
インタビュー
[インタビュー]「龍が如く8外伝」発売から1か月を経て。開発チームの中心にいた堀井亮佑氏は,いかにして”海賊団”を育てたのか
インタビューのテーマはクリアしたプレイヤー向けの開発秘話といったところで,もちろんネタバレも含まれる。まだクリアしていない人,これからプレイするつもりの人は,記事を読むかどうかをよく考えてから決めてほしい。
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2024年5月,本作のプロジェクトは「『龍が如く』最新作 ミナト区系女子オーディション」として,タイトルを伏せた形でスタートした。オーディションの一部はメディアにも公開され,まるでサブストーリーの中に迷い込んでしまったかのような,シュールな気分になったことが記憶に新しい。
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2024年4月に制作が発表された「龍が如く」シリーズの最新作。同作への出演をかけた「ミナト区系女子オーディション」が実施されている。6月23日には,東京・大崎のセガ本社にて二次審査・面接が行われたので,その様子を紹介しよう。
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そして完成した作品は,「外伝」らしくコンパクトだがムダのないドラマと,豪華な「海戦&海賊団運営コンテンツ」が融合した内容だった。
[プレイレポ]「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」はすべての遊びが海賊団の強化につながる。寄り道こそが“正攻法”だ
![[プレイレポ]「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」はすべての遊びが海賊団の強化につながる。寄り道こそが“正攻法”だ](/games/798/G079868/20250220028/TN/027.jpg)
セガから2025年2月21日の発売が予定されている「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」は,伝説の極道「嶋野の狂犬」こと真島吾朗を主人公に据えたシリーズ最新作だ。ハワイの海を舞台に,いかにも龍が如くシリーズらしいスケールの大きな物語が繰り広げられる。
「龍が如く」の枠を大きくはみ出したように見えるが,しかし遊んでみればしっかりと「龍が如く」であると感じられた。「龍が如く8外伝」開発チーム制作の中心にいた堀井氏は,どのようなことを考えていたのだろうか。
「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」公式サイト
「旅立ちの歌」から波に乗った
──発売から1か月が経過しました。心境をお願いします。
堀井亮佑氏(以下,堀井氏):
今回,お客さんからは純粋に「面白かったです!」と言ってもらえることが多くて。今までで一番多いと思います。メディアさんの中には「修学旅行に行ったみたい」と言ってくれた人もいました。
やはり普段とはテイストが違うんですけど,「ゴロー海賊団,楽しかったなあ。いろいろあったけど面白かった」と思ってもらえるゲームを目指していたことが,ちゃんと伝わったのが嬉しいですね。
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──オープニングがミュージカルだったり,ラストに出演者勢揃いのダンスがあったりと,全体が舞台劇のような感覚がありました。ファンの人達にもポジティブに受け止められていたように思います。
堀井氏:
そこは僕自身が大好きな世界というか,いつか作りたいとずっと思っていたものなんです。「サクラ大戦」チルドレンですからね!
今回,「龍が如く8外伝」を作るにあたって,「これを逃したら,しばらくチャンスはないぞ」とシリーズに新しい息吹を入れてみました。
──「サクラ大戦」の影響ですか! 意外ですが納得です。
堀井氏:
ミュージカルなんて当然,作ったことがないので,苦労の連続でした(笑)。制作期間も1年弱と短かったので,最初に「旅立ちの歌 -Journey to the world-」を作っちゃったんです。静かな会議室で1人で歌って,デモテープのようなファイルを作り,「こんな感じなんだけど」とスタッフに渡して(笑)。
でも「旅立ちの歌」ができたあとは,曲に引っ張られるような感じで,制作も波に乗っていきました。そんなこんなですが,とてもお気に入りの曲になりましたし,流れる場面もすごくよく仕上がったと思います。
──プレイヤーも一緒に口ずさんでしまう曲でした。
堀井氏:
まさにそんなイメージです。海賊がみんなで歌っていると,海を冒険する感じが出るじゃないですか。「ゴロー海賊団のテーマ」などがまさにそうですよね。
シリーズとしては珍しく,アーティストとのタイアップ曲がありませんでしたが,それは制作期間が短かったせいもあるんですけど(笑),ミュージカルとしてテーマのまとまりを出したかったところも大きいです。自前の作詞と曲で,そこにまとまりを出していこうと。
ただ,「龍が如く」らしさと海賊らしさのバランスの部分では悩んだところもありました。初期はもっと海賊もの,冒険もの「そのもの」の曲になっていたので,ミュージックディレクターの吉田(吉田沙織氏)と相談しつつ現在の形にしています。
──とくにお気に入りの曲は?
堀井氏:
全曲好きですけど,やっぱり最初に作った「旅立ちの歌」ですね。僕は目覚ましのアラームの曲にしているので。いつかライブイベントも実現させたいです!
演者たちもノリノリだった
──出演陣のパフォーマンスも素晴らしいものでした。
堀井氏:
皆さん,おっしゃるように,ノア役のファーストサマーウイカさんが本当に素晴らしかったですね。演技の面でもミュージカルの部分でも,作品全体が引き締まるような効果があったというか。
ロバート秋山さんが演じるマサルも「本人はいたって真面目なのにトボけた」味を出していただいて,狙い通りにゴロー海賊団の明るい雰囲気を演出できました。「Masaru's LOVE JOURNEY」に関しては,「これは何を見せられているんだ」と思った人も多いんじゃないでしょうか(笑)。
──実写パートでは秋山さんのアドリブもかなり多い?
堀井氏:
実写パートの大まかな流れは,何度か相談しつつ決めました。秋山さんは「クリエイターズ・ファイル」(架空のクリエイターが語るドキュメンタリー風映像)をやってらっしゃるじゃないですか。そのエッセンスを,女の子とのコンパに入れたら面白いだろうと思ってお願いしたんです(笑)。
直接相談した結果,女の子の前で(良く思われようと)いろいろ演じてしまうマサルという着地点になりました。台本は,えなこさんのパートであれば,写真が好きな子に対して「僕も写真好きだよ」と絡んでいくあたりまでは決まっているんですけど,あとは本番で出てきたものが多いです。
──「十番風呂」のセリフを受けての本郷 愛さんしかり,共演者も演技というより,普通に笑いを我慢しきれなくなっていました(笑)。
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堀井氏:
あの場面は「飲むヨーグルトをオチにしよう」くらいまでは先に決めているんですけど,細かい部分はそこから一緒にアイデア出しをしています。秋山さんは本当に協力的で,僕らもとてもいい勉強になりました。
──メインの物語では,とくに大切にしていたことはなんでしょう。
堀井氏:
真島吾朗の行動心理ですね。とにかく「子どもに大人のダサい部分を見せたくない」というところ。損得とか以前に,大人の汚いところ,ダメなところを見せてはいけない,子どもに夢を諦めさせてはいけないことを,生き様として伝えたかったんです。
──それでノア少年の夢を応援する話に。
堀井氏:
あとは真島自身のモチベーションのためですね。権力とかお金とかにすごく執着している人間ではないですから,海賊団の頂点に立つ,お宝を見つけて一攫千金だけだと少し弱いというか。
ただ,それはシリーズ全体でも共通するところですよね。子どものために,大事な誰かのために何かをするというのは。だから企画の初期段階から,そこは固まっていたんです。脚本・演出の古田(古田剛志氏)とも相談しながら決めました。
──冴島大河との絆も強調されていてグッときました。
堀井氏:
今回のメンバーとの組み合わせ的に,彼のコミカルな面も出してみました。あのチームの中に,冴島みたいな人が急に入ってきたら困ると思うんですよね(笑)。そこをアジャストさせるため,ちょっとかわいらしい部分を描いています。
「龍が如く8」では真島,冴島,大吾が漁師をしていましたが,実はこれまでも真島と冴島の絡みは多くを描けていないので。一緒にホルモンを食ったのが,一番でかいくらい(笑)。真島がメインの今作は,冴島を描くにもいい機会だと思ったんです。
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海賊団メンバーと思い出を作っていく
──そのほか,思い入れの深いところは?
堀井氏:
とくに気に入ってるのは,ミサキという女の子が登場するサイドコンテンツの導入部です。父親のナミオカが殺されてしまうという……。サイドコンテンツがあんなにシリアスなのは,ほぼ初めてじゃないでしょうか。あれがあったからこそ,真島たちの旅もあっけらかんとしただけはなくなり,全体が引き締まる効果があったと思います。
──サブストーリーで関わる人たちがミナト区系女子も含めて,誰も彼も海賊団に入るのが嬉しかったのですが,茂田さん(サブストーリー「茂田博信65歳」に登場)は海賊団に加わらなかったことが印象に残りました。
堀井氏:
最初は仲間に入る予定だったんですよ(笑)。でも,お話を作っていくなかで,この人は家族と一緒にいたほうが幸せだろうと思えたんですね。「サブストーリーの報酬として仲間に入ります」という部分を優先して,道理が曲がっちゃうみたいなのは好きじゃないんです。それは真島吾朗も良しとはしないでしょう。
──クレアのサブストーリー(「貴方のナデシコになりたい」)も良かったです。コミカルですが,偽らない自分を見せることが大事なんだというメッセージ性がありました。
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堀井氏:
今回重視していたのは,海賊団の仲間を増やしていく楽しさだったので,サブストーリーは普段よりもエピソード主体ではなく,キャラクター寄りになっている傾向がありますね。それはサブストーリーも「海賊団メンバーとの思い出」として描きたいという思いがあったからです。
そのほか,イチゴちゃんとファンのエピソードなども印象深かったかと思います。
──海賊の要素は,「龍が如く7」の会社経営や「龍が如く8」のドンドコ島,スジモンの位置づけだと思いますが,最も本編と融合している感覚でした。
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堀井氏:
そこは上手くハマりましたよね。サイドコンテンツはメインとバッティングしないというか,本編をあまり邪魔しない建付けにしているのですが,今回は海賊団を強化していって最後に戦う相手も海賊でしたから。
──アクション面ではセミオート操作を試してみたのですが,いろいろな技を使ってくれるので,意外に楽しめるものだと気がつきました。
堀井氏:
「龍が如く7外伝」からの要素ではあるのですが,よくできているわりに,あまり使われていないんですよね(笑)。そこで,今回はチュートリアルにも組み込んで強調しているんです。コマンドRPGである「7」や「8」からシリーズに入ってきた人にはぜひ使ってほしいし,そういうフォローは必要だと考えています。
──おそらくエンディングを見た全員が気になっているところですが,完でも終でもなく「続」とした理由をお願いします。
堀井氏:
そうですね……。そこは単純な話で,終わった感じがしなかったんです。ストーリークリアのトロフィーや実績の名称も「まだまだ人生は、続くでぇ」ですし,最後に伝えているのは真島たちの新たな生き方だったり,桐生が諦めず闘病していたりと,未来に続くような終わり方にしてあるので。いろいろな未来を見据えた意味を込めています。
──最後に,ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
堀井氏:
世界中の方にゴロー海賊団の冒険を楽しんでいただけて,純粋にすごく嬉しく思っています。かなり突飛なタイトルだったと思いますし,僕らとしても実験に近い感覚もあったんですけど,その中に「龍が如く」らしさを込めることができ,また遊んだ人にも感じてもらえた。僕にとって大きなことでした。
これから先にどうなるかはまだ話せませんが,今回の学んだことはたくさんあり,海賊よりもびっくりするような面白いものを作っていきます。楽しみにしてください!
──本日はありがとうございました。
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約1年前のミナト区系女子オーディションに始まり,取材する側まで「物語の内側」に巻き込まれていく感覚があった「龍が如く8外伝」。ミュージカル仕立ての冒険活劇を描ききった堀井氏の笑顔は,夢を叶えたあの少年の笑顔と少しダブるような気がした。
「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」公式サイト
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龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii
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- CERO D:17歳以上対象
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- プレイ人数:1人
- PS5:龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii
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- ライター:高橋祐介

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