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  • 発売日:2026/05月中
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衝撃的なほどメタルでディープなTRPG「Mörk Borg」の魅力とは。日本語版クラウドファンディング中の同作について,翻訳者に話を聞いてみた
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印刷2025/11/27 15:30

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衝撃的なほどメタルでディープなTRPG「Mörk Borg」の魅力とは。日本語版クラウドファンディング中の同作について,翻訳者に話を聞いてみた

 2025年11月22日と23日に開催された「ゲームマーケット2025秋」でテーブルトークRPG関連のブースをめぐっていたところ,ある出会いがあった。日本語版の発売に向け,現在クラウドファンディングが行われているテーブルトークRPG「Mörk Borg(ムルク・ボリィ)」の翻訳を手がけているMontro(モントロ)氏が,とあるブースの裏で売り子をしていたのだ。

Malströmの代表取締役社長にして,本作の翻訳を手掛けるMontro氏。日本語版のクラウドファンディングは早い段階で目標金額をクリアし,すでに200%超の支援額が集まっている
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 「Mörk Borg」は,海外でカルト的な人気を獲得しているテーブルトークRPGだ。古き良き,初期のD&Dのようなシンプルさを目指した――いわゆるOSR(Old-School Renaissance)と呼ばれるジャンルの一作品にあたるが,本作の場合はその特殊な装丁と独特すぎる世界観から,翻訳版の出版は難しいと考えられてきた。しかし近年になってさまざまな言語への展開が始まりつつあり,そうした動きの一つとして,日本語版も動き出したようである。

 クラウドファンディングは11月30日で終わってしまうが,テーブルトークRPGファンであっても,まだ本作を知らない人は多いことだろう。その魅力とクラウドファンディン終了後の展開について,会場でMontro氏に聞いてみたので,興味のある人はぜひ読み進めてほしい。

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アートブックと見紛う装丁と,二次創作への寛容さが魅力の「Mörk Borg」


4Gamer:
 お時間をいただきありがとうございます。まずは自己紹介からお願いできますか。

Montro氏:
 海外RPGの翻訳と販売を行うMalströmで代表を務めているMontroと申します。得意としているのはインディーのテーブルトークRPGで,これまでに「Liminal-リミナル-」「NOVA」といったタイトルを翻訳し,主にPDFで販売しています。

4Gamer:
 「Mörk Borg」はどんなゲームなのでしょうか。特徴と魅力を教えてください。

Montro氏:
 終末の予言が現実になりつつある混沌の世界を,ドゥーム・メタルのアルバムジャケットを思わせるビジュアルで彩るのが「Mörk Borg」という作品です。オリジナルはスウェーデンの同人作品でしたが,カルト的な人気を獲得し,二次創作も盛んに行われるようになりました。

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4Gamer:
 どんな部分がウケたのでしょう。

Montro氏:
 大きな要因は「ルールブックの設計」「二次創作への寛容さ」の2点だと思います。実際にページを見ていただくと分かりやすいのですが,本作のルールブックはかなり独特なんですよ。可読性を無視してビジュアルに極振りしていて,例えば10種類あるキャラクターの初期装備を決める表に4ページを費やしています。強力な3つの装備に至っては,それだけで見開き2ページ使っていますしね。

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4Gamer:
 これはすごいですね。タイポグラフィ的な手法が凝らされていて,すべてのページがまるでアートブックのようです。とにかく迫力ある世界観というか,雰囲気がヒシヒシと伝わってきます。

Montro氏:
 デザインもですが,シンプルに豪華なんですよね。フルカラーはもちろん,本文にも箔押しが使われています。極めつけは背表紙で,タイトルの文字の合間に蓄光インクで“暗闇でのみ見える文字”が仕込まれています。

4Gamer:
 これは……なんと書かれているんですか?

Montro氏:
 緑色に輝く文字で「Psalms Seven」と書いてあります。7つの詩篇(Psalms / サーム)として綴られる終末の予言が作中に登場するんですが,これはその最後――「第7の詩篇」という意味ですね。

4Gamer:
 か,かっこいい!

写真では分かりにくいかもしれないが,よく見ると蓄光インクで文字が印刷されている。暗闇では黒いタイトルのあいだに文字が浮かび上がるのだそうだ
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Montro氏:
 ビジュアルだけではなく,ゲームそのものも非常に攻撃的です。あるロール表では「20面ダイスを振るか,隣の表にナイフを投げて決めろ」とあったり,詩篇の成就にあたっては「このゲームも,お前たちの命もここで終わる。この本を燃やせ」と書かれていたり。あらゆる面で姿勢が一貫しているんですよ。

4Gamer:
 シビれる内容ですね。

Montro氏:
 自分としても「RPGのルールブックでここまでやっていいんだ」と感じたくらいです。ここまで一貫して型破りな作品は少なくて,衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか。それが,コアなファン層に届いたんだと思います。

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4Gamer:
 もう一つの「二次創作への寛容さ」はどういったものなんでしょうか。

Montro氏:
 「Mörk Borg」のサードパーティライセンスでは,ざっくり言えば「Mörk Borgのルールを使ったあらゆる創作活動」が許可されているんです。アートやテキストをそのまま流用するのはNGですが,専用ロゴとコピーライトさえ掲示すれば,同人か商業かにかかわらず,連絡不要のまま頒布・販売が可能です。

4Gamer:
 なるほど。海外タイトルの規約としては,確かに自由度が高いですね。

Montro氏:
 ガワをまるごと変えて大海原を舞台にした海賊モノにしてしまったり,未来世界を舞台にしたサイバーパンクモノに作り変えたり,そういったレベルの改変すら可能なのが大きいですね。「Mörk Borg」の型破りさを継承したタイトルが続々と登場したことで,知名度が爆発的に広がったわけです。
 日本では,朱鷺田祐介さんが手掛けた「信長の黒い城」「黒の新撰組 幕末鬼殺行」がこれにあたります。このように,本国以外ではオリジナルに先駆けてサードパーティ製の翻案タイトルがリリースされ,そこから本家「Mörk Borg」が知られていく流れだったようです。


4Gamer:
 見る限り,これを翻訳するのはかなり大変そうです。日本語版のリリースはかなり大変だったと思いますが,いかがでしたか。

Montro氏:
 やはりデザイン面は苦労しましたね。テキストありきでレイアウトが組まれているので,ただ正確に翻訳するだけは,見栄えが維持できないことがあるんです。
 原語では短文で言い切るような文章が特徴なんですが,そのまま日本語にするとテキストが短くなってしまい,さらに文章の一部が傾いていたり,改行位置がメチャクチャだったりと,枠内に綺麗に収めるのが難しいことが多かったです。

4Gamer:
 サンプルを見る限り,それでもオリジナルの雰囲気をうまく再現できているように感じました。

Montro氏:
 原語版のデザイナーと直接コミュニケーションをとりながら,テキストを調整した結果だと思います。「目指すべきものが損なわれないなら,日本語らしい翻訳にしてもいい」とのことでしたので,今回はレイアウトに合わせてテキスト側を調整することにしました。翻訳の正確性は重要な尺度の一つですが,今回は日本語の書籍としての品質を損なわないことを優先し,注意を払って制作しています。

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4Gamer:
 元はスウェーデン語版と英語版があったかと思いますが,翻訳はどちらをベースにしているのでしょうか。

Montro氏:
 原著者のペレ・ニルソン氏がスウェーデン語で書いたものがスウェーデン語版で,それを本人が英訳したものに監修を加えて調整したのが英語版です。なのでオリジナルはスウェーデン語版ということになります。
 ただ双方を比べると,まるきり表現が異なっている部分があるんです。スウェーデン語をそのまま適用すると“ダサく”なる部分を,英語らしい雰囲気ある文章に変えているわけですね。

4Gamer:
 なるほど。各言語の雰囲気に合わせて調整されていると。

Montro氏:
 はい。日本語版もそれに倣い,表現に大きく手を入れています。また私自身は,スウェーデン語と英語ならどちらも翻訳できるので,両方を参照して作業を進めています。なのでベースには英語版を使いながら,スウェーデン語版のほうが綺麗な部分はそちらを用いて,どちらとも付かないハイブリッドな翻訳に仕上がっていると思います。

4Gamer:
 ちなみに,ご自身が「Mörk Borg」に触れたのはいつ頃だったのでしょうか。

Montro氏:
 2020年に行われた最初のクラウドファンディングには参加しなかったので,自分が最初に触れたのは二次創作が盛り上がってからになります。テーマカラーの黄色が引き継いだものが多かったので,外野から見ていても分かりやすかったんですよ。
 ただ,この作品の力強さをルールだけで伝えるのは不可能だと思います。ルール自体は簡単なので遊べはしますが,やはり書籍自体を見てもらわないと魅力が伝わらない。しかも内容がこれなので,ローカライズされることはないと思っていました。まさか,それを自分がやることになるとは(苦笑)。

4Gamer:
 翻訳を担当することになったのは,どんな切っ掛けだったんですか?

Montro氏:
 「Kutulu」をはじめ,スウェーデン産のテーブルトークRPGを翻訳してきた経験から,スウェーデンのコミュニティとはつながりがありました。そこで,まったく別のタイトルのGMをやっていたところ,作者ご本人から「日本語版を作らないか?」と声をかけられまして。

4Gamer:
 それはまた,急な話ですね。

Montro氏:
 発売からしばらく2か国語しか存在しなかったタイトルなので驚きました。「ローカライズしていい作品なんですか?」って。以前から「フォントやタイポグラフィまで含めて自分が監修できない言語版は作れない」と作者が言っているのを知っていたので,なおさら無理だろうと。

4Gamer:
 なにか方針が変わる出来事があったんですかね。

Montro氏:
 「自分は作る側にいたからそう思っていたけど,今はローカライズの気分なんだ」だそうです(笑)。実際,直近にはさまざまな言語のバージョンが出版されていますし,言われたままの意味なんでしょう。

4Gamer:
 クラウドファンディングはそろそろ終わりそうですが,終了後に本作を入手する手段は用意されますか。

Montro氏:
 一般販売は未定ですが,クラウドファンディングには小売業者向けのプランも用意していて,それを支援してくださった業者さんもいらっしゃいます。また,Malströmにはオンラインストアがあるので,そこでも販売する予定です。Amazonなどでの取り扱いは決まっていませんが,入手しやすいようにしたいとは考えています。
 リターンは5月以降に送付予定なので,一般販売はそれ以降になるでしょう。ただ,印刷をオリジナルと同じリトアニアで行っているので,海運の関係で遅れてしまう可能性はあります。そのあたりは公式Xなどで情報を出していきますので,随時確認していただければと。

クラウドファンディングのプレッジの中には,PDF版のみのプランも含まれている。物理本にこだわらなければ,クラウドファンディング後も入手は可能そうだ
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4Gamer:
 最後に,この記事で「Mörk Borg」に興味を持った読者へのメッセージをいただけますか。

Montro氏:
 「Mörk Borg」は,非常にデッドリーなダンジョンクロール系RPGです。能力値も初期装備も全部ランダムに決定され,最悪の場合は大腿骨1本を武器に,がらくただけを持って冒険を始めることになります。敵は容赦なく,一撃で死ぬことも珍しくありません。
 一方,創意工夫を尊ぶ要素が強く,「罠を置いておびき寄せる」「死角をついて通り抜ける」「強い敵を避けて逃げる」といった行動が推奨されています。判定も20面ダイスを振るだけで済むので,尖った世界観さえ受け入れられれば,原始的なRPG体験を味わうにはちょうどいい作品だと思います。機会があればぜひ,触れてみてください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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