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卑弥呼がミシシッピ族を率いて文明を導く? 発売近付く「シドマイヤーズ シヴィライゼーションVII」から,10の新要素をまとめて紹介
シド・マイヤー氏の名を冠した「シヴィライゼーション」シリーズといえば,1991年に登場した第1作目から続く,“4X”ストラテジーゲームの金字塔だ。今なお多くのプレイヤーを抱える前作「VI」のリリースが2016年であるから,8年を経てリリースされる最新作は,最も長いインターバルを経たということになる。
ちなみ“4X”とは,eXplore〈探索〉,eXpand〈拡張〉,eXploit〈開発〉,eXterminate 〈根絶〉の4要素を備えたストラテジーゲームを意味する。プレイヤーは選択した文明を発展させるため,世界を探索し,生産の拠点となる町を増やしながら資源を得て,近隣の文明との外交や戦争によって勢力を拡大していくこととなる。
30年を超えるシリーズとなった本作では,そこにさまざまなアニメーションやマルチプレイ,宗教や観光,都市国家といった要素を加えながら,ファンの要望に答えてきた。もちろん「VII」においても,これまでとの大きな違いがいくつも用意されている。
「シドマイヤーズ シヴィライゼーションVII」公式サイト
日本人指導者として卑弥呼が登場。でも肝心の日本文明は?
今回のイベントで正式公開されたのが,日本の指導者「卑弥呼」だ。同盟で実行できるオプション「親魏倭王」は,自国と同盟国の科学力を+25%する効果を持つ。さらに友好的または有益な関係の指導者1人につき,時代ごとの科学力が(+4)される能力もあって,高い科学力を持つライバルと親交を深め,科学勝利を目指すのが定石になりそうな指導者だ。
古代では,ローマやペルシャなど10種類の文明が選択できるが,そんな卑弥呼のオススメに挙がっているのは,“戦略的な選択”である「ミシシッピ」と,“地理的な選択”である「クメール」だ。
古代北米にガチョウなどいなかったはずだが,なぜかミシシッピは“ガチョウ社会”なる固有能力を持ち,食料ボーナスが高い特徴がある。また固有ユニットの「火矢」は,攻撃ユニットに対して(+3)の戦闘力があり,対象のタイルを2ターンにわたって火の海にすることで,継続的なダメージを与えられる。
もう一つのクメール文明の固有能力は“クセカム・チャムノン”で,これは「河川に区域があっても,タイルの自然産出量は取り除かれない」効果を持つ。固有ユニットは「ユタハッティ」という象兵ユニットだ。
文明にはそれぞれ1つの固有ユニットが用意されているが,卑弥呼にオススメされているのは火矢か象で,どうも違和感がある。そのうえ,どちらの文明も科学力が高いわけではなさそうなので,なぜオススメなのかよく分からない。なにか長所と短所を補完し合えるチョイスなのだろうか。
ともかく,ここは戦略的にプレイできるというミシシッピを選んで,6段階ある難度の下から2番目「総督」と,標準サイズのマップでプレイしてみることにした。首都は「カホキア」で,シティホールを意味する中央の円形建物には,日本観もミシシッピ感もまったくない。2024年8月のインプレッションでは,まだ卑弥呼が選べなかったので意識しなかったが,よくよく考えれば古代にも中世にあたる「探検の時代」にも,日本の文明は登場しない。つまり待望していた侍ユニットなどは登場しないわけだ。残念。
「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII」でシリーズが大きく変わる! 蛮族や労働者が登場せず,海洋につながる行動が可能な河川を追加
2K Gamesは,“シヴィライゼーション”シリーズ最新作となる「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII」のプレスイベントを開催し,2025年2月11日にリリースする予定であることを正式にアナウンスした。3つの時代で独特のゲームプレイが楽しめるといった盛りだくさんな内容について,現地で取材して3時間ほどプレイしてきたので紹介しよう。
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- ライター:奥谷海人
西暦400年からの「探検の時代」に突入すると,プレイヤーは歴史的につながりのある,または指導者の個性にあった文明,あるいはそれまでのプレイでアンロックした文明に移行しなければならない。移行は必須だが,前時代のプレイで獲得した「レガシーポイント」を使って,いくつかの科学やユニット能力,社会制度などを引き継ぐオプションが与えられる。
その一つが,新たにスタートする文明の首都を選択し,名前を付けられる「遷都」だ。なお本作では,都市や町の名前は基本的に変更できない。このため“文明ホップ”と占領によって,漢字とカタカナが入り乱れたマルチリンガルな文明が生まれることになる。
このあたりのゲームシステムは,先に掲載した公式情報のまとめ記事に譲るとして,本稿では今回のテストプレイで判明した前作との違いを,10のポイントに分けて紹介していこう。
これまでのシリーズとは異なる10の違い
1)労働者がおらず,1ターンでもユニットを生産できる
プレイを開始して最初に分かるのは,未開拓領域の霧(Fog of War)が金属質になり,ボードゲームらしいデザインになったことだ。また音楽は「IV」のテーマソング「ババ・エッティ」で初めてゲーム音楽でグラミー賞を獲得したChristopher Tin(クリストファー・ティン)氏が手掛けている。いずれも民族音楽をアレンジしたBGMで,なかなか格好いい。
続いて開拓者を定住させメニューを開くと,非戦闘ユニットである労働者を作れないことに気付くはず。都市勢力範囲のアップグレードは,人口が増えるたびに表示される都市スクリーンから「都市を拡大」を選ぶことで,隣接したタイルに施設を作ったり,農村や漁村を置いたりできるようになった。
災害や敵にタイルが荒らされたときは,1ターンほどで再開発するか,数十ゴールド支払えば解決できるようになり,かなり簡素化された。敵対勢力に労働者が拉致されることもなく,逆に見つけた都市国家を襲撃して労働者を確保する手間もなくなったのはありがたい。
ユニットの生産にかかる時間も短くなり,前作のように最初は斥候を動かすだけ,といった無駄な時間もなくなっている。斥候自体も戦闘ユニットではなくなり,出会った相手に攻撃を仕掛けることこそできないが,移動力と引き換えに視界を(+1)する「警戒」「捜索」というスキルオプションが発動可能となっている。
2)蛮族と都市国家の2つが合体
本作では,これまでなら探索し始めて最初に出会うであろう蛮族と都市国家の概念が大きく変更され,これらが合体した形となった。つまり,発見した都市国家から敵対的なユニットを送り込まれてくる場合があるわけだ。
とはいえ好戦的な都市国家ばかりではないし,例えそうであっても本作から登場した「影響力」というポイントを使えば,数十ターンで友好関係を築くことは難しくない。あるいは近くのライバルに襲撃をけしかけることも可能だろう。
なお,軍勢を一掃すれば次のユニットを生産するまでにプレイヤーのユニットを送り込み,占領も可能だった。ただ占領しても勢力下に置くことはできず,その都市国家を滅亡させるオプションが表示されるのみだった。友好関係を築けば科学や文化といった面で利益が得られ,最終的には併合するオプションも用意されている。国境に接する都市国家であれば,時代が移ったときには消滅するようである。
蛮族の小屋がなくなった代わりに,マップ中には洞窟や廃墟,野営地といった施設が配置されるようになった。そこでは,「地域にオオカミの群れが現れて,旅人たちの脅威になっている」といったイベントが発生し,「退治するために狩人を雇う」や「近くの都市国家に任せておく」といった選択が迫られる。とくに序盤は,こうした選択がゲームの流れを左右することもあるので,探索者を四方に送り出しておくといいだろう。
3)時代の移り変わりと共に現れる“危機”
本作の時代区分が「古代」「探検の時代」「近代」の順に進行していくのは先にも述べたが,その時代の移り変わりに伴って“危機”が発生し,すべての勢力がこれに直面することになる。
“危機”にはいくつかの種類があって,例えば複数の敵対的な独立勢力が突然発生したり,疫病が蔓延したり,民衆の不満が高まって暴動が発生したりとその内容はさまざまだ。低い難度でも100ターンほど経過すると“危機”は発生し,プレイヤーがもたもたしていると,ほかの文明が先に“危機”をトリガーしてしまうこともあるようだ。
時代の進行具合は,画面最左部にあるトロフィー型のアイコン「時代の進展」から確認が可能だ。勝利条件である「文化」「軍事」「科学」「経済」の4つの“レガシーパス”が進行し,100%に到達したとき時代が終わりを迎える。
レガシーパスは,その時代に達成すべき目標を示したもので,それぞれに複数のマイルストーンが設定されている。マイルストーンを達成するとメーターが大きく進行するが,すべてのマイルストーンを達成しなくても構わない。ただ,すべて達成すると「黄金時代」のレガシーがアンロックされるので,こだわってプレイするのもいいだろう。
ともあれ「時代の進展」が70%に達すると,“危機”の最初の兆候が現れる。そうなると,プレイヤーは「危機カード」という,後ろ向きな政策を選択しなくてはならない。これらは「食料生産が増える代わりに幸福度が落ちる」とか,「独立勢力との戦闘が(‐5)される」といったデバフのようなもので,80%でさらに1枚,90%でもう2枚の計4枚を選ぶことになる。ほかの政策との兼ね合いで調整し,ダメージを低く抑えることが肝要といえる。
4)「都市」と「町」というコンセプト
本作においてプレイヤーが建設したり支配下においたりしている都市部は,「都市」と「町」の2種類に分類される。
「都市」は開発が終わるごとにプレイヤーが毎回操作し,新しい施設やユニットを設置していくのに対し,「町」は人口が増えたときだけ開発するタイルを選び,あとはゴールドを投資さえすれば,自動的に成長していく。
さらに「町」は,ある程度成長したタイミングで,成長の方向性をある程度固定できる「専業」を設定できる。当初の町は「成長率+50%」が選択されているが,これを外して「町の採掘場の文化力と科学力+1」や,「資源タイルの幸福度+2,交易路の範囲+5」といったオプションが選べるようになるのだ。
これにより,プレイスタイルに合わせた調整が可能になる。もしさらに細かくこだわりたいなら,ゴールドを払って「都市」にすることだってできるのだ。
都市や町のウィンドウを開けば,領土内の六角タイル(ヘクス)が色分けされ,それぞれの状態を確認できる。「薄緑」はまだ未開発のタイルで,「黄色」はすでに施設があり,何かを設置すると施設が破壊されてしまうタイル,そして「濃緑」が新要素である「改築」の対象となるタイルだ。
改築のタイルには,新しい時代と前時代の建物が混在できる。例えば古代の「穀物庫」があるタイルに,探検の時代の「学舎」を建設したり,同じく古代の「釣り埠頭」のわら屋根小屋は残したまま,「港」を併設したりできる。
本作は,現実世界における「埋もれていく過去」がテーマであることが公言されている。例えば日本の街中に古い神社仏閣が残されているように,あるいはヨーロッパの街並みに,ローマ時代の城壁やナポレオン時代の凱旋門が存在するように,我々の世界にはそれぞれの時代の遺構が折り重なってできている。
改築はまさにこれを再現したもので,歴史の積み重なりがアートのように都市を彩っていくのは実に面白い。
5)戦闘で重要な役割を果たす「司令官」ユニット
本作の戦闘において,非常に重要な役割を果たすユニットが「司令官」だ。
司令官には地上戦用の「軍団」と海戦用の「艦隊」があり,それぞれ4〜6のユニットを束ねて行動する。斥候と同様,防御力(つまりライフ)のみを持つ非戦闘ユニットの一つではあるが,司令官は周囲の戦闘ユニットにポジティブな影響を与え,戦闘ユニットの攻撃ポイントが,司令官の経験値にあたる「賞賛ポイント」として蓄積されていく。
つまり戦闘ユニットそのものには経験値がなく,成長することもない。代わりに司令官だけが成長していく仕組みになった。軍団司令官の強化には,「稜堡(りょうほ)」「突撃」「兵站」「機動戦」「指導力」の5つのツリーがあり,艦隊司令官には「艦砲射撃」「交戦」「兵站」「機動戦」「指導力」の5つのツリーがある。ポイントを2つ獲得してからは,独立勢力とやり合っていてもほとんど経験値が溜まらないので,ライバル勢力との戦いには,必ず前線で司令官に指揮させたいところだ。
ユニットを束ねる司令官の機能により,これまでのようにユニットを一つずつ動かす煩わしさがなくなり,敵地につくと一斉に展開して攻撃を開始できるようになった。強化のツリーの中には展開直後から攻撃や移動を開始できるものもあり,これによって歩兵や騎馬ユニットなどは前線に,弓兵は後方に自動で配置されるのもありがたい。
6)移動可能な河川が登場し,中世には大海原に漕ぎだすレースに
新たに登場した移動可能な河川,つまり大河は,小さい要素とはいえ侮れない変化をゲームにもたらしている。
通常の川と同様,大河の徒渉には+1の移動力が必要で,また氾濫して災害を引き起こすのも変わらない。違いは船やユニットが航行できることで,これにより内陸部の“海なし都市”でも,大河さえあれば「埠頭」や「港」を建設し,海上ユニットをとおして軍事的/経済的利益を享受できるのだ。
もちろん,地上戦においても大河は天然の防壁になるので,都市の立地としても悪くない。ただし,敵が船団を率いて川を遡上してくることはありえるので,その場合は苦戦を強いられるだろう。実際に筆者がプレイしたときも,敵対的な独立勢力が大河を利用して探索や略奪に来ることがあった。
海洋に目を向けると,少なくとも古代においては沿岸から先の領域に進むことができず,探検の時代でも安易に大海原に乗り出すと,かなりの確率で荒波に揉まれ,ダメージを受けるハメになる。テクノロジーが進めば無傷での航行が可能になり,陸上ユニットも海を渡れるようになるので,まずはそちらが先決だろう。
探検の時代には,これまで存在しなかったスパイスのようなリソースが登場するようになる。自分の持たないリソースを求めて,まさに探検しながら領地を獲得するレースが始まるわけだ。
7)宗教と信仰のシステムは大きく簡略化
宗教は依然として存在するが,システム上の重要度はかなり下がっている。
まず古代においては,「祭壇」や「神殿」を設営することで宗教を創設できる。ただ,「伝道者」が登場するのは探検の時代になってからなので,布教はそれからだ。一方,都市と町には,名称の下に「市街宗教」と「郊外宗教」を表す小さなアイコンが表示されるが,これは施設が立ち並ぶ「市街地」と,農村や鉱山,プランテーションなどがある「郊外地」で,それぞれ信仰が異なることを示している。その双方で伝道者が布教を行ってはじめて「主流宗教」となれるのである。
前作と大きく異なるのは,伝道者以外の宗教ユニットが存在しないことだ。
故に戦うことも,戦闘ユニットにキルされることもなく,都市や町にただ布教し続けることしかできない。さらに最初に神殿を作り宗教都市となった都市はアンタッチャブルになり,ほかの都市が改宗してしまったとしても,伝道者ユニットを生産するとプレイヤーの選んだ宗教のユニットが誕生するという,不思議なことも起こりえる。
このように宗教関連は全体的に簡略化された印象で,これはおそらくプレイが煩雑になってしまった前作の反省と思われる。ただ社会政策次第では,敵地の町を改宗させたり,自分の町を改宗し直したりで,いくばくかのゴールドを得られるので,利点がないわけではない。それ以外に何かあるのかは,今のところ不明だが。
8)テクノロジーツリーや遺産,道路の施設も簡素化
これまで細分化傾向にあったテクノロジーツリーだが,最新作では古代で16種類ほどと,非常にコンパクトにまとめられた。いくつかの技術は2段階の研究が可能で,通常の半分程度のターン数で強化も可能なようだった。
拡張主義系(本作では軍事主義とは異なる)のプレイなら,注目したいのは「居住地のスロットを1つ増やす」という技術だ。プレイヤーが設置できる「都市」と「町」の総数は文明ごとに決まっており,例えば難度がデフォルトの「総督」なら,4〜6つほどがスタート時点での制約となっている。
探検の時代はその倍,近代になるとさらに倍というように,居住地の制約は増えていくが,実際には町はいくらでも設置できてしまう。しかし制約の数を超えると不満が積もりやすくなり,“危機”では反乱によって近隣のライバル勢力側に寝返ってしまうこともある。
非戦闘ユニットはコストがかからないので,開拓者を過剰生産して常に都市に留めておき,居住地スロットが増えたタイミングで滅びた都市国家やライバルの都市跡に素早く送り込むのが,領土拡張にはいいかもしれない。
テクノロジーツリーが簡素化された分,アンロックされる“遺産”(過去には七不思議と呼ばれたモニュメント)の数も減少しており,古代に設置できる遺産は15種程度となった。古代に文化勝利を目指すのであれば,その半分の7つは自国領土内に設置しなければならないようだった。
なお商人が移動した経路が道路になるのは変わりないが,すでに道路が敷設されている箇所では,そちらを優先して利用されるため,これまでのようにスパゲッティ状になった道で景観が汚されることはなくなっている。
9)「影響力」を使った外交
先にも少し触れた「影響力」というポイントは,ゲーム中にアドバイザーから「溜め込んでいても良いことはありませんよ」と盛んに言われるほど重要な新要素だ。「影響力」ポイントは社会政策や施設によって毎ターン溜まっていき,これを消費することで4種の外交が行える。
国境開放や軍事展開を非難できる「条約」,共同研究や支援の提供を促す「外交努力」,研究開発や軍事生産の妨害を行う「制裁」,敵地にスパイを送り込んだり,逆に防諜を行う「スパイ活動」がそれで,それぞれにいくつかのオプションがある形だ。
また影響力は都市国家との交渉にも用いられ,敵対している相手にも,「独立勢力と友好関係を築く」か「独立勢力 ‐ 襲撃の扇動」のいずれかの“プロジェクト”を仕掛けられる。とくに各時代のスタート時には,都市国家を見つけ次第,近辺のライバル勢力への襲撃を扇動しておけば,相手の発展を削ぐことができるようだ。
いずれにせよ,影響力ポイントを獲得するほど,相手との交渉が容易になり,手の打ちようがなくなっても状況を覆すことができそうだった。
少し不満なのは,休戦交渉の受け渡しが都市や町のみになったことだろうか。ゴールドや資源の取引はできないので,選択肢が狭まってしまった。うまいやり方としては,戦争で相手の僻地にある都市や町を奪ったとき,交渉条件で遷都後の旧首都をもらうことだろうか。実際,古代遺産がいくつも設置された町を手に入れることができた。
10)文明と指導者の不一致は,やはり気になる
これまでシリーズをプレイしてきた筆者が,一番ロマンに感じていたのは,「誰もが知る偉大な歴史的指導者が,もし自国を率いて激突しあったら?」というものであった。そのため「VII」で指導者と文明が完全に切り離された点は,どうしても気になってしまう。例えば卑弥呼がミシシッピ族やクメール族,さらには古代ローマ人やエジプト人を率いるというのは,なんとも言えない違和感がないだろうか。
それは敵勢力も同様だ。エカチェリーナ2世が外交スクリーンに登場したと思ったら古代ギリシャ文明を率いていたり,中世にカラコルムの都市を見つけたと思ったらナポレオンが率いていたりする。「明文明を不意打ちしたら,外交で仲良くしていたベンジャミン・フランクリンが指導者だったのか!」というような事態が起こりえるので,古参のプレイヤーほど判断を誤る可能性がある。
ただ面白いのは,「特定の指導者は,特定の時代の特定の文明のみと相性が良い(かも知れない)」ことだ。古代において驚くほどの成長を達成してた指導者が,中世で泣かず飛ばすになってしまうようなことはままあるので,気の抜けないプレイが楽しめる。
Firaxis Gamesのエグゼクティブ・プロデューサーであるDennis Shirk(デニス・シャーク)氏が今回のイベントで筆者に語ったように,Steamの「V」や「VI」が現役でプレイされている状態で,同じようなゲームをリリースしても意味はない。
シリーズの土台をそのままに,新しいものを作ってやろうという意気込みは十分感じられるので,本作もまた,多くのゲーマーが「もう1ターン,あともう1ターンだけ……」と徹夜でドはまりすることになるだろう。
気付けば夜が明けてしまうという,ゲーム中毒(Game Addiction)が問題になった最初期のゲームとして知られる「シヴィライゼーション」だが,最新作の「VII」はとくに革命的で,シリーズの中においても新章と呼ぶに相応しいものになるだろう。PC版だけでなく,Nintendo Switchを含む各種コンシューマ機版も同時発売され,さらにはSteam Deckでもプレイ可能なことが謳われている。
まだ詳しく紹介されていない第3時代「近代」がどのようなプレイになるのかに期待しつつ,寝不足を覚悟しているプレイヤーは,今から「デラックス エディション」や「創始者エディション」をプレオーダーして,新たな世界征服を夢見ておこう。
「シドマイヤーズ シヴィライゼーションVII」公式サイト
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