インタビュー
「Crisol: Theater of Idols」開発者インタビュー。舞台背景や“ブラッド・メカニクス”など,これまでの開発の歩みを聞いた[TGS2025]
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「Crisol: Theater of Idols」は,中世から近代に移行しつつあった時代のスペインをモチーフにした「ヒスパニア」にあるという孤島のトーメントーサ島を舞台に,太陽神失踪の謎を解き明かすために潜入した兵団の生き残り,ガブリエルを主人公とするストーリーが描かれる。一人称視点によるゲームプレイは,「バイオハザード ヴィレッジ」や「バイオショック」などの作風に強くインスパイアされた内容になっている。
なお,Steam(リンク)では,体験版が配信されている。
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血は命綱であり武器でもある。スペイン産サバイバルホラーADV「Crisol: Theater of Idols」はいよいよ年内にリリースへ
Blumhouseは,Vermila Studiosが開発中のサバイバルホラーADV「Crisol: Theater of Idols」の最新トレイラーを公開し,2025年中にリリースするとアナウンスした。Summer Game Fest 2025 Pay Daysでプレイアブルデモが出展されていたので,開発者に話を聞きつつ,本作をプレイしてきた。
無表情な等身大の木製パペット人形が襲い掛かってくるのが何とも不気味な「Crisol: Theater of Idols」だが,大きな特徴となるのが自分の血が武器の弾丸になるというゲームメカニクスだ。本作には,ピストルやショットガンなど複数の武器が登場するが,武器のリロードはギザギザのある銃把(銃器のグリップ部分)を強く握りしめ,自らの血,つまりヘルスを消費することで弾丸に変えていく。
マップのところどころに血の入ったシリンジ(注射器)が置かれていたり,動物の死骸など生肉からも血を採取したりできるものの,ギザギザの銃把を握りしめるという自傷的な描写は,ホラーな設定以上にゾッとさせるものがある。
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宗教色の色濃いスペイン文化に,さらにゴシック要素を加えたようなアートスタイルも見どころになりそうな「Crisol: Theater of Idols」について,カラスコ氏に話を聞けたので紹介しよう。
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4Gamer:
よろしくお願いします。東京ゲームショウ2025の開幕前というタイミングで体験版が配信されましたね。
カラスコ氏:
はい。短い体験版ではありますが,“ブラッド・メカニクス”を試してもらいたいというのが我々の意図だったのです。ただ,体験版のリリース直後は最適化に問題があって,2日後に対処しました。もし,リリース直後に遊んだきりというのであれば,ぜひもう一度,プレイしてみてください。
4Gamer:
移動中にSteam Deckでプレイしてみましたが,大丈夫でしたよ。面白かったのは,過去の赤い残像のようなものでストーリーが進行するシーンでしたが,あれは何だったのでしょうか。
カラスコ氏:
Steam Deckのような携帯端末では細かいテキストの調整なども重要になりますが,そのあたりはしっかり対応しようと思っています。
残像については,主人公の血を扱う能力の1つともいえますが,ガブリエルは町の至るところに残されている血痕や人物の重要な所有物から,その持ち主の過去の記憶を再現できます。
見てもらったのは,アンセルモという人物の雑貨屋に,新興宗教の一団が押し入ったシーンです。その会話内容から,小さな町で人々はみんな顔見知りですが,何かの理由で流血をいとわないいさかいが起きてしまっているのです。
こうした残像は,ゲーム世界の内情を知るとか,パズルで利用できるヒントを得たりするのに役立ちます。
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4Gamer:
そのあたりをもう少し詳しく教えてもらえますか。キリスト教的なモチーフが多分に含まれていますが,事情が少々異なるようですね。
カラスコ氏:
そうなんです。スペインの歴史を考えた場合,キリスト教的な要素を排除するのは不可能ですからね。
ただ,ゲームでは太陽神に対する旧来の信仰があり,その“失踪”の原因を探りにトーメントーサ島にやってきた兵団の船が座礁してしまったというところから始まり,この閉ざされた島では新たな海洋信仰のために激しい対立が起きていたという設定になっているのです。
ゲーム中には,太陽に加えてマーメイドなどの海のモチーフがたくさんあることに気付いてもらえると思います。
4Gamer:
そこに血が何らかの形で加わってくると。
カラスコ氏:
はい。いくつかの宗教では,肉体だけでなく人や動物の血などをささげる生贄という儀式がありますよね。
本作で,例えば自分の血を流して弾倉を満タンにするというのは,自分の血を神(太陽神)への贈り物にすることで,血そのものが神聖を帯びるということなのです。ガブリエルが扱う武器は,最初は普通の頼りなさそうな武器なのですが,徐々に神聖を帯びて細かい装飾が施されていきます。
今回の体験版でもピストルだけでなく,ショットガンが存在することが明らかになっていますが,ガブリエルの手にする武器はすべて,血を流すのと引き換えに美しく変化していくのです。
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4Gamer:
体験版で立ち向かって来る木製人形たちが,倒しても倒しても歯向かって来るのが,結構手強くて……。
カラスコ氏:
ありがとうございます。自分たちらしさを出そうと工夫した部分です。木製人形ですから脳や内臓はありません。つまりヘッドショットを撃ったところで頭が吹き飛ぶだけで,体が音のある方向に向かって来るのです。
武器を手にする右手を取り除いても左手に持ち替えて突進してきますし,足を失うと這いながら,上半身を失うと下半身だけで蹴りを入れてきます。
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4Gamer:
そうなんです。敵が見えないのにヘルスが削られていると思ったら,下半身だけの敵が目下にいたんです!
カラスコ氏:
本作では,一度倒れた相手でも注意しておかなければなりません。完全に魂を失ったときにオレンジ色の光柱が立って昇天したことが合図になるので,それを確認しながら戦わないと,無駄にヘルスを削る結果になります。
4Gamer:
武器はどのようなものが登場しますか。
カラスコ氏:
サブマシンガンは出る,とだけいっておきましょう。最も強力な武器はそれだけ弾丸の消費,つまり多くの血を主人公から奪っていくことになりますから,そう簡単には利用できません。強力な武器を見つけても極力利用するのを抑え,主人公のヘルス残量を気にしながら最後の手段として出すしかないわけです。
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4Gamer:
そのあたりが,サバイバルホラーの金字塔である「バイオハザード」を意識しつつ,まったく異なるアプローチといえそうですね。
カラスコ氏:
そうなんです。大きく異なるかどうかはわかりませんが,弾丸とヘルスという2つのリソースを1つにまとめつつ,自分のヘルス残量を随時見極めながら,敵との戦闘中にどこまでリロードできるのかという戦略的な決断を,その瞬間ごとに決めていかなければならないわけです。
戦闘が終わっても,期待していたようなシリンジや生肉が手に入らないということも起こり得るわけですから,緊迫したサバイバルを楽しんでもらえると思います。
4Gamer:
プレイヤーを執拗に追いかけてくる(「バイオショック」の“ビッグダディ”的な)ドロレスも体験版で少しだけ確認できますが,ほかにもNPCは登場しますか。
カラスコ氏:
ええ,そのあたりはストーリーに関わるため,まだ詳しく話せませんが,ゲーム世界の状況を異なる角度から説明したり,ガブリエルとは違う次元の感情を持ったキャラクターが登場したりするのは,ストーリー展開に不可欠だと思いますので,そのあたりは楽しみにしておいて欲しいです。
非常に大きな機械の体を持つドロレスはゲーム中には何度も登場しますが,プレイヤーの銃器では倒せません。プレイヤーに対して何らかの憎しみを抱いており,執拗に追いかけてくるので逃げ惑うことになりますが,ドロレスがどういう存在であるのかというのも,ストーリーを進めるうちに分かってくるでしょう。
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4Gamer:
なるほど。ちょうど2年前の東京ゲームショウ2023で,たまたまお会いしてゲームを紹介してもらったのが懐かしいですが,そもそもの本プロジェクトのスタートになる切っ掛けは何だったんでしょうか。
カラスコ氏:
そうでしたね。元々は学生のプロジェクトとして始まったのですが,それは2017年になります。
当時から評価は非常に高かったのですが,完成させるには時間がかかることが想定されたために,2018年に彼らから私に声がかかって起業することになりました。コロナ禍の2020年にはEmbracer Groupに買収されることで開発も順調に進むかと思ったのですが,2023年8月には提携を解消して,我々がIPを買い取ることで独立したのです。ですから2023年9月に行われた東京ゲームショウにいた頃は,会社としてかなり厳しい状況でした。
4Gamer:
今も,その学生たちが中心になっているのですか。
カラスコ氏:
残っている学生たちもいますが,早くから地元のマドリードでゲーム開発経験のあるメンバーを集めていました。スペインにはアーティストは多くいるのですが,特にUnreal Engineに慣れている人や,C++のプログラミング言語を扱えるプログラマーは,マドリードという大きな都市でさえ非常に少ないのです。
「Crisol: Theater of Idols」自体は,かなり魅力ある作品に仕上がると思っていましたし,そのときに4Gamerさんでも取り上げていただいたように(関連記事),ホラーサバイバルにはそれなりの需要があるという確信はありました。
4Gamer:
それで実際,Blumhouse Gamesとの提携に至ったと。
カラスコ氏:
はい。2007年の大ヒット映画「パラノーマル・アクティビティ」以降のホラー映画に大きな影響を与えてきた映画製作会社が新設したゲーム販売部門ですから,相性も非常に良いと思います。我々は,「マッチ・メイド・イン・ヘブン」(最高のパートナーを意味する慣用句)ではなく,「マッチ・メイド・イン・ヘル」なんて冗談めかして呼んでいますが(笑)。
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4Gamer:
音楽についてはいかがでしょうか。
カラスコ氏:
音楽についても,チーム内部だけでなく,バルセロナに住む非常に優れたアーティストにもアウトソースしています。やはりスペイン文化が色濃い作品ですから,ロマンセロ(フラメントとオーケストラを混在させたジャンル)などを取り入れており,音楽も文化の重要な位置を占めている国内からのアーティストを選んだのです。
もちろん,伝統的というよりゲーム音楽らしく仕上がっているので,耳でも楽しんでもらいたいです。
4Gamer:
体験版のゲーム世界は雲に覆われているのか,夜更けなのか非常に暗いですが,ゲーム全般にわたる雰囲気もダークにまとめられているのでしょうか。
カラスコ氏:
いえ,そういうことではありません。第1チャプターは海難事故を生き延びて嵐が収まったばかりの海岸に近い町を散策することになりますが,チャプターを追うごとに雰囲気も変わります。雲が晴れるのかどうかは,ゲームでは“太陽信仰”が描かれているということだけをヒントにしてください(笑)。
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4Gamer:
体験版は字幕が日本語化されていましたね。
カラスコ氏:
ええ。それだけでなく,以前には予定になかったスペイン語の音声も加えているんです。当初は英語だけだったのですが,この手のゲームにはあまりないスペイン的な雰囲気のあるゲームでは,スペイン語を使ってほしいという要望がゲーマーから多かったので,皆さんの母国語での字幕とスペイン語での音声を楽しめるようにしました。
4Gamer:
携帯デバイスでも楽しめるように作り込むというような話もされていましたが,例えばSwitch2などでのリリースも考えられるということですか。
カラスコ氏:
もちろん,現在の発売予定日に合わせることはできませんが,ニーズがあればリリースしたいプラットフォームではあります。そうすれば,日本の声優陣を使って,日本語音声を入れるという道も開けますからね。
日本の皆さんには,「バイオハザード」に影響を受けた「Crisol: Theater of Idols」を遊んで,スペイン文化をベースにしたホラーを体験していただきたいのです。
4Gamer:
それは楽しみです。ありがとうございました。
まだ正式に決定しているわけではないが,「Crisol: Theater of Idols」は2026年の早い段階でのリリースが予定されている。10時間程度のストーリーながら,スペイン文化に根差した独特の世界観や,ブラッド・メカニクスを堪能できるはずだ。
Steamで配信中の近日中に配信を終了するとのことなので,気になる人は早めに遊んでおくといいだろう。
「Crisol: Theater of Idols」公式サイト
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- ライター:奥谷海人
- カメラマン:佐々木秀二
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