![]() |
![]() |
![]() |
はしもと氏はまず,「ルーンファクトリー」と「朧村正」のデザインコンセプトは共通だと語る。
「ルーンファクトリー」シリーズは,畑を耕し作物を育てる「牧場物語」のシステムに,ダンジョン探索や戦闘の要素が加えられたRPGで,「朧村正」は,魑魅魍魎が跋扈する元禄時代の日本を舞台に,妖刀を巡る争いが繰り広げられるアクションRPGだ。両タイトルは世界観からして大きく違うのだが,はしもと氏によれば,「ファンタジー世界に少しの現実を入れる」というのが,共通のコンセプトなのとのこと。
たとえば,「ルーンファクトリー」における「冒険でなく生活」というコンセプトは,「『指輪物語』のホビットが指輪を拾わず,そのまま村で生活していたら……」という発想から得たのだという。
現実的に考えれば,ほとんどの人は英雄や勇者になれないが,街にいるおじさんやおばさんにだってドラマはあるはず。倒したモンスターがお金を落とすのはおかしいから,主人公であろうと働いて稼がないと……といった感じで,ゲームの方向性を決めていったそうである。
また,はしもと氏が生産農家へ赴いて取材したときのエピソードも披露された。「ルーンファクトリー」にファッションアイテムの導入を決めたのは,農家の人に「毎日作業着を着なくてはいけないからこそ,ちょっとしたファッションにこだわる」という話を聞いたことがきっかけだったとのことだ。
![]() |
「朧村正」では,キャラクターの言葉使いやアイテムである食べ物の設定に「現実」を込めたという。本作には,鬼助と百姫という2人の主人公が登場するが,セリフをあえて現代風にはせず,少々読みづらくても,鬼助は江戸の下町言葉を,百姫は姫言葉をしゃべるように徹底したとのこと。
また,海外向けにローカライズする際においても,妖刀の数が「108」であったり,鬼も「ogre」と訳すのではなく「oni」のままにするなど,それが日本人以外には分かりづらい部分であっても,世界観へのこだわりは崩さなかったそうである。
![]() |
食べ物については,はしもと氏の口から,「元禄時代の日本には洋食が入ってきていた」「当時,まぐろはトロより赤身が珍重されていた」といったトリビアが次々に飛び出した。これらの史実を取り込み生かすことで,ファンタジーの世界に「少しの現実」が入ってくる,というわけだ。
ただ,はしもと氏は現実のみを追求したらゲームにならなくなると釘を刺す。あくまでファンタジーであり,あり得ない世界に少しの現実が入るからプレイが楽しくなる,と続けた。
次は,操作性についての解説が行われた。RPGではそれほど重要視されなさそうな部分だが,はしもと氏は,「以前アーケード向けアクションゲームを開発した経験からかもしれない」と自己分析を加えつつ,RPGではアクションゲームより操作性にこだわると話していた。
例えば,細かい部分ではあるが,メニューウィンドウの開閉速度が若干遅めだったり,操作音が変だったりすると,プレイしているうちにストレスが徐々に溜まり,結果的にそのゲームへ悪い印象を持ってしまうことがあるそうだ。なお,この傾向は普段あまりゲームをプレイしていない層のプレイヤーにより強く表れるとのこと。
![]() |
その例とは,「キャラクターが,目の前にあるマグマの池を飛び越えると,その奥にはスイッチがあり,それを押すと新たな通路が現れる」という一連の仕掛けだ。
テストプレイでは,スイッチの存在に気付かず,迷ったあげくにマグマの穴に飛び込むプレイヤーが続出したとのこと。キャラクターがマグマに落ちても即死しないようにするといった対策では効果が出ず,最終的には,スイッチを大きくしたうえで「PULL」という文字を添える,という形で解決したのだという。
![]() |
![]() |
はしもと氏はこのことについて,ただでさえプレイで大変なところに,「マグマの池が出現」して「先への通路が見えない」という,プレイヤーに情報を与えすぎたことが,スイッチに気付いてもらえない状況を生み出したと分析していた。
この経験は,氏がその後手がけたRPGに生かされており,たとえば,中断していたゲームを再開するとき,すぐ物語に戻れるような情報の出し方をするよう配慮しているとのこと。
![]() |
![]() |
はしもと氏は,「ルーンファクトリー」を作ったときに,「牧場物語のままでいい」「戦闘なんかいらない」といった批判を受け,かなり辛い思いをしたという。しかし,批判されていたタイトルが一定期間を置いて評価されるのを見て,「やっぱりゲーム作りはやめられない,と思いますね」と笑顔で話していた。
はしもと氏のセッションは,「RPG Development: Inspiration and Perspiration」(RPGの開発:ひらめきと汗)というタイトルだった。セッション聴講後に振り返って,「ひらめき」とは周囲の予想を超える作品を作るためのエッセンス,「汗」とはそのエッセンスに説得力を持たせるために努力を惜しまないことでのではないかと筆者は考えた。はしもと氏の「ひらめき」と「汗」が,今後も意欲的な作品を生み出してくれることに期待したい。




















![画像ギャラリー No.010のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/010.jpg)
![画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/001.jpg)
![画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/002.jpg)
![画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/003.jpg)
![画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/004.jpg)
![画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/005.jpg)
![画像ギャラリー No.006のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/006.jpg)
![画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/007.jpg)
![画像ギャラリー No.008のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/008.jpg)
![画像ギャラリー No.009のサムネイル画像 / [GDC 2013]RPGは“ひらめき”と“汗”でできている? 「ルーンファクトリー」「朧村正」の開発手法をマーベラスAQLのはしもとよしふみ氏が紹介](/games/185/G018509/20130328084/TN/009.jpg)
