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印刷2025/10/18 12:25

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17歳の開発者が紡ぐアユタヤ王朝の物語。「The Shadow of Ayutthaya」は,父子2人で作るタイ発のアクションゲーム

 タイ・バンコクで開催中の「gamescom asia × Thailand Game Show 2025」で,「The Shadow of Ayutthaya」というアクションアドベンチャーゲームに出会った。タイの寺院や宮殿を再現したオープンワールドを舞台に,ムエボーラン(古式ムエタイ)やクラビー・クラボーンといったタイの伝統武術を駆使して戦うソウルライクな作品だ。

「The Shadow Of Ayutthaya」公式サイト


 「The Shadow of Ayutthaya」の舞台となるのは,かつて栄華を誇ったアユタヤ王朝の時代で,プレイヤーが操るのは,「Shadow Flame」(影の炎)の異名を持つ暗殺者ガビンだ。彼は王国を裏切る者たちを始末する役割を担い,影を武器として使う特殊な能力を持つ。

 本作のマップには,ワット・アルンワット・プラケーオなど,実在するタイの寺院をモチーフにした建造物が立ち並ぶ。開発者であるPatavee Suksomsri氏は「ワット・アルンのような有名な寺院が,ゲーム中に登場します。オープンワールドなので,馬に乗ったり歩いたりして,アユタヤの世界を冒険できるんです」と説明した。

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 会場でプレイできたβ版は,「Lavo」と呼ばれる山岳地帯を舞台にした一本道のクエストだったが,完成版ではオープンワールド形式になる予定だという。Suksomsri氏は「『Ghost of Tsushima』のようなコンセプトです」と述べて,目指す方向性を明確にしてくれた。

 本作の戦闘システムは,ソウルライクを意識した作りになっている。チェックポイントでのセーブとレベルアップ,HP(ヘルス),スタミナといったステータス管理など,基本的な要素についてはジャンルのお約束を踏襲しつつ,そこにタイ独自の要素が巧みに融合される。


 主人公ガビンが使う武器は双剣だ。Suksomsri氏によれば「βテストでは,ダブルソードが最強の武器でした。走りながら攻撃できるんですよ」と語る。プレイ映像を見せてもらったところ,双剣を振るう動きは軽快でありながら重厚感もあり,独特のリズムを生み出していた。

 さらに特徴的なのが,タイの伝統武術を取り入れた戦闘スタイルだ。古式ムエタイである「ムエボーラン」や,剣と棍棒を使う武術「クラビー・クラボーン」などの技が実装されており,加えて,魔法も使用可能だ。画面に映し出された魔法のエフェクトは,タイの神話や伝承を感じさせる独特の雰囲気を持っている。

 戦闘には防御の概念もあり,敵の攻撃をタイミング良くガードすることで,相手のスキル攻撃を防げるという。β版には3体のボスが登場し,それぞれがタイの寺院や村の文化を象徴する存在としてデザインされているという。

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 開発チームは,ゲームデザイナー兼プログラマーのSuksomsri氏と,ドキュメント制作を担当する父親のChalermpol Suksomsri氏の2人だけ。音楽プロデューサーをやっているというスポンサーはいるが,基本的にはこの親子2人で,モデリングからアニメーション,コーディングまで,すべてを手がけているのだ。

 2人だけで開発しているのもすごいが,それ以上に,Patavee Suksomsri氏が17歳ということに驚いた。「私たちは文化遺産の重要性を理解している,情熱を持ったタイ人開発者です」という彼の言葉には,自国の歴史と文化を世界に伝えたいという強い想いが込められていた。

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 β版では,重要なNPCとして「カエオ・サイ」という女性キャラクターが登場する。彼女はストーリー全体の真実を明かす鍵となる人物であり,プレイヤーのHPが低いときには回復アイテムを提供してくれる。また,アイテムを売買できるNPCも存在し,リンゴなどの消耗品を購入することが可能だ。

 ゲーム内には,タイの村だけでなくヨーロッパ風の村も登場する。16世紀という時代設定を考えれば,ポルトガルやオランダなど,西洋列強との接触があったという史実を反映しているのかもしれない。

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 開発を始めてまだ5か月という本作だが,2006年第3四半期のリリースを目指しているという。プラットフォームはPCが予定されており,対応言語は英語とタイ語だが,日本語版の計画もあるそうだ。

 タイのゲーム産業は,政府の支援もあって急速に成長している。東南アジア初となるゲーム産業促進法も制定される予定で,タイは,単なる消費市場から創造的なハブへと変貌を遂げつつある。そんな中,わずか17歳の若者が父親とともに,自国の文化遺産を題材にしたゲームを開発しているという事実は,タイのゲーム産業の未来を象徴しているようにも思える。

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 「The Shadow of Ayutthaya」は,まだβ版ではあるものの,可能性は十分に感じられた。タイの寺院建築の美しさ,ムエボーランやクラビー・クラボーンといった伝統武術の力強さ,そして影を操る暗殺者という独特の世界観。これらが融合したとき,タイらしさを存分に発揮する作品になってくれるかもしれない。

 会場を後にする際,Suksomsri氏は「私たちの文化をゲームを通じて世界に伝えたいんです」と笑顔で語った。17歳の若者とその父親が紡ぐアユタヤ王朝の物語が,どのような形で完成するのか,今から楽しみだ。

Patavee Suksomsri氏(左)Chalermpol Suksomsri氏(右)
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