なるほど。
Jun氏:
実は,ゲーム中に表示される「時間軸」の番号も,単なるランダムな数字ではありません。そこには明確な意味を持たせています。
4Gamer:
ほうほう,具体的にはどのような仕組みなのでしょうか。
Jun氏:
最終的には“0号時間軸”が存在します。すべての物語を進めてトゥルーエンディングに到達したとき,初めて0号時間軸へ進めるようになります。そこで目にするものによって,物語の本当の結末が明らかになります。
![]() |
その手前には,2,3,5,7という4本の“ルート時間軸”があります。いずれも10未満の素数ですね。この4本には,それぞれ物語上の異なる大きな流れが割り当てられています。たとえばHIEROS-Iによる侵食に関わる話や,希望に関わる話,クロノハッカーを狩るNDS部隊に関わる話などがあります。
4Gamer:
では,プレイヤーが訪れる「時間軸」の番号は,こうしたルート時間軸から派生したものなのですか。
Jun氏:
そうです。ゲームを進めるにつれて「時間軸」の番号は徐々に小さくなり,最後には2,3,5,7というルート時間軸そのものへ到達します。それらをすべて攻略した先に,0号時間軸があります。
![]() |
4Gamer:
かなり手の込んだ仕組みですね。
Jun氏:
前回のプレイテストでは,まだプレイヤーにはほとんど見えていなかった部分ですね。
私たちは,ローグライクを繰り返し遊ぶことに,物語面からも動機を与えたいと考えています。そのため,4つのルート時間軸を攻略しなければ,物語の全体像を理解できません。
戦闘エリア以外にもイベント用のエリアがあり,どの「時間軸」に属しているかによって,そこで発生するイベントや解放される物語も変わります。かなり力を入れて設計した部分なので,ぜひプレイヤーにも注目してほしいですね。
4Gamer:
世界観の話に関連して,その見せ方についても聞かせてください。本作は横スクロール型ですが,3Dグラフィックスを採用しており,ステージによってはカメラが回り込むなど,かなり立体感のある見せ方をしています。表現面には強いこだわりを感じましたが,そのあたりはいかがでしょうか。
Jun氏:
せっかく3Dで作るのですから,従来の2D横スクロールではできないことを,きちんと生かしたいと考えています。
3Dであればカメラを回り込ませることができますが,純粋な2Dで同じことをすると,背景は一枚の絵としてしか見せられません。
そこでステージ設計にも,カメラを動かす演出を積極的に取り入れています。
4Gamer:
駅でのカメラワークは印象的でした。
![]() |
Jun氏:
単純に映像として派手に見せるだけではなく,横スクロールのステージでありながら,「この場所は実際に立体的な空間として存在している」と無意識に感じてもらいたいんです。
3Dで横スクロールゲームを作るからこそ得られる,映像や音を含めた体験を最大限に生かしたいと考えています。
4Gamer:
拠点にいるキャラクターについても気になりました。NPCにプレゼントを渡して関係を深める仕組みもありますが,この要素は正式版ではどの程度の比重になるのでしょうか。たとえば関係を深めることで,個別の物語なども見られるのでしょうか。
Jun氏:
そこはプレイテストではあまり多く見せられなかった部分で,もっと知りたいという声が多かったところでもあります。
ニックスやフィーナをはじめ,ゲームに登場するキャラクターについて,「なぜここにいるのか」「どのような過去を持っているのか」を知りたいという反応が多くありました。
![]() |
そこで,プレゼントを渡すことでキャラクターごとのアーカイブを段階的に解放できるようにしています。アーカイブを読み進めると,その人物の過去や,なぜこの世界に存在しているのかといった背景が分かり,より深くキャラクターを理解できるようになります。
4Gamer:
プレイテストでは,プレイアブルキャラクターを切り替えてもNPCとの関係値が共有されていたようですが,そこは変更されていますか。
Jun氏:
はい,変更しました。現在はニックスにはニックス自身のアーカイブ,フィーナにはフィーナ自身のアーカイブがあり,キャラクターごとに独立しています。
NPC側も,プレイヤーが操作するクロノハッカー側も,それぞれ個別に扱う形です。
長期運営型で培ったノウハウを,シングルプレイ作品にどう生かすか
4Gamer:
ここからは少し視点を変えて,開発について聞かせてください。これまで「クリスタル・オブ・アトラン」など,長期運営を前提としたタイトルを制作してきました。今回のような作品では,制作の考え方はどのように変わりましたか。
Jun氏:
個人的には,今回のような長期運営を前提としないゲームのほうが,むしろ作りやすいと感じています。
長期運営型のゲームでは,どうすれば半年,1年,あるいは2年と遊び続けてもらえるかを常に考えなければなりません。プレイヤーが数日ですべてのコンテンツを遊び切ってしまったらどうするのか,ということを考え続ける必要があります。
そうした設計は,場合によってはゲームの根本的な面白さやプレイヤー体験を損なうこともあります。
今回は,もっと純粋に「どうすればゲームそのものが面白くなるか」に集中できます。1周目,2周目,さらにノーマルエンディングとトゥルーエンディングまで,ゲームとして必要な体験をきちんと作り込めばいい。
![]() |
一般的なプレイヤーが週末に遊んで満足し,その後はプレイしなくなったとしても,それはそれで構いません。一方,本当に気に入ってくれた人がさらに掘り下げたいのであれば,その先にも遊べる内容を用意します。
毎日ログインして,1年間遊び続けてもらうことを考える必要はありませんし,基本プレイ無料のゲームのように,どう収益化するかを考える必要もありません。
そうした意味では,今回のほうが作っていて楽しいですし,より純粋にゲーム制作へ向き合えていると思います。
4Gamer:
今回の開発では,過去の経験がどのように生かされているのでしょうか。
Jun氏:
アクションゲームの制作技術や,高品質な3Dカートゥーンレンダリングについては,過去のプロジェクトでかなり経験を積んできました。
その蓄積があるからこそ,今回も一目見て品質の高さを感じてもらえる横スクロール型アクションゲームを作れていると思います。
![]() |
4Gamer:
そうした経験が,現在のビジュアルやアクションにも生かされているわけですね。では,現在の開発状況についても教えてください。
Jun氏:
1周目の内容については,おおむね完成しており,現在は最終的な調整段階に入っています。今後は,先ほど話したトゥルーエンディングへつながる後半部分をさらに充実させていきます。
また,今回発表した騎士タイプとは別に,新たなクロノハッカーも開発中です。どのようなキャラクターなのかは,まだ秘密にしておきたいですね。
4Gamer:
なんと,4人目もいるんですね。
Jun氏:
さらに,1周目をクリアしたあと,2周目以降に解放される新しいステージや分岐ルートも制作しています。
4Gamer:
まだコンテンツも広がっていくとのことですが,現時点ではプレイ時間をどのくらい想定していますか。
Jun氏:
1周目だけでも,通常のプレイヤーであれば10時間程度は遊べると思います。
ただし,ローグライクなのでプレイ時間を正確に示すのは難しいですね。非常に上手なプレイヤーなら,2時間ほどで1周目をクリアすることも十分あり得ます。一方,すべてのキャラクターやビルドを試したい人なら,数十時間,場合によっては100時間以上やり込むこともあるでしょう。
![]() |
4Gamer:
2027年春の発売が予定されていますが,本作にはどんな期待を抱いているのでしょうか。
Jun氏:
まずは,アクションローグライクが好きなプレイヤーの皆さんに,本作を気に入ってもらいたいですね。そのうえで,高く評価してもらえたら,なおうれしいです。
ゲームそのものを好きになってもらい,良い評価を得られるのであれば,売上についてはそれほど心配していません。一番重要なのは,プレイヤーから作品そのものを認めてもらうことだと思っています。
4Gamer:
では最後に,日本のプレイヤーへのメッセージをお願いします。
Jun氏:
日本は,アクションゲームにとって非常に重要な市場だと考えています。プレイヤーが多いだけでなく,優れたアクションゲームを作る開発会社も多いですよね。
私たち自身も,「デビル メイ クライ」や「NINJA GAIDEN」,「ソウル」シリーズ,「仁王」など,多くの日本発のアクションゲームを遊んできました。
スピーディで爽快な作品から,じっくりと相手の動きを見極める作品,高難度の作品まで,日本の開発会社はアクションゲームというジャンルで非常に大きな存在感を持っています。
![]() |
そのぶん,日本のプレイヤーもアクションゲームに触れてきた経験が豊富で,操作に対する要求や理解も高いと思っています。ですから,日本のプレイヤーからの反応にはかなり期待していますし,「SlashZero」を気に入ってもらえたらうれしいです。
4Gamer:
ありがとうございました。



















![画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/003.jpg)

![画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/002.jpg)
![画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/004.jpg)
![画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/005.gif)
![画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/007.png)
![画像ギャラリー No.006のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/006.jpg)
![画像ギャラリー No.026のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/026.gif)
![画像ギャラリー No.008のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/008.jpg)
![画像ギャラリー No.009のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/009.jpg)
![画像ギャラリー No.010のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/010.jpg)
![画像ギャラリー No.011のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/011.jpg)
![画像ギャラリー No.012のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/012.jpg)
![画像ギャラリー No.013のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/013.jpg)
![画像ギャラリー No.015のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/015.jpg)
![画像ギャラリー No.023のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/023.png)
![画像ギャラリー No.025のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/025.png)
![画像ギャラリー No.027のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/027.gif)
![画像ギャラリー No.017のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/017.jpg)
![画像ギャラリー No.024のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/024.png)
![画像ギャラリー No.018のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/018.png)
![画像ギャラリー No.019のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/019.png)
![画像ギャラリー No.020のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/020.jpg)
![画像ギャラリー No.028のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/028.gif)
![画像ギャラリー No.021のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/021.jpg)
![画像ギャラリー No.022のサムネイル画像 / [インタビュー]長期運営を前提としないからこそ,ゲームそのものの面白さに集中できる。「SlashZero」プロデューサーに聞く,純粋に面白さを追求したい制作思想](/games/990/G099014/20260901011/TN/022.jpg)