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悪夢から脱出するパズルADV「AION: A Girl Wondering through Nightmares」を紹介。3人の開発チームによる8度目の挑戦[BIC2025]
本作は2021年に設立されたWhale Game Studioが,3人という小規模チームで開発を進めるパズルアドベンチャーゲームだ。日本を含むグローバルでのリリースは,2026年が予定されている。
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主人公は,家庭内暴力を受けて病院に入院している少女だ。プレイヤーは彼女の悪夢の中を探索し,暴力の記憶を象徴する怪物たちから逃げながら,パズルを解いて脱出を目指すことになる。
作中にはテキストがほとんど登場せず,ストーリーはキャラクターの外見や,アイテムに書かれた短い文から推測する仕組みになっている。
全体的な雰囲気は「リトルナイトメア」に似ている印象を受けたが,奥行きを使ったパズルが多く,プレイ感は少し異なっていた。
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今回は,Whale Game StudioのCEOであるSung Hyeok Park氏にインタビューすることもできたので,その模様をお伝えしよう。
4Gamer:
お時間をとっていただき,ありがとうございます。まずはParkさんの経歴から教えてください。
Sung Hyeok Park氏(以下,Park氏):
私はもともとサムスン重工業の責任研究員でした。その後,ゲームを作りたくて中小ゲーム会社を2社経験し,そこで幸運にも成功を収められました。それで想定より早く,自分のスタジオを設立できたんです。
4Gamer:
なぜ独立してスタジオを立ち上げようと思ったのですか。
Park氏:
最初は簡単だと思っていました(笑)。私はソウル大学で勉強していたので,FPSでもMMOでも作れると過信していたんです。でも実際にやってみると,最近のゲームのクオリティは非常に高く,ただ撃ち合うだけのゲームでは誰も面白いと感じてくれないことが分かりました。
たくさんのプロジェクトがボツになっていて,今回の作品はスタジオとしては第1作ですが,ボツになったものを含めると8作目でもあるんです。
4Gamer:
これまでにボツになったプロジェクトは,どんなジャンルでしたか。
Park氏:
1作目はFPS,2作目はデッキ構築型ローグライク,3作目以降はアドベンチャーゲームでした。市場規模で言えばFPSが最も大きいのですが,3人のチームでは人材も技術も不足していました。
本作のクラウドファンディングでは,一般的には300万から500万ウォンを集めるところ,私たちは広告なしで1500万ウォン(約160万円)を集めることができ,市場の良い反応だと判断しました。
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4Gamer:
今回の作品のコンセプトについて教えてください。
Park氏:
私と作家の友人で共同執筆した長編小説の一部をゲーム化したもので,ログライン(一言説明)は「恐ろしい怪物から,可愛い少女を助けてください」です。
4Gamer:
小説を原作としているのに,なぜゲーム内には文字が少ないのですか。
Park氏:
プレイヤーに推理してもらいたいからです。単純に「これはこういうストーリーです」と提示するより,想像の余地を残したい。リリース後のある時点で,別の手段で確かな情報を提供する予定です。
4Gamer:
影響を受けた作品はありますか。
Park氏:
「LIMBO」「INSIDE」「リトルナイトメア」など,同ジャンルの作品はすべてプレイしました。見た目は「リトルナイトメア」に似ていると言われることが多いです。
しかし,横スクロールだけでなく奥行きを使った移動や,パズルの構成など,独自性を出すよう努力しました。実際にテストプレイをした方々からは,「こんな作り方もあるんだ」とオリジナリティを認めてもらっています。
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4Gamer:
開発で苦労した点を教えてください。
Park氏:
一番は最初に作ろうとしたFPSが作れなかったことですね。市場のゲームのクオリティが高すぎて,私たちの技術力では競争できませんでした。ハイパーFPS(「Quake」シリーズのような高機動FPSを表す韓国のゲーム用語)を実現するには高度な物理演算データが必要で,3人のチームでは限界がありました。
今回の作品に関してだと,既存の有名作品との差別化に苦労しました。
4Gamer:
日本でのリリース予定はありますか。
Park氏:
はい,2026年にグローバルリリースを予定しており,当然日本も含まれます。現在,ソニーや任天堂とも連絡を取り合い,コンシューマ版のリリースに向けて作業を進めています。楽しみに待っていてください。
4Gamer:
最後に,読者へのメッセージをお願いします。
Park氏:
本当に楽しいゲームを作るために努力しています。リリースされたゲームを楽しんでいただければ幸いです。
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