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イベント
インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン7」レポート(第1回)。まずは,気になったタイトルや会場の雰囲気をお届け
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2022年8月に第1回が開催された東京ゲームダンジョンは,プログラマやエンジニアたちの開発者コミュニティ「週末Unityもくもく会」を主催する,岩崎匠史氏らによって企画・実施されているもの。出展にあたっての事前の審査がなく,先着順で作品を展示できることが大きな特徴だ。
それもあってか,会場で触れることのできる作品の幅や,バラエティ感はほかのインディーゲームイベントに類がないほどで,筆者も毎回開催を楽しみにしている。
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濃い世界と掛け合いが熱いメカ系ヴァンサバライク「鋼の戦騎 ARMIS」を紹介しよう[TGS2024]
![濃い世界と掛け合いが熱いメカ系ヴァンサバライク「鋼の戦騎 ARMIS」を紹介しよう[TGS2024]](/games/842/G084278/20240930033/TN/012.jpg)
FORCESが開発しているヴァンサバライクなメカ系アクション「鋼の戦騎 ARMIS」の試遊バージョンをTGS 2024でプレイしてきた。ARMISのパイロットとなって,ドラマティックに展開される戦場を生き抜くロボットゲームで,戦闘中にはキャラクターの掛け合いや演出が用意されている。
会場には,インディーゲームにビジネス的な可能性を見出だした作品,とにかく個人が作りたくなったものを素直に出した作品,小規模チームで作ること自体を楽しんでいる作品など,さまざまなものが出展されていた。
それらの作品を見ると,「ゲームに決まった作り方なんてない」という,ゲーム作りが自由なものであることが再確認できる。
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また本イベントは,「ゲームを試遊する・試遊してもらう」ことに適した環境にするため,展示スペースと通路が広めに確保されている。出展者も参加者も椅子に座って,落ち着いてゲームを遊べ,コミュニケーションを取れるのだ。
今回は2日間の開催ということもあり,過去イベントよりも多めにゲームを試遊できた。あまりにも数が多く,1本の記事では紹介しきれないので,本稿を含めた数回の記事で紹介していこう。
「東京ゲームダンジョン」公式サイト
寝坊勇者
出展者:がろちゃんゲームズ![]() |
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「約束の時間の数分前に目が覚める」
学生であれ社会人であれ,悪夢のようなシチュエーションだが,この作品の主人公は世界の命運をかけた魔王とのバトルの3分前に目を覚ますことに……。本作は,そんな極限状況で,RTA(リアルタイムアタック)イベントのようなゲームプレイを楽しめるRPGだ。
![]() 寝ぐせがついたような髪型 |
魔王に勝つためには,普通のRPGのように能力を上げたり,仲間を増やしたり,アイテムを集めたりしないといけない。準備を整えないと魔王のいる城にたどり着くことすら厳しいのだが,とにかく時間が3分しかないので用意もそこそこに出かけることになる。その感覚は,あまりにも生々しい。
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「RPGの早解き」をイメージさせるシステムと,寝坊した勇者の周りで起こりそうなイベント内容がしっかり絡み合っていて,「もっとじっくり調べたり準備したい,でも残り時間が数十秒,魔王の城にダッシュするしかない!!」といったジレンマ感がすさまじく面白い。
プレイに慣れてくると,RTA的なタイム短縮やスコア稼ぎを考えていく過程も楽しめそうだ。
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なお作者のがろちゃんさん(@rpg_garochuwan)は,この作品をRPGツクールMZを使ってひとりで作っているとのこと。出展バージョンの前身にあたる作品を無料公開しているそうなので,興味を持った人はぜひ遊んでほしい。
![]() 難度は3種類あり,けっこう遊びこめそう |
作者(がろちゃん)のci-enのページ
Algolemeth(アルゴレメス)
出展者:Medium-Rare Games![]() |
オートダンジョン探索ゲームの本作は,BitSummit Let's GO!! 2023 ゲーム・デザイン最優秀賞にノミネート,第2回GYAAR Studioインディーゲームコンテストでは入賞もしているので,すでにSteamのウィッシュリストに入れている人も多そうだ。
4Gamerでも過去にプレイレポートを掲載しているが,最新バージョンでは魅力がさらに引き立つ改良が加わっていたので,あらためて紹介しよう。
[プレイレポ]AIを構築し,ダンジョンを自動で攻略。ユニークなゲームシステムが光る「Algolemeth」インプレッション
![[プレイレポ]AIを構築し,ダンジョンを自動で攻略。ユニークなゲームシステムが光る「Algolemeth」インプレッション](/games/724/G072455/20230719031/TN/008.jpg)
2023年7月14日〜7月16日に京都府のみやこめっせにて開催された「BitSummit Let's Go!!」では,国内外の新作インディーゲームが出展されていた。本稿では,AIをプログラミングしダンジョンを自動攻略するという,ユニークなゲームシステムが光る「Algolemeth」のインプレッションをお届けする。
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ゲームシステムは,冒険の拠点で迷宮探索用ゴーレムの「戦闘AI」「探索AI」をチューニングし,あとはゴーレムたちが迷宮を探索するのを見守るという,とても割り切ったデザインになっている。途中で撤退の指示を出すこともできるが,基本的には「準備して見守るだけ」のシンプルな内容だ。
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最初はうまく戦えないゴーレムたち。だが,迷宮内からAIに組み込むパーツを回収し,拠点でAIを改良することで,強力な敵にも対抗できるようになる。なお「探索AI」を調整し,戦闘そのものを回避して,先の階層へと進んでしまうといった行動も可能だ。
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いわゆる「試行錯誤が楽しい」タイプのゲームではあるのだが,今回遊んだバージョンではマップの踏破した領域や,パーティの進行の軌跡を見られるようになっており,探索の進捗(あるいは進捗の無さ)が「可視化」されていた。
これにより純粋に遊びやすくなっただけでなく,「いろいろ考えてチューニングしてみたものの,次の探索でも結局同じ場所に戻って死んだ」など,見かたによっては“滑稽”な状況も伝わりやすくなった。ゲームの実況配信などでも,配信側・視聴側が一緒に楽しめるゲームになりそうな予感がする。
![]() 強敵を迂回したつもりが,結局戻ってきてしまった |
作者のガンジー氏(@gunzee2)によれば,これらの要素を加えたのは比較的最近とのこと。作者自身もかなり手応えを感じており,「これで完成に向けて走る用意は整った」と話していた。
以前から気になっているタイトルなのだが,今回のバージョンを触ってみて,完成がますます楽しみになってきた。
モフプラ
出展者:pp![]() |
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ガッツリ遊べるゲームもいいけれど,今は死ぬほど疲れている。ただただ愛らしいものに触れて,癒し,癒され,モフりたい……。そんな気分のときに合いそうなゲームがこの「モフプラ」だ。
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プレイヤーの立場は,長期航行中の宇宙船内ケアマシン(のようなもの)らしい。孤独な旅のストレスに耐えるキツネ耳の子・ミステリアを世話する……というようなバックグラウンドは読み取れるのだが,現段階ではあくまで匂わす程度となっていた。
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ゲームの目的は,“もふもふ”されたいミステリアの求めに応じて,マウスドラッグでしっぽをもふもふし,画面右下の「モフタンク」を貯めていくこと。あまり激しくもふもふすると嫌がられてしまうが,ほどよい加減でさすってやると,うっとりした顔になっていく。ふもふも。
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企画者のp19(いく)氏(@practice19)によれば,ペットの犬や猫をかわいがることが発想の元だそうで,本作では「かわいいものを純粋に愛でる感覚」を表現したいらしい。
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ちなみに犬や猫を飼ったことがある人はご存じのとおり,彼らの中にはしっぽを触られるのが苦手な子も多い。それでも,気がつかない程度に触ってみて,失敗して不機嫌にさせがちでもある(p19氏もそうらしい)。本作は,そんなペットとの付き合い方の役に立つかもしれない(?)。
![]() シルヴィというキャラクターも登場する |
「東京ゲームダンジョン7」は,このような硬軟織り交ぜたバラエティ豊かな作品が出展されていた。いい意味で「何でもあり」なラインナップであることが伝わっていればうれしい。
話を聞いてみた出展者の中には,「以前からゲームを作っていたが,一度ゲームダンジョンの会場に遊びに来て,自分でも出展してみたくなった」といった人も少なくない。そんな東京ゲームダンジョンをきっかけに生まれた作品が,出展を重ねるうちに行列のできる人気作へと育っていくかもしれない。
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もちろん,東京ゲームダンジョンへの出展だけではなく,Steamストアページの開設や体験版配信,動画配信やメディアの記事などで少しずつファンを増やしていった結果でもあるのだが,人気がバーチャルな「数字」ではなくリアルの場で「可視化」されると,なかなかにインパクトがある。
その一方で,出展者側も「一体どこの方面で話題になったのか,まったくわかりません……」と語るほど,唐突に行列ができてしまうゲームがあるのも面白い。
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まずは駆け足で紹介した「東京ゲームダンジョン7」だが,次の記事では,さらに印象に残ったタイトルを紹介していく予定だ。ゲーム制作への「夢」も見られる場となった(?)東京ゲームダンジョンに,どんな作品が登場したのか,楽しみに待っていてほしい。
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インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン6」レポート【後編】。己の癖(へき)を詰め込んだ作品こそが,人の心も動かす
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「東京ゲームダンジョン6」は,2024年10月27日に開催されたインディーゲーム展示会だ。そのレポート記事前編では,キャッチーな魅力を持つ作品などを紹介したが,後編となる本稿では,制作者の癖(へき)を感じられたタイトルを紹介していこう。
「東京ゲームダンジョン」公式サイト
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