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「キングダムカム・デリバランス」2作だけで250人のスタジオに成長したチェコのWarhorse Studiosを訪問。新DLCの情報とインタビューもお届け
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印刷2025/04/23 11:00

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「キングダムカム・デリバランス」2作だけで250人のスタジオに成長したチェコのWarhorse Studiosを訪問。新DLCの情報とインタビューもお届け

 2025年3月に,Warhorse StudiosのオープンワールドRPG「キングダムカム・デリバランスII」PC / PS5 / Xbox Series X|S 以下,KCD2)のプロモーション活動として,チェコ政府観光局および駐日チェコ共和国大使館によるゲームメディア向けのプレスツアーが行われた。ツアーの模様は「こちら」の記事でお伝えしているが,本稿ではチェコ共和国滞在中に行われた,Warhorse Studiosへの訪問の模様をレポートしよう。

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 Warhorse Studiosは,15世紀初頭のボヘミア地方を題材に,中世の文化や風習をリアルに描いて話題となったオープンワールドRPG「キングダムカム・デリバランス」(以下,KCD1)と,そこからストーリーが続くKCD2の2タイトルだけで大きくなったデベロッパだ。2タイトルだけと言っても,いずれもヒット作であり,KCD1は累計販売数900万本,KCD2も2月5日の発売から24時間で100万本を達成し,現在の販売数は200万本となっている。

 シリーズのヒットでWarhorse Studiosも大きくなっていて,30人程度だった会社はKCD1のときは100人に,そして現在は250人になったそうだ。スタジオ訪問自体は,KCD1でのプレスツアーでも紹介したことがあるが,現在は別の場所に拠点を移しており,チェコの首都であるプラハで活動している。

Warhorse Studiosがあるビルの1階には,KCD2のパッケージ風撮影ボックスが。写真はPRマネージャーのトビー氏
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スタジオ内には,たくさんのレトロゲームや映画のポスターが。クリエイティブディレクターのダニエル・ヴァーヴラ氏の趣味だとか
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 社内は,サウンド制作,アニメーション制作,品質管理,コンシューマ版への移植など,チームごとにそれぞれ部屋が割り当てられていた。この日は平日だったので,もちろんWarhorse Studiosも仕事の真っ最中。偶然にも,アニメーション制作チームがモーションキャプチャスタジオでDLCのカットシーンの収録をしていて,主人公・ヘンリー役のアクターも見られた。

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フェイスアニメーションの担当者。平日なのでお仕事中だ
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こちらはDLCの新要素を開発中のスタッフ。どんな要素かは,後ほど紹介しよう
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DLCのカットシーンの収録。写真中央で腕を組んでいるのが,ヘンリー役のアクターだ
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 Warhorse Studiosはチェコの会社だが,実はアートのチームに日本人もいたりする。コンセプトアーティストの川谷久海氏は,もともとは留学でチェコに来ていて,現地企業のWarhorse Studiosに就職したそうだ。

アートチームで働く川谷氏。日本人が務めているとは思わなかったので,ちょっとびっくり
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アートチームによる,KCDのコンセプトアート
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 川谷氏は,自身の仕事について,コンセプトアートでは「想像すること」「資料をチェックすること」,そして「自分の経験を生かすこと」の3要素が求められると話してくれた。
 ファンタジーRPGであれば,想像が大きな割合を占めるかもしれないが,歴史にもとづいたKCDの場合はそうもいかず,資料が最も重要になる。しかし,残っている中世の資料は不完全であり,そこを補うのが想像と経験だ。例えば,昔存在していた道具を表現したくても,資料に残っていないとすれば,今の時代ならどうなっているのか,当時はどんな形をしていて,どうすれば使いやすかったのかなどを考え,説得力のある形で落とし込まなければならない。

コンセプトアートを作るにはさまざまな資料が欠かせない
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 道具に限らず,部屋や家のデザインなどもコンセプトアートを作る必要があるが,日本人の川谷氏にとって,やはり難しい部分があるという。チェコ人から,「なんとなく違うよね」と言われてしまうのだそうだ。例えるなら,大河ドラマをハリウッドが作ったとして,我々日本人が「なんか違う」と思うようなものだ。感覚的なものなので説明はできないが,とにかく自分たちの経験とは異なるものだと感じてしまう。
 そのため川谷氏は,チェコの友達の里帰りについていったり,家の写真を見せてもらったり,週末いろいろなところにでかけたりして,少しずつ,それとなく感覚を身につけていったという。一方で,そうしたチェコ人の本物の感覚で作っているチェコの歴史ゲームがKCDであり,それを実現できるのがWarhorse Studiosの強みでもあるため,リアリティを楽しんでほしいと話していた。

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 スタジオ訪問の途中で,現在開発中のDLC「Brushes with Death」も紹介してもらえた。試遊もさせてもらえたので,その体験からの補足もしつつ,DLCの内容をお伝えしていこう。
 本DLCは,シーズンパスの「死の経験」として,4〜6月に配信予定と記載されているものだ。この新たな大型ストーリーは,ヴォイタと名乗るトロスキー城の画家との出会いから始まる。とある2人組に騙されて,木に縛り付けられてしまったというヴォイタを助けると,2人に奪われたダイスとブラシを取り戻してほしいと依頼されることに。KCD2らしく,その解決手段はさまざまで,彼らとのミニゲーム(ダイスやアーチェリー)に勝利して平和的に取り戻すこともできるし,彼らの荷物から盗むこともできる。
 筆者の場合は,ミニゲームに失敗したうえ,テストビルドだったのでロックピックを所持しておらず荷物が開けられなかったので,寝ているところを暗殺して奪い取ったが,ヴォイタからの評判は落ちてしまった。

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 ヴォイタの依頼を達成すると,お礼に新要素のシールドペイントをしてもらえるようになる。これは,自分が持っているシールドの模様や色を変えられる新要素だ。実際に試してみたが,さまざまなパターンを組み合わせて好みのシールドを作成する仕組みとなっていた。
 もちろん,本DLCではほかにも,新たなアイテムやロケーション,クエストなどが登場するという。

スライドに描かれているのが,シールドペイントで選べるデザインの一部
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 最後に,スタジオで行われたインタビューの模様をお届けする。応じてくれたのは,PRマネージャーのトビー氏ことトビアス・シュトルツ=ツヴィリング氏,ナラティブデザイナーのヴラディミール・マレチェク氏,そしてコンセプトアーティストの川谷氏だ。

左からマレチェク氏,トビー氏,川谷氏
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――KCD2のリリースから2か月が経ちましたが,現在の反響はいかがでしょうか。

トビアス・シュトルツ=ツヴィリング氏(以下,トビー氏):
 94%からポジティブな反応をいただいていて素晴らしいです。正直に言えば,一番最初に開発が始まった時,あまり自信がありませんでした。それでも,αバージョンで自信が出てきて,いざリリースすると素敵な反応をいただけているので,自分たちでも驚いているところです。

川谷久海氏(以下,川谷氏):
 私は成功するとは思っていましたが,ここまでとは思っていませんでした。24時間以内に100万本はびっくりしました。前作のファンの皆さんは,7年間もずっと待っててくれたんだなと思うと,それが何より嬉しいですし,感動しましたね。

――ポジティブな反響のポイントはどこにあるとお考えですか?

トビー氏:
 ひとつのポイントではなく,戦い,リアルさ,暗くてインパクトのあるストーリーなどが好評です。選択によって分岐する,プレイヤーの判断が必要となるロールプレイ体験もよく褒めていただけますね。

川谷氏:
 現実世界のように手間のかかる,不便さが好きとも言ってもらえますね。KCD2では,主人公も成長したし,より広い層の人に楽しんでもらいたいという我々の考えもあって,ちょっと便利になった部分があり,不便さが好きだった人には物足りないところもあるかもしれません。そのぶん,歴史的ディテールやビジュアル,人間関係などに力を入れたので,そういった部分を楽しんでもらえているかと思います。

――Warhorse Studiosは,KCDシリーズで成功しましたが,今後5年後,10年後を見据えたとき,どういった展開を考えているのでしょうか。

トビー氏:
 お金持ちで有名になりたいです(笑)。
 私がここで働き始めた2014年は,社員が30人いました。それがKCD1で100人,KCD2では250人になっています。
 現在は,250人がバグフィックスとDLCに注力していますが,将来的には複数のプロジェクトを作っていくつもりです。我々としては,ずっと同じことやりたいとは考えていませんから,次のゲームは新しいテーマになると思います。しかし,やはり我々が得意としてるのはRPGですから,おそらく次もRPGになります。

――今後KCD以外の新作が出てくるとして,何を作っても「これがWarhorse Studios」と言える核の部分は,どこになるのでしょうか。

トビー氏:
 ストーリードリヴンなRPGであることだと思います。シネマティックで,ディープなストーリーのゲームを変わらず作るでしょう。とはいえ,11年働いていてまだ2本しか世に出していませんから,もっとスピードアップしないとですね。

――川谷さんとしては,Warhorse Studiosに入ってみて,どういった会社だと感じましたか?

川谷氏:
 初めての就職だったので,正直想像がつかず,最初はただひたすら緊張していました。ただ,入ってみたらすごくアットホームで,とくに驚いたのが,学生上がりにも関わらず一人前のアーティストとして扱ってくれたことです。教えるというより,情報をシェアするという感じで成長を見守ってくれて,働きやすい会社だと感じました。

トビー氏:
 KCD1のとき,100人のうち15人だけがほかのゲームメーカーから転職してきたプロでした。あとは違う業種からで,私も以前は新聞社にいました。
 KCD2では,250人のうち,KCD1の時のメンバーが70人で,ほかはまた新しい人です。その中には,違う業種から来た人も,卒業したばかりの学生もいます。もちろん,入社には難しいテストがありますが,一度入れば全部教えるというスタンスでやっています。

――ゲームメーカーでないところから人を受け入れるのは,積極的にやっているんですか?

トビー氏:
 チェコは小さな国です。プラハにゲームスタジオはたくさんありますが,ゲームの専門家は限られていて,新しい社員を雇うプールがありません。だから違う業種からも雇う必要があるんです。プラハのスタジオはみんな仲良しなので,引き抜きとかもしたくないですしね。
 それに,違う業種だからこそ,違う才能を持った人が集まります。例えば建築家であれば,ゲーム中の建物に対して「それは中世では無理だよ」と言ってくれたり。ゲームを作るための技術的なことは,後から教えればいいと思います。

――とはいえ,専門外の人ばかり入れていたら成功できないと思うのですが,どういうところを見て採用しているんですか?

トビー氏:
 パッション。これが一番大事です。パッションあれば,なんでも学べますから。

ヴラディミール・マレチェク氏(以下,マレチェク氏):
 ただマネージャの指示を聞いて働くだけでなく,自分のアイデアを持てる人でなければいけません。指示を待つだけの人は,うちのゲームの作り方に合っていませんね。

トビー氏:
 うちの会社は,みんながほかの人に意見を言えますし,言ってほしいと思っています。例え,それが自分の専門の分野でないところであってもです。久海さんも,日本のアートスタイルのアイデアを持ってきてくれました。

川谷氏:
 私の上司のアートディレクターは,映画業界で経験豊富な人ですが,私が新人のときから私の意見を聞いて,考えを変えてくれることもありました。そういうことを躊躇なくやる人です。

――チェコや隣国のゲーム開発に,どういった印象を持っていますか。

トビー氏:
 世界で開発されているさまざまなゲームは,地域性があると思います。日本は漫画やアニメっぽい表現が得意とか,そういうのです。西ヨーロッパやアメリカの場合,ゲーム開発の経験が豊富ですが,そのぶん,同じようなゲームが作られがちだと思います。一方,チェコを含む中・東ヨーロッパは,まだそれほどの経験がないので,パッションで作っている印象を受けますね。

マレチェク氏:
 我々は,ほかがやっているようなことではなく,自分たちのことを世界の皆さんに見せたいんですよ。

――KCDはまさに「自分たちのことを見せたい」を体現できているゲームだと思います。本作をきっかけにチェコに来ようと思った人に,ロケーション以外でどういう点を味わってほしいですか?

トビー氏:
 伝えたいチェコの見どころは,21世紀でもチェコ人の心には,中世が残っているということです。昔の建物がたくさん残っていて,ほかの国の人たちに比べたらハイキングが好きです。城を回るのも好きですし,キノコ狩りも好きなのがチェコ人なんです。プラハもモダンな街ですが,中世からの教会などがたくさん残っています。そうした,我々の中に今も流れる中世のDNAを感じてほしいですね。

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――KCDは,チェコの人にはどのように受け止められているのでしょうか。

トビー氏:
 自分で言うのも恥ずかしいですが,クレイジーなぐらい大ヒットです。ゲーマーだけでなく,みんな知っていて応援してくれます。

――ゲームに出ているところに来る人は増えているんでしょうか。

トビー氏:
 KCD2は発売されたばかりで,観光シーズンもこれからですからまだ数字が分かりませんが,KCD1のときは,ラッタイなど海外からの観光客がほとんどいなかったマイナーな観光地に来る人が,800%ぐらい増えました。

マレチェク氏:
 ゲームで出てくる場所は,本当に現場に足を運んで,撮影してリアルに作っています。

――リアルな世界を作るためとはいえ,よくこれほどの時代考証ができていますよね。

マレチェク氏:
 歴史の専門家と相談してやっています。ただ,歴史的に正しいことを教えたいわけではないので,お客さんが楽しめることを優先しています。

――専門家と調べているうちに,新しい発見をしたこともあったのでは?

マレチェク氏:
 KCD1のとき,ラッタイの研究をしていて,当時は城壁がなかったって言われたんです。でもおかしいと思って,研究者と現地に行って土を掘ったら,城壁の跡を見つけたことがあります。

――時代考証や撮影で苦労したことを教えてください。

トビー氏:
 撮影はチームを送り込んで,小さな植物や石など,とにかくなんでも撮りました。時が経っても自然は変わらないのでいいんですが,建築物は大変ですね。当時の城などはもう残っていませんから,残っている部分と資料を組み合わせてイメージをふくらませなければなりません。
 クトナー・ホラは別の問題があって,新しい街ができてしまっているので,当時からどのぐらい変わったかが分からないんです。そこで住んでいる人に「まだプロジェクトを公開していないから何も教えられないけど,あなたの家の地下を見せてください」なんてお願いをして……。地下には,昔の壁が残っているので,どういう石で作られていたかが分かるんですよ。ファンタジーならここまでリサーチしなくても済むので,KCDならではの大変なところです。
 あとは,農民について調べるのも,何も残っていないから難しいですし,貴族は貴族で,資料があっても仲良くしたくて褒めるから,読み取るのが難しいですね。

何度も焼け落ちて,資料が残っていないというクトナー・ホラの市庁舎。専門家と相談して「これならありえる」という形でゲーム中に実装しているそうだ
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――KCDはリアルな中世の再現が魅力のゲームですが,VR化は考えていないのでしょうか。

トビー氏:
 アイデアとしてはKCD1の頃からあったのですが,リアルすぎてVRには合わなかったんです。例えば,敵に殴られて頭が動いたりといった部分をVRで体験すると,酔ってしまって……。

――ゲーム中,さまざまなイースターエッグが登場しますが,あれらは社員が勝手に考えて入れているのでしょうか。

トビー氏:
 うちの社員はみんな狂っているので,勝手に入れています。たまにやりすぎなことがあって,マネージャーがカットしていますね。恐竜とかハリー・ポッターとか(笑)。なので,いくつ入っているのかは分かりませんし,何が見つかっていないのかも分かりません。

――人間ドラマの作り方について,騙し騙されみたいな,人間の悪意を感じることが多いですよね。どういった狙いでそうした作りにしているんですか?

マレチェク氏:
 そういう時代ですから。騙されたら死ぬし,騙さないと死ぬ。

トビー氏:
 KCDの時代は,フス戦争の少し前。周りの人間がどこまで信用できるのか,戦争が始まったらどちらにつくのかが分からないという背景があるため,そういったストーリーになっている部分もあります。

――KCD2に登場するギャンブルのミニゲームは,実在するものなんですか?

トビー氏:
 実在するもので,今でも田舎のパブなどであります。
 KCDはよく「ウィッチャー」シリーズと比べられますが,あちらはトランプゲームがありますよね。KCDの時代はトランプは悪魔のものなので,ミニゲームにダイスを使っているんです。

――セーブに使う「救世主のシュナップス」は,何か元ネタのあるお酒なんですか?

トビー氏:
 イメージとしては,プラムのスピリッツ(スリヴォヴィッツェ)です。チェコはビールの国ですが,有名なスピリッツもあって,チェコのどこでも買えます。
 KCDでは救世主のシュナップスでセーブができますが,これはセーブと救世主(Saviour)をかけたダジャレです。

――KCDのシリーズとしては2で完結なんですか?

トビー氏:
 難しい質問ですね。今はDLCを作って,そのあとのことはまた考えます。
 KCD1のストーリーは続きがある終わり方でしたが,KCD2はクローズしています。ですから,同じユニバースで違う主人公のゲームにするとか,やりようはあると思います。

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