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もしゾンビだらけの街で目覚めたら。「God Save Birmingham」では,歴史考証と物理演算が生み出す究極のサバイバル体験が味わえる[gamescom]
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「God Save Birmingham」公式X
開発を手がけるのは韓国のOcean Drive Studioだ。Unreal Engine 5を駆使して作られた本作は,歴史的正確性と物理演算にこだわり抜いた,中世版「Project Zomboid」とでも呼ぶべき作品である。現在はプレアルファ段階で,Steamでの早期アクセスを目指して開発が進められている。
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本作の舞台となる14世紀のバーミンガムは,歴史的調査によると当時の人口が約3000人だったという。そしてゲーム内にはその3000人全員がゾンビとして登場する。プレイヤーは唯一の生存者として目覚め,かつての家族や隣人がゾンビと化した街で生き延びなければならない。
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会場でデモプレイを体験してみると,まず目に飛び込んでくるのが中世イングランドの街並みの再現度の高さだ。木組みの家々,藁葺き屋根,石造りの教会――すべてが14世紀当時の建築様式に基づいて作られている。
開発者によると,街の配置から建築物,さらには日用品や家畜に至るまで,あらゆる要素が歴史的調査に基づいているのだとか。
「私たちは単に中世っぽい雰囲気を作りたかったわけではありません。14世紀のバーミンガムがどのような街だったのか,人々がどのような生活を送っていたのかを徹底的に調査し,それをゲーム内に再現することにこだわりました」(HyeonSeong Cha氏)
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実際にプレイしてみると,その徹底ぶりがよく分かる。家の中に入ると,当時使われていたであろう調理器具や農具が置かれており,それらはすべてアイテムとして実際に使用できる。井戸から水を汲み,暖炉で火を起こし,拾った食材を調理する――まるで本当に中世の生活を体験しているかのような感覚に陥る。
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「God Save Birmingham」の最大の特徴は,なんといっても物理演算を活用した戦闘システムだ。中世が舞台なので当然ながら銃器は存在しない。プレイヤーは剣や斧,槍といった武器,あるいは周囲にあるさまざまなオブジェクトを使ってゾンビと戦う。
デモプレイでとくに印象的だったのは,オブジェクトの重さや形状がきちんと物理演算に反映されている点だ。例えば,樽を持ち上げてゾンビに投げつけると,その重さに応じてゾンビがよろめいたり倒れたりする。軽い木箱では軽くよろめく程度だが,石の塊のような重いものを投げれば一撃で倒すことも可能だ。
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また,武器による攻撃も部位破壊システムが実装されており,頭部を狙えば即死,脚を狙えば転倒させられる。倒れたゾンビは踏みつけてとどめを刺すこともできる。物理演算はここでも働いており,プレイヤーの体重や踏みつける強さによってダメージが変わるとのことである。
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さらに興味深いのは,必ずしもゾンビを倒す必要がないということだ。ドアや窓をバリケードで塞いだり,重い家具を移動させて通路を塞いだりすれば,ゾンビの侵入は防げるのだ。実際,プレイ中に複数のゾンビに追われたときには,部屋に逃げ込んでドアの前に棚を押し付けることで難を逃れることができた。
「中世の人々が実際にゾンビと遭遇したら,どのように戦うだろうか。そう考えたとき,物理的な障害物を利用するという選択肢は必然的に生まれました」(Guinn Kim氏)
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本作のサバイバル要素は,まさに「Project Zomboid」の精神を受け継いでいる。キャラクターには飢え,喉の渇き,疲労,体温,怪我,精神状態など,さまざまなステータスが存在し,これらをすべて管理しながら生き延びなければならない。
食料システムも非常にリアルだ。中世には冷蔵庫などないため,食材は時間とともに腐敗していく。そのため,肉を乾燥させたり,塩漬けにしたりといった保存方法を活用する必要がある。デモプレイでは,狩りで得た鹿肉を乾燥ラックに吊るして保存食を作るシーンも体験できた。
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水の確保も重要な要素だ。井戸から新鮮な水を汲めるが,川の水をそのまま飲むと病気になる可能性があるという。そのため,火を起こして水を沸騰させてから飲む必要があるなど,細かい部分まで作り込まれている。
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怪我のシステムも複雑だ。ゾンビに噛まれたり,戦闘で負傷したりすると,その部位に応じてさまざまな影響が出る。軽い擦り傷なら包帯を巻けば済むが,深い傷は縫合が必要になる。また,傷口から感染症にかかる可能性もあるため,傷の手当ては慎重に行わなければならない。
「私たちは単純な『HPが減ったら回復アイテムを使う』システムではなく,より現実的な怪我と治療のシステムを作りたかったのです」(HyeonSeong Cha氏)
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キャラクターの成長要素として,さまざまなスキルシステムも実装されている。戦闘スキル,クラフトスキル,料理スキル,医療スキルなど,行動に応じてスキルが上昇していく仕組みだ。
例えば,剣を使い続ければ剣術スキルが上がり,より効率的に戦えるようになる。料理を繰り返せば料理スキルが上がり,より栄養価の高い食事を作れるようになる。このように,プレイスタイルに応じてキャラクターが成長していくのも本作の魅力の一つだ。
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また,昼夜のサイクルや季節の変化も実装予定とのこと。夜になれば松明やランプなしでは視界が確保できず,冬になれば防寒対策が必要になる。こうした環境の変化に適応しながら,長期的な生存計画を立てていく必要がある。
デモプレイ中,教会の鐘楼に登って街全体を見渡すシーンがあったが,その光景は圧巻だ。眼下に広がる中世の街並み,その中をさまようゾンビたち。この絶望的な状況の中で,どうやって生き延びていくか――プレイヤーの創意工夫が試される。
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現在のビルドはプレアルファ段階で,まだゲームデザイン要素や完全なゲームプレイループは実装されていない。開発者によると,現時点では「限られたメカニクスとコンテンツを持つサンドボックス体験」に近い状態だという。
しかし,それでも十分に本作のポテンシャルを感じられた。歴史的正確性へのこだわり,物理演算をいかした戦闘システム,奥深いサバイバル要素――これらが組み合わさることで,従来のゾンビゲームとは一線を画す独特の体験が生まれている。
「私たちの目標は,プレイヤーが本当に14世紀のバーミンガムで生きているかのような感覚を味わえるゲームを作ることです。そのために,歴史考証と現実的なシステムにこだわり続けています」(HyeonSeong Cha氏)
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なお日本語への対応は,まだ確定こそしていないが,可能性は高いとのこと。中世イングランドという西洋の歴史を扱った作品ではあるが,サバイバルゲームとしての普遍的な面白さは,きっと日本のプレイヤーにも響くはずだ。
歴史と物理,そしてサバイバルが融合した本作が,早期アクセスでどのような形に仕上がるのか。今から楽しみでならない。
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