聖職者が銃を手にエイリアンと戦う協力型ローグライト「Father, Son & Holy Guns」。ラヴクラフト的世界観とサンドボックス要素の融合

　2025年10月16日から19日まで開催されている「gamescom asia × Thailand Game Show 2025」の会場で，タイのデベロッパであるJumbo Jumpsのエグゼクティブ・プロデューサー，Lerk氏に，開発中のPCゲーム「Father, Son & Holy Guns」について話を聞いた。

「Father, Son & Holy Guns」公式サイト

　「Father, Son & Holy Guns」は，オンライン協力プレイとローグライト要素を組み合わせたシューティングゲームだ。タイトルは「Father, Son and Holy Spirit」（キリスト教の教義である三位一体を表す「父と子と聖霊」）をもじったもので，銃を持った聖職者たちがエイリアンと戦う，一見コメディのようで，実はダークなストーリーを持つ作品となっている。


　エイリアンの神々が地球を侵略し，人類を新たな種族へと転換しようとしている。それに立ち向かうのがさまざまな宗教の聖職者たちで，彼らは協力して異星からの脅威に立ち向かうことになる。敵キャラクターのデザインは，H.P.ラヴクラフトの小説からインスピレーションを得ており，クトゥルフ神話のような異形の存在が登場する。

　ゲームの基本は，マップを選択し，そこで複数の目的を達成していくというもの。最大4人のプレイヤーによるオンライン協力プレイが可能で，近距離戦闘が得意なものや銃を使った遠距離攻撃を得意とするものなど，それぞれ異なるスタイルを持つキャラクターを選べる。ツインスティックシューターのような操作感のキャラクターも確認できた。


　目的を達成することで，スキルのアップグレードが手に入る。ゲームには60種類以上のアップグレードが存在し，さらに，マップにある「ヒューマンオイル」と呼ばれるアイテムを集めることでマップのボスを召喚し，強大な敵との戦いに挑める。

　敵を倒して得た金でスキルアップグレードを購入できる「ブラックマーケット」もあり，マップ内の特定の場所にいるキャラクターから追加のアップグレードを購入できる。この仕組みにより，プレイヤーは自分の好みに応じてキャラクターを育成する自由が与えられているわけだ。

　Lerk氏によれば，本作のプレイは「Hades」や「Enter the Gungeon」とはやや異なり，「Deep Rock Galactic」のようなサンドボックス構造を目指しているという。プレイヤーは自分の好きな方法でキャラクターを強化し，独自の戦略を編み出すことができる。


　本作の特徴的なシステムの1つが「Sanity」だ。これは，プレイヤーがマップ内のすべての目的を時間内に完了できなかった場合，視界がぼやけたり，グリッチが発生したり，幻覚が見え始めるというもの。このシステムは，プレイヤーに迅速な行動と判断を促すためのタイマー機能であり，ゲームに緊張感を与える。ラヴクラフト的な狂気の世界観とも相まって，独特の雰囲気を生み出している要素だ。


　現在，Jumbo Jumpsは最初のバイオームの制作に注力しているところだ。1つのバイオームは4つのマップと1体の大型ボスで構成されており，この完成を待って，2026年2月にアーリーアクセス版をリリースする予定になっている。
　その後，さらに3つのバイオームを追加し，計4つのバイオームでゲームを完成させる計画だ。各バイオームは，氷のような環境や非常に抽象的な環境など，それぞれ異なるビジュアルを持つ。最終的な完成は2026年第4四半期を予定しており，2027年には追加DLCのリリースも計画しているとのことだ。
　価格帯は6.99ドルから8.99ドルと比較的手頃な設定で，幅広いプレイヤー層にアピールすることを目指している。ゲームのトーンとしては，コメディや風刺的な要素と，ダークでシリアスな要素のバランスを取ることを意識しているという。


　Lerk氏はエグゼクティブプロデューサーとしてプロジェクト全体を統括しているが，実際の開発作業には携わっていない。開発チームは10人から13人で構成されており，プロデューサーのNapak氏，リードデベロッパー，デザイナー，そしてマップや敵のデザインを担当するクリエイティブリードといったコアメンバーが中心となって制作を進めている。
　リリースにあたってJumbo Jumpsは現在，パブリッシングパートナーを探しており，今回の「gamescom asia × Thailand Game Show 2025」にもその一環として出展した。

　聖職者がエイリアンと戦うという奇抜な設定ながら，ローグライト要素とサンドボックス構造を組み合わせた本作は，独自の魅力を持っている。タイのインディー開発チームが生み出す，ラヴクラフト的世界観と自由度の高いゲームプレイの融合に期待したい。

Jumbo Jumps エグゼクティブ・プロデューサーLerk氏

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