プレイレポート
[プレイレポ]「幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-」を,原作を知らないメトロイドヴァニア好きがプレイした。気がついたら原作が気になっていた
タイトル名にあるとおり,本作は「ラブライブ!サンシャイン!!」の公式スピンオフである「幻日のヨハネ」のゲーム化作品だ。突如として現れた海底ダンジョンを舞台に,2Dマップに表示される部屋や通路をあちこち行き来しながら,新たに入手した能力でさらにその先へと探索を進めていく。いわゆる“メトロイドヴァニア”と呼ばれるゲームで,筆者はこのメトロイドヴァニアが大好きである。それは,かつてこのような企画を2つ(関連記事1 / 2)担当したくらいに。
一方,失礼ながら筆者は「幻日のヨハネ」はおろか「ラブライブ!」についてもまったく知らない。つまり,大好きなものと知らないもの,その2つが混ざったゲームなのだが,メトロイドヴァニア好きとしては「純粋なメトロイドヴァニアのゲームとしての仕上がりは?」が気になるわけで,ゲーマーの視点からそれを確かめたプレイレポートをお届けしたい。
なお,試遊にはPS5版とSwitch版を使用しており,発売前のバージョンのため製品版と異なる場合があるのでそこはご了承いただきたい。ちなみに「『ラブライブ!』ファンにはどうなの?」というあたり(キャラクターの動きやビジュアル,演出など)は,東京ゲームショウ2023で試遊出展されていたときの(ラブライブ好きによる)プレイレポートで紹介しているので,気になる人はこちらもどうぞ。
「幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-」公式サイト
[TGS2023]「幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-」試遊レポート。幻日のヨハネらしさをたっぷり味わえるビジュアル、本格派な探索アクションの作りに驚かされた
2023年9月21日に開幕したTGS 2023で試遊出展されている,「幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-」の試遊レポートをお届けしよう。ラブライブ!シリーズのファンとメトロイドヴァニア好きその両者にオススメな探索アクションだ。そして,(ヨハネとその仲間たちはもちろんだけど)ライラプス,かわいい。
- キーワード:
- PC:幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-
- PC
- アクション
- CERO A:全年齢対象
- アニメ/コミック
- インティ・クリエイツ
- ファンタジー
- プレイ人数:1人
- 原作モノ
- PS5:幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-
- PS5
- PS4:幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-
- PS4
- Xbox Series X|S:幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-
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- Xbox One:幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-
- Xbox One
- Nintendo Switch:幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-
- Nintendo Switch
- プレイレポート
- イベント
- 編集部:Junpoco
- TGS 2023
- 東京ゲームショウ
原作を知らなくても楽しめる!? 丁寧に作られたメトロイドヴァニア
ゲームの舞台となるのは,異世界の街「ヌマヅ」の近海に突如として現れた謎の海底ダンジョン。プレイヤーは主人公のヨハネを操作し,調査に出たまま行方不明となった仲間たちを救出すべく,ダンジョン探索に向かう……といった導入でゲームはスタートする。
イベントシーンは可愛らしいイラストを交えた会話劇だが,ゲームが始まると,ドットで丁寧に描かれた横スクロール型のアクションになる。メトロイドヴァニアではおなじみのマップ画面やセーブ部屋もあり,このジャンルに慣れた人なら,何の違和感もなく入っていける。
メトロイドヴァニアには,やはり,このマップ画面よ…… |
これがセーブルーム。前を通り過ぎるだけで自動でセーブされる |
ヨハネの通常攻撃は,ヨハネの相棒である狼獣・ライラプスに攻撃させるというもの。この攻撃は連打がきかず,1回攻撃した後の隙も大きいため,ライラプスの攻撃1回で倒せない敵の場合は,間合いに注意する必要がある。
ヨハネには,装備した剣や弓矢といった武器を使った攻撃方法もある。基本的にライラプスより攻撃力は高かったり,遠距離攻撃ができたりするが,武器を使うときにDP(ダーク・ポイント。いわゆるMP)を消費するので,使い続けるにはセーブルームや消費アイテムで回復させなければならない。DPが尽きた状態でも武器で攻撃できるが,その場合はDPの代わりにHPが減っていくので,おいそれと使うわけにはいかないだろう。
ライラプスの攻撃はDPを消費しないので,通常時はライラプスにお世話になりつつ,強敵やボス相手には武器を振るったり,このあと紹介する仲間の攻撃を使ったりするのが基本の戦い方といった感じだ。
それらの武器や,ヨハネにHPアップや特殊な防御効果などを与える防具とアクセサリーといったものは,序盤に開放される「創造」(キャスト)というクラフト要素で生成できる。敵を倒したり,ツボなどの破壊可能オブジェクトを壊すと素材が手に入ることがあり,これらを集めて材料とするわけだ。
何らかのクラフトが可能な状態になると,ゲーム画面の中央上に「!」マークが点灯し,それを知らせてくれる。便利 |
ワクワク感のある性能を持ったアイテムがリストに出てくると興奮するよね。いや,アイテム名じゃなくて,性能的にだよ? |
拠点となる「ヨハネの占い屋」へは,マップ画面を開いて選択することでいつでも帰還できる。この部屋はショップになっており,回復や攻撃力アップなどのアイテムを購入可能だ。買うためのお金は素材と同様に,敵を倒すか,破壊可能オブジェクトを壊すといった行動で手に入る。
ヨハネの占い屋に一度戻ると,次にダンジョンに行く際は各所にあるセーブルームを指定することになる。セーブルームが,いわばワープ地点のようになっているわけだ。慎重に探索を進めたいという人は,新たにセーブルームを見つけたところで,ヨハネの占い屋に戻るクセをつけておくといいかもしれない。
段階的に開放されていく,新たな探索能力。仲間たちの力を借りて,ダンジョンの深奥へ
段階的に開放されていく能力は,メトロイドヴァニアの真骨頂だ。本作ではヨハネ自身に能力が開花していくのではなく,ダンジョン内で救出した仲間たちを呼び出し,「仲間の持つ能力を使わせてもらう」という形になっている。
仲間たちの能力は特定の場所を突破するだけでなく,敵への攻撃に使えるものもある。挙動は一クセあるが,敵によっては普通に攻撃するよりも遥かにラクに倒すことができたりもするので,その試行錯誤と発見が楽しい。武器と同じくDPを消費するので,「この能力強ぇ! あと便利」と言って連続して使うわけにはいかないが,ここぞというときに繰り出すと,なかなか進めなかった難関を突破できるかもしれない。
チカのバップガンは攻撃にも使えるが,攻撃力はそんなに高くないうえ,硬直時間もあるので,ライラプスより扱いが難しいかも | |
上からドシンと落ちてくるカナン&トノサマは,敵との距離や発動までの間の取り方にクセがあるものの,うまく当てられると大ダメージを与えられる。この敵は,ライラプスだとバシバシ叩かなければならないが,カナン&トノサマなら一撃でドンっと倒せる |
仲間の能力を使った謎解きや敵とのバトルだけではなく,アクション要素の強い場面が多いのも本作の特徴だ。
細い通路を転がってくる岩を,タイミングよくジャンプで避けながら進む。自動で昇降する足場に乗り,左右から噴き出す毒をうまく避けながら目的地に向かう。そんなスリルのある仕掛けがたくさんある。海底ダンジョンにはさまざまなエリアがあるが,単に景観が変わるだけでなく,ギミックもエリアに合ったものとなっており,見た目もプレイ感も飽きさせない。そのあたりは実に丁寧な作りになっているという印象だ。
思わぬダメージを受けてピンチになることもよくある話。しかし,回復アイテムが決して安価ではないため,「使ってしまうか。それとも次のセーブルームが見つかるのを待つか……」の選択がけっこう重要となる。
セーブルームの位置もこれまた絶妙で,「次のセーブルームがそろそろだろう。回復アイテムを温存する!」と意気込んで先へと進んだところ,なかなか見つからないなと思った矢先にダメージをくらって倒れる。「ここは安全策で回復アイテムを使っておこう!」と思って使った隣のエリアがセーブ部屋だったということも発生する……みたいな,「なんともうまく作られているなぁ」という印象だ。
昇降する足場に乗り,動き出したと思ったら……毒の仕掛けだ! 急にくるので,焦って思わず「うおっ」と声をが出た。毒のダメージ量は大きいので,これから遊ぶ皆さんもご注意ください |
創造(キャスト)で毒を防ぐアクセサリーが作れるので,自信がない人はあらかじめ作っておくのもいいかも |
そんな,絶妙な間隔でセーブルームが用意されているため,たとえ倒されても「あー,次は行ける!」という感じで,プレイの手を休める気にならない。
セーブルームの近くにツボなどの破壊可能オブジェクトがあれば,それを壊してはセーブルームに戻って……を繰り返してお金を稼ぐという方法もある。ちょっと時間はかかるかもしれないが,アクションに不慣れな人や慎重派の人は,この稼ぎ方でお金をしっかり貯め,回復アイテムをモリモリ溜め込んで移動するといいだろう。
DPを回復するアイテムを買っておけば,強敵相手に強い武器をガンガン振るったり,仲間の能力をガシガシ使ったりしても安心。DP回復アイテムをバリバリ使って,遠慮なく強力な武器や能力で敵を圧倒しよう。
ダンジョン内は魅力的なロケーションが豊富で,視覚的にも飽きさせない。“海底ダンジョン”らしく,最初は海底神殿からスタートするのだが,ゲームを進めると海底火山や難破船といった,それまでとまったく異なる雰囲気のエリアが開放される。エリアの雰囲気に合ったBGMもバッチリで,ほどよいアクション性と,「次のセーブルームまでHPが持つか!?」とハラハラする通常敵との戦い。海底ダンジョンは魔物が蔓延る危険な場所ではあるが,「探索していて楽しい」に満ちている。
可愛らしいキャラクターたちが生き生きとしたドット絵で描かれる,良質のメトロイドヴァニア
“思っていた以上に丁寧に作られたメトロイドヴァニア”だというのが正直な感想で,このジャンルが好きな人にとっては見逃せない一作と言えるだろう。キャラクターも皆,可愛らしいし,あらゆる場面でドット絵も素晴らしい。ダンジョン内で新たな仲間が見つかるごとに「あそこが行けるようになるか!?」という小さな興奮があり,メトロイドヴァニアの楽しさ,その確かな手応えがある。
筆者は以前に「The Mummy Demastered」というゲームを「メトロイドヴァニアスタイルのゲームらしい」という情報だけで購入し,その後,原作である映画「ザ・マミー / 呪われた砂漠の王女」が気になったのでDVDでそれを視聴。CGによる映像がスゴかったため,さらにその後,Blu-rayまで買うという,「思いっきり,制作会社の思惑に乗っとるやんけ」的なムーブをかましていたのだが,本作もそうなりそうな可能性をヒシヒシと感じている。
キャラクターの会話のシーンは表情豊かで生き生きとしている。アニメを見たことがなくても,そのクオリティの高さは分かる |
やられてしまったときのローディング画面で見られる,ヨハネがライラプスの背に乗せられて引き揚げるシーン。実に芸が細かい。そしてこういうシーンは,動きも表現も本当に緻密 |
とくに筆者が気になっているキャラはハナマル。本作では「トゲ地形を破壊できる」という能力を持っているのだが,呼び出すとトゲ地形の手前でつまずいて,そのまま高速回転してトゲ地形をブワーッと壊して進んでいくという,「そうはならんやろ」と言いたくなる謎キャラなのだ。
といったように,イベントシーンやゲーム中のアクションで個性あふれる彼女たちに会ううちに,ゲームキャラクターとしての特徴はもちろん,「原作ではどんな感じなんだろう」と興味がわいてくるのではないだろうか。
ゲーム中でも,ダンジョン内にある探し物を見つけ出してあげるという,ちょっと軽めな仲間のエピソードがある。頼みごとに応えてあげると仲間が新たな能力を覚えるので,彼女たちの関係性が垣間見えるちょっとした会話を楽しみつつ,さらなる探索に役立つ能力も手に入れよう。
筆者が気になるハナマルちゃんの場合,チラシを手作りで作っていて大変だという話で,ヨハネが「PCで作りなさいよ」と言うイベントがある。ダンジョン内で見つけた「ノートPC」(ダンジョンにノートPCがあるのもスゴいが)をハナマルに渡すと,ハナマルに新たな能力「周囲を巻き込む大爆発が発生」が目覚める……なんでやねん!
こんな感じなので,原作ではハナマルが一体どういうキャラなのかが気になってしょうがない。彼女たちが普段生活している,地上のヌマヅの街の様子も知りたくなってくる。あっ,アニメ版「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」って,Amazonプライムビデオで観られるんだ(説明口調)。ふーん,そう……。ふーん……。
ゲームとしての難度はさほど高くはないと思うが,だからといってカンタンすぎるということもない。とくにボス戦に関しては,さすがにアクションで鳴らしたインティ・クリエイツらしく,そう易々とは突破させてくれないのだ。
ただ,事前に回復アイテムを大量に買い込んでおくことで,ある程度はゴリ押しもできる。回復アイテムを購入するためのお金稼ぎも比較的ラクなので,アクションが多少苦手な人でも,この手段を使えばボス戦をどうにか乗り越えられるのではないだろうか。
序盤から「絶対あるだろ」と半ば確信しているのに,いざ本当に来るとメチャクチャ嬉しい二段ジャンプなど,メトロイドヴァニアは,ゲームシステムそのものに“定番の安心感”がある。そこへどういった味付けを行うかで他作品との差別化・個性化を図ると思うが,本作は決して高難度ではない間口の広さと,「幻日のヨハネ」ワールドに息づくキャラクターたちのほのぼの感が独自の味となっており,メトロイドヴァニア初心者にも安心してオススメできる1作だ。
原作ありきの作品を,その原作を知らずに触れることで不安なのは,原作を知らなければ理解できないストーリーやキャラクター同士の掛け合いによって疎外感を感じてしまうところだと思う。しかし本作は,「ダンジョンに潜ったほかの仲間を探す」というシンプルな目的であるため,非常に取っつきやすいものとなっている。本作をプレイすることで,「幻日のヨハネ」やその大元にある「ラブライブ!」の世界にも興味がわくような,そんな魅力も持ち合わせていると感じた。本作を入り口に,原作に触れてみるのもアリなのではないだろうか。
といったところで,本レポートを締めたいと思う。それじゃあ,筆者はこれからAmazonプライムで観たい作品があるので,これで……。
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- ライター:本地健太郎
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