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文字は数字に変わり,チェスの駒が母音の代わりに座り込み,虚無のタイルが意味を飲み込む。
ここは辞書が呪いに侵された世界──あなたの語彙力は,もう武器にならない。
本日は,イギリスのインディースタジオBuried Thingsが手掛ける「Cursed Words: The Word Game That Isn't」を紹介しよう。
本作はボグルやスクラブルのようなワードパズルを下敷きにしたローグライクゲームだ。プレイヤーは盤面に配置されたタイルから単語を組み立て,スコア目標の達成を目指していく。
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このゲームの特徴は,進行するにつれて「単語を作る」という前提そのものが崩壊していく点にある。序盤こそ普通の英単語でスコアを稼ぐが,ステージが進みボスが登場するころには,タイルにチェスの駒や数字,ポーカーのスート,さらには“虚無(VOID)”まで混入してくる。
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もはや従来の意味での「言葉」ではないものを盤面に並べ,それでもスコアを叩き出す。公式が自ら「ボグルで始まり,シュレディンガーで終わる」と称する所以だ。
各ランはキャラクター,ステッカー,スタンプ,消費タイルという4つの要素で構成され,その組み合わせ次第で毎回まったく異なるプレイ体験が生まれる。1回のランは全5ステージで,各ステージには2つのエンカウンターと1体のボスが待ち受けている。
英語が苦手でも戦えるワードゲーム
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英語ベースのワードゲームと聞くと語彙力の勝負を想像するかもしれないが,本作ではそこが最重要ではない。3文字や4文字の短い単語でも,ビルドさえ噛み合っていればスコアは十分に伸びるからだ。
その理由は,キャラクターごとの設計にある。各キャラクターには得意とするプレイスタイルが明確に設定されており,その方向性に沿ったアイテムをショップで選んでいけば,自然と強力な構成が出来上がっていく。
キャラクターによってはチェスの駒やポーカーの役といった“言葉ですらないもの”でスコアを稼ぐ者もいるほどで,英語力よりも「このキャラに何を持たせるか」を考えることのほうがずっと大切だ。間口の広さと奥行きを両立させたこの導線設計は見事と言うほかない。
予想を裏切る300種超のアイテム群
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本作の強化要素は,盤面のタイル配置に作用する「スタンプ」と,得点ルールそのものを書き換える「ステッカー」の2種類に大別される。
これが合計300種以上用意されているのだが,数の多さ以上に驚かされるのは,個々のアイテムが見た目の説明どおりに動くとは限らない点だ。
たとえば,一見マイナス効果にしか見えないステッカーが,特定の組み合わせで爆発的な得点源に化けることがある。本作はあえて仕様を全部は説明せず,プレイヤー自身の手で法則を解き明かしていく余地を残している。それを“発掘する楽しさ”こそが,ランを繰り返す最大の動機になっているわけだ。
11キャラクターと高難度チャレンジが支えるリプレイ性
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本作には11人のプレイアブルキャラクターが用意されており,それぞれが固有の「ピン」と呼ばれる能力を持つ。このピンはボス撃破ごとに分岐するアップグレードパスを備えており,同じキャラクターでもランの展開によってまるで別の戦い方になる。
さらに,全ステージクリア後に解放される「クラウン」難度では,スコア目標が跳ね上がりショップの価格も高騰する。加えて26種のチャレンジでは「子音だけ」「母音だけ」「文字なし」といった極端なルール変更が課され,根本からプレイスタイルの再構築を迫られる。
「Cursed Words: The Word Game That Isn't」は,ワードパズルの皮をかぶったシナジー構築型ローグライクである。単語を作るという親しみやすい入口から,言語のルールそのものを逸脱していく体験設計が秀逸だ。
Balatroのようなコンボ構築の快感を,言葉という誰もが知る題材で再発明した意欲作とも言えるだろう。ワードゲーム好きにもローグライク好きにも,そしてその両方にまだ出会っていない人にもおすすめしたい一本だ。




















