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異色のマルチ展開が光るボードゲーム「アイドルアライブ」,第2回公式ファンミをレポート。4月24日には,1stアルバムのクラファンが始まる
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アイドルアライブは,アイドルユニットを構築して戦う1対1の対戦アナログゲームだ。キャラクターごとに“担当声優”が存在し,それぞれの楽曲が用意されるなど,アナログゲームとしては珍しいマルチメディア展開を行っている作品として知られている。
ライブで戦う対戦ボードゲーム「アイドルアライブ」シリーズ,第2回公式ファンミーティングを3月23日に開催。特典などの情報も明らかに

ボードゲームレーベル「SUSABI GAMES」を運営するBlueFlintは,同社が展開する「アイドルアライブ」シリーズの“第2回公式ファンミーティング”を,2025年3月23日に開催する。現在はボードゲームベアで参加受付が実施中で,締切は3月3日までとなっている。
今回のイベントには,「柊 涼子」役のMAKIKOさんと,「天羽かのん」役の桃河りかさんがゲスト出演した。本稿ではイベント全体の模様をお届けするとともに,会場で発表された新情報や,本作を手掛けるゲームデザイナーのかく氏へのインタビューをお届けしよう。
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「アイドルアライブ」シリーズ公式サイト
ガチの対戦ゲームだが
イベントはマイペースに楽しめるものに
まずは,イベントの題材となっている作品「アイドルアライブ」の内容を簡単に紹介しておこう。
本作は“リビング・カードゲーム”(以下,LCG)と呼ばれるジャンルの作品だ。1つのパッケージに対戦に必要な要素がすべて含まれているのが特徴で,拡張セットによる環境変化を定期的に発生させつつも,プレイヤー間でのカード資産の格差が発生しない構造になっている。
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・リビング・カードゲーム
もともとは「拡張セットが毎月リリースされ,環境が変化し続ける作品」をLiving Card Game(生きているカードゲーム)と呼んでいたが,最近では単に“封入にランダム要素がない”という要素を指してLCGと呼ぶことが多い。「ブルームーン」や「アンドロイド:ネットランナー」,国内では「桜降る代に決闘を」などが代表作として挙げられる。
アイドルアライブ(基本セット)には,6人のアイドルが収録され,各アイドルが固有のカードセットを持っている。プレイヤーは3人のアイドルを選んでユニットを組み,選んだアイドルが持つカードを組み合わせてデッキを構築することになる。
アイドルたちはそれぞれ「センター能力」を持っているが,センターになるアイドルは対戦開始時に1名しか選べない。デッキの内容と,センターにするアイドルの組み合わせによって,多様性のあるゲーム展開を実現しているのだ。
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このように,かなりアツい対戦を楽しめる作品なのだが,今回のイベントにはピリついた雰囲気はない。ガチ対戦を楽しむトーナメントだけでなく,フリー対戦卓や休憩所などの“コミュニケーション用の空間”が広く取られていたこともあり,むしろ和気あいあいとした空気を感じられた。
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とくに印象的だったのは,来場者たちが明確に“遊び”を主目的にしているように感じられたことだ。
会場では声優のMAKIKOさん,桃河りかさんとの対戦会も行われていたが,それも「有名人に会うために参加した」といった雰囲気ではなく,来場者・出演者ともに純粋に対戦を楽しんでいるように見られた。
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どの時間帯でも,それぞれの参加者がマイペースにゲームやコミュニケーションを楽しんでおり,こうしたイベントとしては珍しいほど,良い雰囲気が保たれていたように思う。卓を囲んで遊ぶのが前提にあるコンテンツとしては,ある意味で理想的なファンイベントといえるかもしれない。
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イベントの後半には,対戦会に参加したMAKIKOさん,桃河りかさんに,ゲームデザイナーのかく氏を加えた3名が改めて登壇し,事前に収集したファンの質問に回答するトークステージが行われた。
収録の思い出や,キャラクターの印象,イベントで行われた対戦の振り返りなどが主な話題だ。深くコンテンツに関わり,ガッツリとゲームを遊んでいるだけあって,いずれも実感がこもった話になっていたのが面白いところだ。出演声優陣によるトークステージで,デッキ構築の話を真面目にするのはなかなか見られないだろう。
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個人的には,「最初に触れたアナログゲーム」についての話題が強く印象に残った。人生ゲームやトランプといった伝統ボードゲームが挙げられていたが,それぞれが異なるルートで近代的なアナログゲームに触れ,趣味として根付いていったという。
かく氏は,ボードゲームを作るきっかけになった作品として,ヒラメキ工房が手掛けた「ベクトル将棋」(リンク)を紹介した。こうしたインディーのボードゲームに良さを感じ,それから自身もボードゲーム制作に取り組むようになったそうだ。
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1stアルバムのクラファンは4月24日開始へ
アプデや新コンテンツの情報もチラ見せ!
対戦会やトークステージを経て,最後に実施されたのが新情報の発表会だ。ここでは「コンテンツ運営」「新製品」「シリーズ新コンテンツ」「クラウドファンディング」の4点が紹介されたので,以下にそれぞれの内容をまとめて紹介しよう。
・コンテンツ運営
これまでの状況を考慮したうえで,既存製品に向けたバランス調整を行うことと,新規プレイヤーに向けた新たな施策を実施予定であることが発表された。
調整や施策の具体的な内容については触れられなかったが,かく氏は「既存プレイヤーのためにも,新しい施策を実施する必要があると考えています」と,その意図するところを語った。
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中国のボーカロイドグループ「Vsinger」とコラボした独立型拡張セット「アイドルアライブVsinger」については,すでに製造段階に入りつつあることが明らかにされた。輸送などのトラブルがなければ,ゲームマーケット2025春で販売されるとのこと。
本製品は独立型拡張セット(単体でプレイ可能な拡張セット)であり,基本セットと混ぜて遊ぶことは想定していないものの,基本ルールは同様なので,セットをまたいだ対戦は行えるそうだ。
・シリーズ新コンテンツ
アイドルアライブシリーズは,LCGジャンルの作品として展開されてきたが,今後は異なるジャンルのボードゲーム製品も計画中であることが発表された。現時点では詳細が明かされていないので,期待しつつ続報を待とう。
・1stアルバム クラウドファンディング
1stアルバム「LIGHTs UP」のジャケットが公開され,制作に向けたクラウドファンディングの開始日が4月24日に決定したことが発表された。
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プラットフォームは「Campfire」で,すでに事前登録がスタートしている。以下の事前登録ページで“お気に入り”登録を済ませておくと,開始時にメールでお知らせが届く仕組みなので,動向が気になる人は今のうちに登録しておこう。
Campfire「ボードゲーム『アイドルアライブ』オリジナルCDアルバム制作プロジェクト!」事前登録ページ
BlueFlint代表 かく氏
クリエイター インタビュー
最後に,SUSABI GAMESを運営するBlueFlintの代表にして,ゲームデザイナーのかく氏に向けたインタビューを掲載しよう。
ボードゲームとしては珍しいマルチメディア展開を行っている理由や,そこに至るまでの苦労などについても語られているので,アイドルアライブに興味を持った人はぜひチェックしてみてほしい。
4Gamer:
今回のイベントは2回目ということですが,来場者の様子はいかがでしたか。
かく氏:
ちょうど1年前に開催した1回目から,人数的には25%増となりました。会場もひと回り大きいものを確保しましたが,それも上限に達するほどの方にご来場いただき,非常に嬉しく思っています。一方,コミュニティイベントによく来場してくださる常連さんが落選してしまうこともあり,心苦しい部分はありました。
雰囲気としては,初めて声優さんを呼ぶことになり,それを目的に来られる方もいたと思います。ただ,それで空気が大きく変わるようなことはなかったかなと。しっかりと作品を楽しんでくださっている,熱量の高い方が多かったんじゃないかと思います。
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4Gamer:
来場者同士が活発に交流していて,スタッフとの距離感も近い印象を受けました。コミュニティが大事なコンテンツとしては理想に近い環境だと思います。こうした雰囲気は,意図して作り上げていったものなのでしょうか。
かく氏:
SUSABI GAMESの理念として,各種のイベントは「参加者同士が仲良くなれること」を目標としています。良い仲間やライバルがいると,ゲームはさらに面白くなるからです。開会式や閉会式では,私から直接「このイベントの勝利条件は,みんなで楽しい空間をつくることだよ」という旨を伝えていますし,イベント自体の構成もコミュニケーションを重視しています。
たとえば,今回はランダム缶バッジを配っているのですが,会場内でのトレードは自由にしてもらっています。これは,グッズをコミュニケーションのきっかけにしてもらうためですね。
4Gamer:
いわゆる対戦を重視したスタンスもありうるかとは思うのですが,一貫してコミュニケーションを重視する意図はどういった部分にあるのでしょう。
かく氏:
アイドルアライブの場合は対戦ゲームなので,競技的なTCG(トレーディングカードゲーム)に近い側面があるのは確かです。でも,同時にコミュニケーションを楽しむボードゲームとしての面もしっかりあるんです。
誤解を恐れずに言うと,ボードゲームは“同じ目線”で遊ぶのが難しいジャンルと言えます。初対面の参加者が,初めて触れるルールで遊ぶことが多く,何らかの形で助け合いが必要なんですね。対戦ゲームであっても,それを楽しく遊ぶための”協力ゲーム”が前提になっている。それが文化として根付いているのが,ボードゲームというジャンルの良さだと思っています。
対戦を真剣に楽しむのはもちろん大事ではあるのですが,私はボードゲーム的な良さをしっかりと残していきたいと思っているんです。なので,イベント自体の雰囲気づくり,意識づくりの両面で,コミュニケーションを重視するように調整している,という感じです。
4Gamer:
サイン入りカードがじゃんけんの景品で,トーナメントの賞品がグッズなことにも,そういった意図が含まれているのでしょうか。
かく氏:
イベントの報酬には「どんなプレイヤーを褒めるか」という意図が含まれますし,主催者はそれを設計する立場になります。トーナメントの優勝者が最も得をする仕組みにすると,「強いプレイヤーが一番偉い」ということになり,コミュニケーションを重視するという方針からは離れてしまいますよね。
4Gamer:
対戦を真剣に楽しみつつ,コミュニケーションの楽しさをきちんと味わう方法は,いろいろな場所で模索されている部分かと思います。これまでには,どんな施策を行ってきたのでしょうか。
かく氏:
前回(第1回)のファンミーティングでは,「対戦でセンターにしたアイドルに投票ができ,その投票によって“本日のトップアイドル”を決める」という仕組みを導入して,自分の推しを使う理由付けを作っていました。勝ち負け関係なく票が入るので,強さや勝敗よりも,好みや楽しみを優先してもらえたんじゃないかと思っています。コンセプトをぶらさず,いい塩梅を見定めてやっていくのが運営側の課題ですので。今後もそういった形で,考えていきたいですね。
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4Gamer:
今回のイベントでアイドルアライブを知った人は,まずどこから情報を集めるのがオススメですか。
かく氏:
まず,公式サイトとYouTubeチャンネルを見てもらうのが良いと思います。YouTubeチャンネルには楽曲はもちろん,ルール解説動画もあります。
あとは,SUSABI GAMESのアンバサダーによる公認イベントが全国で行われていますので,そちらにご参加いただくのもオススメです。初心者向けのイベントもありますので,遊んで気に入っていただけたら,ぜひ手にとってみてください。
4Gamer:
アイドルアライブは,ボードゲームとしては非常に珍しいマルチメディア展開を行っています。こちらを実現しようと思った経緯を聞かせてください。
かく氏:
ボードゲームの楽しさを,より多くの人が体験できるようにする,というのが最初の発想です。いくら面白いゲームを作ったとしても,何のサポートもなしにその面白さに辿り着ける人は限られています。
ゲームの外側を作り込むことで,ゲーム体験それ自体を面白くすると同時に,より多くの人が面白さのコアの部分にたどり着けるようになると思ったんです。遊びの内外が相互につながって,それぞれが影響を与え合う環境を目指して,現在はマルチメディア展開しています。
4Gamer:
マルチメディア展開を行う場合,必要な人員は大きく増えていくと思います。メインの業務があるなか,これまでとまったく異なる業務に触れることになると,キャパシティが厳しいようにも思えますが,どのように補っていったのでしょうか。
かく氏:
すべてを私自身がこなすのは不可能になってきたので,最近は積極的に誰かに任せるようにしています。人に仕事を任せる場合は,相手のクリエイティブを尊重することで,私自身がクリエイティブの限界値にならないよう心がけています。
すべてを自分の脳内にある理想像に寄せるのではなく,自分が思い描いていたものと,相手のアウトプットを俯瞰して,「どう組み合わせるのが一番良くなるか」ということを考えるようにしています。コンセプトさえ外さなければ,それが一番良いものを作れる考え方なのかなと。
4Gamer:
もともとはサークルというスタイルでしたが,現在は企業という形式になっています。ボードゲームを専業で作る立場になり,変わったことはありますか。
かく氏:
当然ですが,固定費(給与など)のことを考える必要が出てきます。となれば,いかにそれを考えなくて済むようにするか,というのが課題になります。なので,売上は以前より気にするようになったと思います。
ちょっと特殊な例かもしれませんが,同人活動をしていたころから利益率をちゃんと決めて作っていたので,起業前後でスタイルが大きく変わるようなことはありませんでした。
4Gamer:
ということは,当初から起業を想定されていたのですか。
かく氏:
いえ,まったく考えていませんでした。ただ,利益を考慮しない値段設定は業界としての価格のダンピング(廉売)につながりますし,利益を取ることでこそ実現できるものがあると思っていたので,結果的にきちんと利益を取れるように調整していました。
なんというか……私の中では,利益は“借りているもの”という認識があるんです。私たちはコンテンツ制作を通じ,それをひと回り大きい作品にして返す。良い作品ができれば,もっと大きな利益を借りられるから,それをもっと大きくして返す。
その流れを,私は「雪玉を転がす」と表現しているのですが,私たちとユーザーでより大きな雪玉を作れたらいいなと思っています。
4Gamer:
当初から“仕事”に近い認識で行動されていたのですね。だからこそ,同じ感覚で活動を継続できたと。
かく氏:
大きく変わったのは,組織づくりの観点が強くなったことでしょうか。いままでは自分の頭にあることを「これをやる」と決めてやればよかったんですが,会社を立ち上げてからは“会社としての目標”や“チームとしての価値観を共有”などを意識的にやっています。まっとうな会社になろうとしている,といえばそうかもしれません(笑)。
4Gamer:
こういってはなんですが,スタートアップ的な起業とは思えないほどしっかりとしていて驚きました。
かく氏:
そのほうがスピード感が出るとか,ツーカーの仲なら言葉にする必要がないとか,利点はあるんですけどね。私自身が仕組みづくりが好きだからかもしれません。多分,やらなくても大丈夫なんだけど,やるとより良くなりそうだからやっちゃう,みたいなところがあって。
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そういえば,書籍の執筆もされていましたよね。ゲームデザイナーとしての仕事だけでも相当に大変だと思うのですが,ちょっと業務過多が心配になってしまいます。
かく氏:
正直なことをいうと,去年の今ごろから夏ごろにかけては仕事が限界まで詰まってパンクしていました。ですので,去年の秋あたりからは諸々の改善を進め,新たな人員を採用し,私が持っているものを預けられる体制を作っています。
心配もありますが,この体制であれば自分の仕事に注力できるので,それが全体のクオリティアップにつながるなら手放していこうというマインドでやっています。
4Gamer:
最後にこの記事を読んで,アイドルアライブというコンテンツに興味を持った人にメッセージをお願いします。
かく氏:
ボードゲームの魅力の1つは,「参加者同士で楽しさを共有する文化」にあると私は思っています。言うなれば“一緒にゲームを楽しむ”という協力ゲームが,実際に遊ぶゲームを包括するメタ的な形で存在するようなイメージです。
卓を囲むメンバーと一緒にルールを把握し,ゲームの処理やコンポーネントの受け渡しを「共同作業」として行う体験は,対戦相手であっても一体感を感じることができ,楽しいものです。
アイドルアライブは,それをより楽しめるようにコミュニティを形成し,商品群を構築しています。多岐にわたるアイドル系コンテンツの中でも,珍しい切り口の作品だと思うので,ぜひご注目いただければ幸いです。
ボードゲームは構想を実現するまでが早くて,アイデアをすぐ作ってすぐ試せる世界なので,このジャンルには“発想”が満ちています。実に沼につかりがいがあるジャンルですので,興味を持たれた方はぜひ,弊社の製品以外にも,いろいろと探してみてください。
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「アイドルアライブ」シリーズ公式サイト
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