Lyra StudioがSteamで配信している「フロストバウンド / FrostBound」は,“終わりのない冬”を舞台に,タワーディフェンスの戦略性をカードゲームとして落とし込んだ意欲作だ。中国のゲームアワード(IndiePlay China Indie Game Awards)にて,ゲームデザイン部門を受賞しており,600件以上のSteamレビューでも「非常に好評」を獲得している。
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何から解決してもOK!
オリジナリティに満ちた多種多様なランダムイベント
プレイヤーは都市を守る領主として,兵士たちを用いて襲い来る災厄を払い除けなければならない。
まずは10枚のヒーローカードから,1枚を選ぶところから始まる。ヒーローにはそれぞれに能力があり,基本的にはこれを活かすような形でデッキを組んでいくことが望ましい。
さっそくここで本作のユニークポイントが登場する。ゲームを進めることでカードをアンロックしていくのではなく,任意のカードをロックできるようになる。つまり,特定のシナジーやコンボが発生しやすくなっていくのだ。
従来のデッキ構築ローグライトには,遊べば遊ぶほどカードが増えて,お目当てのカードが出にくくなるという問題があるが,本作はこれを最初からケアしている。
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本作は,大まかに「イベント」と「バトル」のフェイズに分かれている。
イベントフェイズでは,提示されているイベントの中からいくつか選んで解決していくことになる。ダイスロールによってカードや金貨を手に入れたり,金貨を用いてカードを買ったりして,自軍の強化に努めるのだ。
これらのイベントをすべて解決することは難しく,多くの場合は「都市補給」と呼ばれるコスト支払うことになる。このコストは最大3であるため,1フェイズに対応できるイベントはおおよそ3回といったバランスだ。
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イベントによって自軍を強化したら,いよいよバトル……となるところだが,実はバトルをスキップできる。スキップすることで都市補給を1つ回復できるので,さらなる自軍の強化が可能だ。
しかしながら,バトルの勝利によって得られる報酬のほうが大きい場合もあるため,何から何までスキップすればいいわけではなく,さらにボス戦はスキップできない。このあたりの塩梅は,何度かプレイしてみれば掴めるだろう。
なお,バトルのあとにイベントを解決することもできる。このように本作では多くの要素がプレイヤーの選択に委ねられており,自由度はかなり高い。なるべく有利にゲームを進行するために,プレイヤーが考えうる余地が多分にある。
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敵を押し返し,防衛戦を死守せよ
タワーディフェンス×デッキ構築ローグライトの妙味
さて,バトルを解説していこう。
冒頭でも触れているが,本作はタワーディフェンスとデッキ構築ローグライトを組み合わせている。バトルの勝利条件は敵(ウェーブ)の全滅であり,敗北条件はターンごとに進軍してくる敵に左端の防衛線を破られることである。
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少々複雑に見えるかもしれないが,プレイヤーのできることはイベントフェイズとほとんど同じだ。「補給」が尽きるまでカードを出すこと,それだけである。
戦闘中に使用できるカードは主に3種類あり,防御とスキル,そして「精鋭」だ。
防御カードを盤面に配置すると敵軍の進行を食い止め,直接戦ってくれる。一方,スキルカードは使用した瞬間に効果を発揮し,敵を攻撃したり,デッキからカードを引いたりと,さまざまな効果がある。
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基本的には耐久力の高い防御カードで敵軍をせき止め,後方から遠距離攻撃のできる防御カードではチクチクとダメージを稼ぎ,スキルカードでデッキを回したり,戦術の幅を広げたり……といった形でバトルは進行する。
ここで要になるのが,防御カードの上位互換である「精鋭」カードだ。配置後に1ターンでいなくなってしまう通常の防御カードと異なり,「存在時間」が設定されており,しばらくは戦場に留まってくれる。しかし,倒されてしまうと再補給に時間がかかるというリスクもある。
また,スキルカードなどの効果で「名声」の値を上げると,さらなるパワーを発揮してくれる。精鋭カードをいかに強く運用できるかが,本作のバトルを勝ち抜く鍵となる。
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カードをやりくりして敵軍を退けると,お待ちかねの報酬タイムだ。従来のデッキ構築ローグライトではカードや通貨をそのまま手に入れられるが,本作はここでもユニークなシステムを導入している。
本作にはバトルに使うデッキのほかに,「ルーンデッキ」が存在する。これはバトル終了時の報酬を確定するためのもので,最大6枚の特殊なカードが入っている。このカードを並び替えて数字を上下させると,その分だけ金貨を入手できるのだ。
ただ報酬をそのままもらうのではなく,この点にも遊び心があるのは面白い。デッキの組み方によって,そこそこの金持ちにもなれるので最後まで気が抜けない。
イベントを解決するときのダイスロールには,出目を捻じ曲げる「アイテム」も存在し,細部に至るまで多彩なミニゲーム要素が盛り込まれているのだ。
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本作には戦闘のスキップやイベントを解決する順番の選択など,できることの幅が非常に広く,プレイヤーが介入できる余地が大きい。それでも,ボス戦は非常に手強く,大きな関門として立ちはだかる。
ボスはやたらと耐久力が高く,苛烈な攻撃を浴びせてくるため,生半可なデッキでは瞬く間に崩されてしまう。本作は自由度が高い分,想定されているシナジーをいかに構築するかが大事な設計になっている。カードをしっかりと読み込み,誰と誰が相性が良いのか,組み合わせたときに何が起きるかを把握していくことが重要だ。
反面,完璧なシナジーが組めたときは,あらゆるスキルが誘発されるハチャメチャに気持ちいい盤面が形成される。前述のとおり,こうしたシナジーを組みやすくするために,カードのロックというシステムが存在する。
本作は,とても理にかなったゲームデザインといえるだろう。
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カードのイラストには生成AIを使用しているが,一見する限りでは違和感がなく,デザインにも統一感がある。背景のビジュアルともマッチしているので,気になることはない。
また,日本語の翻訳については,一部に意味が通らないところもあるが,ゲームルールを理解するには問題のない出来だ。
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何よりもカードや敵の種類が多く,想定されうる解決策を見つけるだけでも何十時間と遊べるだろう。もちろん,デッキ構築ローグライトにおなじみのカードの進化や削除といったシステムもあり,このジャンルのファンを唸らせるポイントもしっかり押さえている。
どんどん苛烈になっていく敵の猛攻を最小限のカードで食い止めたときの気持ち良さ,イベントによって強いカードがさらに強くなっていく楽しさは格別だった。この喜びをぜひ味わってほしい。
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