
プレイレポート
[プレイレポ]サバイバルMMO「Dune: Awakening」を先行体験。原作未履修のゲーマーを待っていたのは,あまりにも過酷な砂の惑星だった
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「Dune: Awakening」公式サイト
今回は2025年4月11日から23日にかけて,一部メディアとコンテンツクリエイター向けに実施されたβテストに参加してみたので,序盤〜前半部分のプレイレポートをお届けする。
なお今回体験できたのはあくまでβ版であり,製品版とは異なる部分が多くある点はあらかじめ了承いただきたい。またローカライズやパフォーマンス面で不完全な場面も散見されたが,こちらも製品版では向上するものと思われる。
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ちなみに記事タイトルでも触れているが,筆者は恥ずかしながら原作小説も映画も未履修で,タイトルは聞いたことがある程度の完全な“デューン初心者”であった。なので「原作を知らなくても楽しめるのか」「スムーズに独自の世界に入っていけるのか」といった観点でもレポートしていくので,筆者と同じような人は参考してもらいたい。
西暦1万年を超える遙か未来,生物を拒む砂漠の惑星でとある囚人が活動を開始する
本作の舞台は西暦1万年余りの遙か未来,地球より遠く離れた惑星「アラキス」で冒険が始まる。「デューン」とも呼ばれるこの星は不毛の砂漠に覆われ,人類が生活するにはおよそ向いておらず,宇宙に進出して久しい人々にとっても,ただの辺境の惑星に過ぎなかった。
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だがアラキスで「メランジ」と呼ばれるスパイス(香料)が発見されたことで,事態は大きく変化した。この物質は長距離の宇宙航行に必須なだけでなく,摂取すれば人間の寿命を延ばし,さらには未来を見通すような能力すら得られるという,夢のような力を秘めていたからだ。
そしてこのメランジが産出されるのは,惑星アラキスのみ。つまりアラキスの権益を持つものこそが,広大な宇宙の中でも絶大な力を握る……というわけである。
プレイヤーの分身となるのは,教母という存在に見いだされた元囚人だ。素性について根掘り葉掘り尋ねられた囚人は,教母のお眼鏡にかなったのか,諜報員として惑星アラキスに向かい「眠れる者を目覚めさせよ」という謎の任務を課されることになる。しかしアラキスでの任務はまったくスムーズに進まず,予想外のトラブルに巻き込まれ,本当に身体一つで砂漠に放り出されることになる……というのが,ゲームスタート時点のバックストーリーだ。
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なお先に断っておくと,本作は小説版と映画版,いずれかをそのままゲーム化したわけではない。したがって主人公が異なるどころか,物語としては「小説や映画で主人公を務めた人物が誕生しなかった(存在しない)世界」であり,世界観は共有しつつも別の可能性(IF)を描いたタイトルとなっている。
前述のとおり,筆者は原作の知識がほとんどないので,プレイしていてもこの設定が世界にどう影響を与えているのかよく分からなかったが,原作を知るプレイヤーならその違いをさらに楽しめるのではないだろうか。
逆に言えばそれが分からずとも,今回プレイした範囲で大きな問題を感じることはなかった。最初のチュートリアルでは目標がしっかりと指定され,かつジャーナルの指示に従えば進行できるので,最初から世界観に基づいた何かの決断に迫られる,といったことはない。
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さて話を戻すと,先の教母の詰問シーンは,プレイヤーの分身となるキャラクターのメイキングシーンでもある。見た目や人種,ボイスといったものを設定し,ゲームに直接関わる生い立ちを設定していくわけだ。
具体的には故郷(出身地),カースト(身分),メンター(職業)があり,これらはキャラクターのセリフや口調,特殊エモート,そして能力やスキルに影響するようである。とくに重要なのがメンターで,故郷やカーストがフレーバー的な要素であるのに対し,メンターはゲーム内での戦闘や立ち回りに大きな影響を与えるものとなっている。本作はレベル制でスキルツリーを採用した成長システムを採用しているが,あとから何らかのトレーニングを受けない限り,基本的にはゲーム開始時に選んだメンターに付随するスキルで戦うことになるからだ。
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例えば,今回筆者は「トルーパー」という軍人的な護衛風のメンターを選んでみた。これは最初から「シガワイヤーの鉤爪」という能力を持っていて,ワイヤーで崖や壁を素早く登ることができるほか,重力を制御する空間を作り出して落下ダメージを防いだり,あるいはシンプルに飛び道具の性能を上げたりといった能力が使用できた。
メンターには,ほかにも「ソードマスター」「ベネ・ゲセリットの従者」「演算能力者」の選択肢があり,これらを選べば,またまったく違った能力を得られるはずである。また誰かに師事すれば,より上位のスキルをアンロックできたり,前述のように別種のスキルを利用できたりするので,プレイを進めればキャラビルドの幅はより広がりそうだ。
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最初のキャラクタークリエイトが終わると,デモが表示されたのち,実際のゲームが始まる。
先に触れたがここはチュートリアルに相当する部分なので,画面左に表示される目標をクリアしていけばいい。基本は三人称視点のアクションゲームで,メインシナリオを少し進めれば広いフィールドを自由に動き回れるようになる。壁や崖などもスタミナが続く限り,ほぼ垂直でも登れる仕様だった。
しかしこの惑星アラキス,本当に一筋縄ではいかない。最初に考えるべきはとにかく“生き残ること”である。
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容赦ない日光,貴重すぎる水,話の通じない野盗,そしてサンドワーム……アラキスの地はあまりにも厳しい
原作のタイトルにもあるように,アラキスは砂の惑星だ。これは砂漠の部分が多いとかそういったレベルではなく,ほぼ見渡す限り砂と岩場しかない,端的に表せば不毛の地である。草原などあるはずもなく,部分的に植物が群生している場所も探せばある,という程度。当然ながら雨も降らない。
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本作にはクラフトを主軸にした本格的なサバイバルシステムが搭載されており,家を建設して道具や器具を作成し,それによって装備を整える……といったお馴染みの流れでゲームが進行していくのだが……しかしアラキスには樹木がないので,木材なんて簡単には入手できない。農業をしようにも水を引くこともできず,何を作るにしても周囲のものをなんとか活用するしかないわけだ。
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具体的には,まずコンソールを設置してフィールドの一部を自分の管理下にする。すると一定範囲が建設可能区域となるので,ツールで岩を砕いて石を入手し,住宅の基礎部分を作ろう。金属が必要になれば,落ちているものを分解したり,地面から突き出た鉱石を砕いて精製したりして入手できる。地面を掘ることはできないので,地表にあるものを利用する形だ。
場所にもよるが,建設した住居の中は基本的に安全で,後述する厳しい自然環境の影響も受けにくい。また一部の装備には,直射日光から身を守ったり,水を蓄える機能があったりするので,生存のためには強力な装備を作成することも重要になる。一部には購入できるものもあるが,大半の問題はクラフトで解決することになるだろう。
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とはいえ,周囲を探索するにせよクラフトに集中するにせよ,まずは生存を優先しなくてはならない。本作には体内水分(喉の乾き)の概念があり,地表にいるだけでもどんどん水分が失われていくからだ。
日の当たらない夜ならまだしも,昼間の直射日光に当たった場合は急速に画面中央のゲージが増えていき,あっと言う間に日射病になってしまう。そうなれば脱水症状は目前で,水分がすべて失われれば,あとはライフが減っていくのを眺めるしかない。
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本作ではこの“脱水症状の管理”が,かなり重要になる。日光を避けるにしても岩場を除けば砂漠に影はなく,さらに序盤で水分が補給できるのは,一部に群生している夜露草という植物からのみ。それも1/3までしか回復できない。つまり昼間に気軽に出歩くこと自体,危険な行為なのだ。
本作には空腹度や睡眠の概念こそないが,この脱水症状による“タイムアップ”は,常に意識しておく必要がある。
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加えてフィールドには危険が渦巻いている。ほかのプレイヤーを除けば,人が住む集落はほとんどなく,日陰や洞窟には野盗が潜んでいて,こちらを見つけ次第襲いかかってくる。加えて砂地には,アラキスのシンボル的な存在である「サンドワーム」が生息しており,近くを歩いて移動するだけで砂から飛び出し襲いかかってくる。飲み込まれれば,もちろん一巻の終わりなのだ。
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つまり直射日光とサンドワームのダブルパンチにより,日中に砂地を移動するのは極めて危険である。いちおう点在する岩場に退避すれば,日陰があってサンドワームも襲ってこないので,挑むなら砂漠を海と考えて,岩場で息継ぎをするように進むしかない。とはいえ岩場に近づいたら近づいたで,いきなり野盗に攻撃されたりするのだが。
ちなみにゲームを少し進めると,夜露草以外にも水の入手経路が確保できるので,水問題は一応の解決を見ることになる。とはいえ,井戸や雨水を溜めるといった生やさしいものではなく,倒した人間から血液を抜き取ってパックに保存するという,なかなかハードな手法なのだが。
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つまり野盗は危険な存在ではあるが,同時に水分を得るための“資源”でもある。サバイバル要素のあるゲームで,水が重要なのはよくあることだが,まさか血液が水源になるとは思いもしなかった。
とはいえ世界観として納得はできるし,ゲーム的には敵を倒すモチベーションにもつながるので面白い仕組みではある。ただ死体から血を抜き取る作業は,毎回装備を変更する必要があり,若干手間に感じたのも正直なところだ。
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手触りは良好だが原作譲りの世界観はハードルが高い。ある程度の“予習”は必要かも
本作はスタンダードなクエストクリア式のシステムを採用しており,初プレイでも迷いにくい,手触りのよいタイトルだと感じられた。一部説明不足を感じる部分はあるものの,基本的にはジャーナルを読んでマップを確認しながら進めていけば,序盤で詰まることはないだろう。
クエストは達成するごとに続きがアンロックされていくキャンペーン形式のもの以外にも,集落などのコンソールから受諾できるタイプもあって,自分のペースで進めていける。
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一方で,前述のサバイバル要素はとくに序盤が厳しく,最初の拠点を建てている最中にも,何度も脱水症状に陥りそうになったくらいだ。また,少し砂地に踏み出しただけでサンドワームの警告が現れることもあり,緊張感はかなりのもの。
血液から水を作れるようになると多少の余裕も生まれるが,少し未知の場所に行ってウロウロしただけで,予想以上に水を消費したあげく砂嵐に巻き込まれたりと,常に油断ならない旅を強いられることになる。
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とはいえ,“鞭”だけでなく“飴”も用意されており,例えばメインクエストを進めると入手できる「サンドバイク」を入手すれば,徒歩とは比べものにならない効率で砂漠を移動できるようになる。装着するオプション次第では,アイテムもかなり積み込めるので,文字どおりの足として活用できる。
乗り物があってもサンドワームの脅威がなくなるわけではないが,バイクは簡単に出し入れできるうえ,降りたあとはアイテムとして持ち歩くこともできるという優れモノ。本格的な探索に臨むには,ぜひ手に入れておきたいものの一つだ。
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ストーリーや世界観は正直,取っつきにくさを感じたのは否めない。これはローカライズが不完全だったのも一つの要因だが,独自の固有名詞が多く,かつ詳しい説明もないのが大きいと思われる。
筆者の場合,どうしても分からないものはネットで原作の情報を調べながら進めたが,ストーリーを深く理解したい場合は,何らかの形で原作を予習しておいたほうがよさそうだった。
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ただこの練り込まれた世界観は,原作を忠実に再現した結果なので,一概に問題とも言い切れない。序盤では「メランジ(香料)という超物質が存在する」ことと,「帝国が支配する宇宙で二つの領家(貴族)――アトレイデス家とハルコンネン家が争っている」あたりまでを押さえておけば,最低限の話の流れは掴めるはずだ。
また理解できずとも進行でつまずくことはないので,ゲームとして楽しめているなら,知りたくなるまで気にしなくてもいいかもしれない。
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いずれにしても,「不毛で危険な砂漠の世界で生きる」というサバイバル要素は非常にしっかりと表現されており,筆者としてはそこが強く印象に残っている。
プレイできたのはあくまで序盤の部分だけだったので,高度な乗り物やソーシャル機能にはアクセスできず,物語としての評価も下しようがないが,製品版ではさらに完成度があがっているハズなので,今後のアップデートと続報に期待したい。
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