
プレイレポート
[プレイレポ]シンプルさが切り拓く,絶妙な手応え。「百剣討妖伝綺譚」は幅広い層に訴求できるローグライト・アクションだ
事前に製品版相当のビルド(PC版)をプレイする機会を得たので紹介したい。
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「百剣討妖伝綺譚」公式サイト
シンプルで取っつきやすいアクション
プレイヤーの腕前が問われるのに,決して難しくない
ゲームを開始すると,3人の中から主人公を選択することになる。とりあえず,最も主人公っぽい「時雨」を選択してみた。
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時雨が暮らしていた村を妖怪「九尾の狐」が襲い,その数日後には時雨の育ての親であり,師匠でもある玄呉が行方不明になってしまう。時雨は玄呉の行方を探るべく,村を旅立つことに――。
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拠点となる村を出発し,通常の敵を倒しながらステージを進んでいく。1ステージをクリアするごとに,3択の能力強化やご褒美を得て,ボス戦のステージを越えたら,ちょっと休憩できる場所を挟む。道中で力尽きると拠点の村に戻されるが,敵を倒して入手した「魂力」を使うことで,永続効果の強化や新たな武器の開放・強化ができる。
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さて,一般的に“ローグライト・アクション”と言えば,プレイヤーの腕前が問われる,難しめのゲームを想像するかもしれない。だが本作は,プレイヤーの腕前が問われるのに,決して難しくない。
その理由の1つは,アクションがシンプルであること。プレイヤーは連打できる軽攻撃,一発のダメージが大きい重攻撃を使い分け,さらにダッシュによる回避行動が加わる。
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敵の行動(武器を振り上げるなど)の最中に「光輪」が表示される瞬間がある。ここで[RB]ボタン(Xboxコントローラの場合)を押すと,敵の攻撃を居合で「相殺」し,直後にもう一度[RB]ボタンを押すことで「必殺」攻撃が発動する。
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なお,相殺と必殺は“使いこなせると,プレイヤーが有利に進められる要素”であり,これらを使わないとゲームを進められないというわけではない。
実際,多くの敵に囲まれながらボタンを連打して蹴散らしているときに光輪が出ても,すべてに反応するのは少々難しく,反応が遅れて相殺に失敗すればダメージを受ける状況がほとんどだ。
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ローグライト・アクションの例に漏れず,体力を回復できる機会は貴重であり,できるだけノーダメージで進むことが望ましい。そんなとき,無理に相殺を狙って体力を削られるのは得策ではない。「いけたらいくわ」の精神で,慣れないうちは「光輪が見えたらダッシュで逃げる」くらいのほうがいいかもしれない。
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そして驚いたことに,本作はローグライトではあるのだが,基本的な流れは毎回そこまで変わらない。“ローグライトあるある”の「3択の能力強化」はステージをクリアするごとにあるものの,ステージの地形,出現する敵,道中のボスなどは固定。ゲームオーバーになってスタート地点に戻ったときには永続効果の能力を強化できるので,繰り返しプレイすれば確実に有利になっていく。
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従来のローグライト・アクションには,とにかくプレイヤーの腕前が問われ,繰り返しプレイすることでキャラクターを強化できるとはいえ,なかなかラクになったと実感できない作品が多い。
ところが本作の場合,基本的な難度が控えめであることに加え,2〜3回もプレイすれば,全ボス戦に通用する対処法が自然と身につくようになっている。
ローグライト・アクションにありがちな「やるべきことは分かってるけど,操作が追いつかない!」「対処が難しすぎて,どうしてもダメージを受けてしまう!」といったことが一切なく,初見で撃破できるボスも多い。2回目の挑戦では「今回はノーダメージで勝てるかも……」という自信に満ちた状態になっていることさえある。
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また,道中におけるプレイヤーの選択も「防御主体で安全に進めたい人」「どんどんリスクを重ねて攻撃的に進めたい人」,それぞれに合った強化がハッキリしていることが多く,プレイスタイルよって能力を調節できる印象だ。
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確かに難度は控えめだが,それぞれの敵に対してきちんと対処しなければノーダメージに抑えることは難しい。本作は「それぞれの敵に対する動き」が分かりやすく,操作がシンプルであることから,対処しやすい点が優れている。「プレイヤーの腕前が問われるのに,決して難しくない」理由はここにある。
おそらく,ほとんどのプレイヤーが2〜3時間もあれば,“一応の”ラスボスまではサクッと辿り着けるはずだ。ただし,ここからが本番なのでボリューム面も安心してほしい。
3人の主人公,それぞれに異なるストーリー
キャラクターが変われば,まるで別ゲー!
さて,冒頭の主人公の選択を思い出してほしい。筆者はてっきり,同じ物語の中で3人のキャラクターが登場すると思っていたら,時雨篇を進めても「沙羅」と「竹虎」が出てこない。気になったので,別のセーブデータで沙羅を選択してみたところ,まったく異なるストーリーが始まって驚いた。
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沙羅篇には時雨も登場するが,時雨篇のときとは微妙に性格が異なる。九尾の狐が暗躍していることも,世界自体も同じではあるが,各キャラクターの役割や起きている事件が別物になっていて,まるでパラレルワールドのようだ。
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ストーリーが異なるだけではない。アクションゲームとしてのキャラクターの手触りも,まったく別物だ。
沙羅は小柄な忍者のように立ち回り,武器は双剣だ。3択の強化要素も火力アップ系が多く,時雨とは比べ物にならないほどスピーディかつ大火力な戦いになり,ゲーム自体の印象が変わる。
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時雨篇の感触は上々で,アクションゲームが決して得意とは言えない筆者でも長時間詰まることなくラスボスまで倒せた。「しっかり作り込まれてるなぁ」と感心していたものだが,沙羅を操作してみたら圧倒的な爽快感に驚かされた。
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もう1人の主人公,竹虎はなんとなく「上級者向けかな?」と思っていたが,いざやってみると「いやいや,初めてプレイするなら,まずは竹虎がいいかもしれない」と印象を覆された。
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竹虎の武器は弓だ。「遠隔攻撃ができる」ということは,敵に近づかなくていい。それだけでも大きなアドバンテージだが,竹虎は軽攻撃が弓攻撃,重攻撃が近接攻撃になっている。敵に近寄られても拳で蹴散らせるうえ,前方範囲攻撃なので,敵が固まっていればブン殴ったほうが話は早い。
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時雨も沙羅も武器によって戦い方はかなり変わるが,竹虎の武器の中でも注目は「落日」と呼ばれる弓だ。攻撃により少しずつパワーが溜まっていき,満タンになったら「隕石を召喚できる」というのだから,思わず開放してしまった。
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実際はそれなりの大きさの岩が上から1発落ちてくるだけだったので,「まあ,こんなものか」と少しガッカリしていたら,3択の強化要素に「通常攻撃中に確率で隕石召喚」を発見。弓でチクチク攻撃していると頻繁に隕石が落下するようになり,俄然楽しくなった。
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幅広い層に訴求できるローグライト・アクションの誕生
筆者のようにアクションゲームが得意ではなくてもサクサク進める……ということは,「難度は低め」と書いていいのかもしれない。しかし,それだと抵抗がある。
後半のボス戦はそれなりに反射神経を求められるうえ,かなり忙しい。しかし,ダッシュによる回避行動の性能が高いため,「危ない!」と思ったらとりあえずダッシュすれば,回避できることが多い。短い時間内のダッシュ回数には限りがあり,使いどころを見極めなくてならないが,むやみに連打しなければなんとかなるはずだ。
初見のボス敵であっても,どのように対処すればいいのかが分かる攻撃も多く,早々に「うわ,これは無理だ」と絶望感に襲われることはない。つまり親切・丁寧であり,「ちょうどいい」難度ではないかと思う。
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本作について最も印象的だったのは,ローグライト系では初めてかもしれないが「理不尽さを感じない」ことだ。道中でHPが尽きて倒れても,まったくイライラしなかった。運によって難度が激変することがなく,敵の動きや攻撃がプレイヤーへの殺意に満ちているということもない。敵に倒されてしまったら,すべて自分の操作のせいだと実感できる。
ローグライト系では1回のミスや被弾が致命的になることは珍しくないが,本作は「被弾してもいい回数」が多い。序盤なのに2〜3回も被弾すると,「イカンイカン,だいぶ集中力が落ちてるぞ」と自身への警告として受け止められるし,いくつかのステージごとに訪れるお祭り広場で回復や買い物ができるので,多少のダメージはリカバリー可能だ。
倒されるときは,明らかに何度も被弾した挙句,ついにトドメの一撃が……といった展開になるため,いきなり大ダメージを食らってポカーンとすることはなく,ある種の“予感”がある。これが納得感につながっているのだ。
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ちなみに,3択の強化要素はどれも選ばないで先に進むこともできる。スタート地点での永続強化や道中での回復,買い物にしてもそうだが,腕前に自信のあるプレイヤーはそれらを“縛り”にすれば,いくらでも手応えをマシマシにできる。
可愛らしいキャラクターが繰り出す,爽快感と納得感の高いアクションを実現した本作は,コアゲーマーからライトなゲーム好きまでの幅広い層に訴求できる新世代ローグライトだ。
「百剣討妖伝綺譚」公式サイト
キーワード
- PC
- PS5
- PC:百剣討妖伝綺譚
- アクション
- RPG
- 7QUARK
- CERO D:17歳以上対象
- Game Source Entertainment
- プレイ人数:1人
- 歴史物
- PS5:百剣討妖伝綺譚
- Xbox Series X|S:百剣討妖伝綺譚
- Xbox Series X|S
- Nintendo Switch:百剣討妖伝綺譚
- Nintendo Switch
- PS4:百剣討妖伝綺譚
- Xbox One:百剣討妖伝綺譚
- プレイレポート
- PS4
- Xbox One
- ライター:本地健太郎

(C)2025 7QUARK. Licensed to and published by Game Source Entertainment. All rights reserved.
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