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「ゲームマーケット2025春」新情報&ブースまとめ。大手からインディーまで,期待作が盛りだくさん。最近元気なTCG関連ブースにも注目
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ボードゲームを中心に,TCGやテーブルトークRPG,マーダーミステリーといった,さまざまなジャンルのアナログゲームが一堂に会するこのイベント。会場は前回に引き続き幕張メッセの展示ホール5〜8となっていたが,特設ブースが外周に配置される形に変更され,アクセスがしやすくなったように感じられた。
本稿では会場を賑わしていた新作タイトルの中から,とくに気になったものをピックアップして紹介する。また,CMON Japanのセールスマネージャー,渡辺 健氏へのインタビューも掲載しているので,あわせてご一読いただきたい。
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「ゲームマーケット」公式サイト
ゲームマーケットで見かけた新作&注目タイトルまとめ。TCGの新製品が続々登場
まずは会場で発表されていた新作タイトルの中から,めぼしいものをチェックしていこう。以下に発表タイトル,メーカー,関連リンクをまとめているので,気になるものからチェックしてもらいたい。
種別 | タイトル | メーカー | リンク |
---|---|---|---|
ボドゲ | シティーズ | アークライト | BGG |
ボドゲ | オラパ・マイン | アークライト | BGG |
ボドゲ | スカイライズ | アークライト | BGG |
ボドゲ | スノーコロニー | アークライト | 公式 |
ボドゲ | 指輪物語:運命の旅 | ホビージャパン | BGG |
ボドゲ | シネマポップコーン | ホビージャパン | BGG |
ボドゲ | バロニィ:ロイヤルエディション | ホビージャパン | KS |
TRPG | サイバーパンクRED デンジャー・ギャル・ドシエ | ホビージャパン | 公式 |
ボドゲ | しゃかしゃかたからさがし | ケンビル | 公式X |
ボドゲ | Bier Pioniere | ケンビル | BGG |
ボドゲ | Bier Pioniere 拡張:Bier Boom | ケンビル | BGG |
主催であるアークライトのブースでは,海外タイトルの日本語版にあたる「シティーズ」「オラパ・マイン」「スカイライズ」に加えて,国産の完全新作「スノーコロニー」が発表された。これらは,いずれも2025年内(スノーコロニーは年内夏)に発売予定だ。
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毎回多数の新作が発表されるホビージャパンブースでは,協力型ゲーム「指輪物語:運命の旅」,映画ネタが山盛りの「シネマポップコーン」,クラウドファンディングが実施予定の「バロニィ:ロイヤルエディション」,テーブルトークRPG「サイバーパンクRED」のサプリメント「デンジャー・ギャル・ドシエ」の告知が掲載されていた。発売時期は不明なので,続報に期待したい。
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ボードゲームだけでなく,今回はTCG系製品のブースも多数出展されていた。
7月5日に発売される「ゴジラ カードゲーム」や,ブースターパック第3弾が発売されたばかりの「ディズニー・ロルカナ・TCG」が大きなブースを構えており,さらに神椿スタジオが「KAMITSUBAKI CARD GAME」を初出展していた。
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実際に,「KAMITSUBAKI CARD GAME」を会場でプレイしてみたところ,相互に“攻撃”しあうやり取りがないという,TCGとしては珍しい作りとなっていた。ではどうやって勝敗を争うのかといえば,キャラクターに「SONG」カードをセットするなどでリソースをやりくりし,勝利点(VOL)を獲得していく仕組みである。プレイフィールとしてはボードゲームに近く,とくにユーロゲームが好きな人がハマりそうな雰囲気である。
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ボドゲ,謎解き,VRなど多彩なジャンルが揃った出展ブース
続いては,会場で見かけた気になるタイトルを,筆者の独断でピックアップしていこう。写真と共に関連リンクを掲載しているので,詳細はリンク先を確認してもらいたい。
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販売ブース以外にも,さまざまな催しが開かれているのがゲームマーケットだ。
現地でしか楽しめない謎解きや,ボードゲームやテーブルトークRPG向けのアクセサリ,VR空間でボードゲームを楽しめるサービスの紹介など,その内容は多種多様。単なる即売会ではなかなか見られない要素を楽しめるのも,こういったイベントの醍醐味といえる。
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幕張メッセに会場を移してから二度目の開催となった今回のゲームマーケット。来場者数は両日合わせて2.7万人に及び,事務局長であるアークライトの草野彰宏氏は,「皆さんの熱量の高まりを感じる」と,来場者の増加を喜んでいる様子だった。
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「これから1〜2年は勝負の年になる」。CMON Japan 渡辺 健氏インタビュー
最後に,CMON Japanのセールスマネージャーである渡辺 健氏に話を聞く機会が得られたので,その内容を掲載する。
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というのもの,国内外のボードゲームメーカーが昨今,立たされている苦境について詳しく語ってくれたからだ。ボードゲーム業界の裏事情に明るい人なら先日,アメリカが発表した関税政策――いわゆるトランプ関税によって,多くのボードゲームメーカーが困窮に陥っていることを知っているかもしれない。
関税に追い詰められたボードゲームメーカーが,トランプ氏を提訴する

トランプ政権による関税強化が,アメリカのボードゲームメーカーに深刻な打撃を与えた。多くのメーカーが声明を出し,彼らのゲームが中国に足止めされていると訴えている。複数の会社が,トランプ大統領に対する集団訴訟を提起する予定だ。
精巧なミニチュアや,クラウドファンディングによる豪華な“大箱”製品を主力とするCMONもまた例外ではない。同社の公式サイトでは,クリエイティブチームの削減,新規プロジェクトの停止などが行われる旨の告知が4月24日に発表され,話題を呼んだ経緯もある。
当然,CMONの子会社であるCMON Japanにも影響があるはずで,今後が気になるところである。ゲームマーケットの直前に,詳しく話を聞いてみた。
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4Gamer:
お時間をいただきありがとうございます。CMONの発表を受けて,国内のボードゲームファンも不安に感じていると思いますが,CMON Japanの現状はいかがでしょうか。
渡辺 健氏(以下,渡辺氏):
ご存知のとおり,現在CMONは会社運営に支障をきたすような状況にあります。ご心配をおかけしていることを,グループの一員として心よりお詫び申し上げます。
とはいえ,子会社であるCMON Japanは独自に資金を確保しているので,運営に支障はありません。もちろん極端な話をすれば,例えばすべての資産を親会社が引き上げるようなことになれば危ういですが,少なくとも「今日明日,急に潰れるかもしれない」といった状況ではありません。
4Gamer:
ひとまず安心しました。しかし,影響はあるわけですよね。
渡辺氏:
本社から資金を得にくい状況であり,リスクが拡大しているのは間違いありません。となれば,会社としての体力を維持するため,運営資金は節約する必要があります。その一環として池袋の事務所を閉鎖し,今後はフルリモートワークに切り替える予定です。予定している商品の流通自体には影響がありませんので,そこはご安心ください。
4Gamer:
なるほど。事務所の閉鎖と聞くとかなりピンチに思えますが,そういうわけではない?
渡辺氏:
状況は間違いなくピンチなんですが,同時にチャンスとも考えています。というのも,体制を改めるのに,これ以上の機会はありませんので。池袋の事務所も,実は「ブランドイメージに合った事務所を持ちなさい」という本社の要望によるものだったので,これが削減できたのはある意味ありがたい。ランニングコストの削減はそのまま利益につながりますし,浮いた費用でイベント出展をしたり広告を打ったりもできる。これはお客さんにとってもメリットだと考えています。通勤時間がなくなって,スタッフのワークライフバランスも向上しますしね(笑)
4Gamer:
では,CMON Japanは当面安泰と考えていいのでしょうか。
渡辺氏:
そうですね。運営自体は順調ですが,まだ会社としての基盤が整っているとは言い難いので,引き続きこの流れを崩さないで活動していきたいと思っています。設立から3年かけて,ようやく黒字につながる上昇曲線が見えてきた段階ですので。
これからも,運営に必要な利益は確保したうえで,皆さんに喜んでいただける製品を,滞りなくお届けしていくつもりです。だから買ってくれた人は,「俺がCMONを支えてるんだ」と胸を張ってください(笑)。
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4Gamer:
CMONの告知では,新規プロジェクトの停止なども発表されていましたが,日本語版のクラウドファンディングに影響はありますか。
渡辺氏:
日本語版のクラウドファンディングは,しっかり継続していきます。ただ,リテール販売(一般流通版)はこれまで以上にお約束しにくい状況にあるので,気になる作品は支援して手に入れていただくのが安全かもしれません。
というのも,現在は“余分な在庫を持たない”という大方針があるので,クラウドファンディングの申込数と製造数に,できるだけ差が出ないように調整しています。その結果として,一般流通はどうしても少なくなってしまうわけですね。
4Gamer:
もともとリプリント(再版)が難しいジャンルですし,ボードゲームファンとしてもクラウドファンディングの活用がより重要になってきそうですね。
渡辺氏:
ええ,ボードゲームは各国語版を同時に印刷して製造原価を落とすのが基本的な考え方なので,相当な需要が見込めなければリプリントには踏み切れません。なのでファーストロットの段階で支援いただき,入手するのが一番確実になります。我々としても,クラウドファンディングの時点で購入の判断をしていただけるよう,情報発信に努めていきます。
4Gamer:
今後ボードゲームの値段が上がっていくのではという懸念を感じるのですが,その点はいかがでしょうか。
渡辺氏:
世界のボードゲームの多くは中国で生産されているので,中国の生産品にかかる関税が増えると,アメリカに限らず原価は上がっていきます。これはどうにもならないことなので,我々としてはもっと業界を拡大し,認知を向上させることで対抗するしかないと思っています。パブリッシャだけでなく,プレイスペースの運営者なども含めて,ボードゲームに関わる人全員で業界全体を盛り上げていく。我々としても,今後はもっと宣伝に力を入れ,認知拡大に努めていきたいと思っているので,ぜひ応援してください。
4Gamer:
分かりました。最後にこの記事を読んでいるボードゲームファンに向けて,メッセージをいただけますか。
渡辺氏:
CMONに限らず,ボードゲームのパブリッシャはどこも大変な時期かと思います。これから1〜2年は勝負の年になるでしょう。なので「これは面白いかも!」と思ったゲームは,ぜひ手にとってあげてください。CMON作品がそこに選ばれるよう,我々としても頑張っていきます。
4Gamer:
ありがとうございました。
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「ゲームマーケット」公式サイト
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