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全高約100cmの等身大フィギュアは,3Dプリンタによって立体化している。全身にシルバーのメッキが施され,ソニックが右手で指している胸の中にはカオスエメラルドが浮かぶ。その中央には小さな球があり,最新のバイオテクノロジーによって作り出された「ソニックの遺伝子(DNA)」が封入されている。
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今回のプロジェクトを手がけたLOM BABYは,「生命の誕生」をテーマに最先端のバイオテクノロジーとデジタル技術を融合させるアートユニットだ。
想像上の生物「龍」をDNA合成で再現した食用「龍肉」や,バイオテクノロジーによって合成した「t-ウィルス」(カプコンの「バイオハザード」より。非病原性)といったアート作品を世に送り出している。
「DNAフィギュア」と銘打たれた等身大ソニックは見た目を模しただけでなく,「オスのハリネズミ」「青い体色」「超音速の脚力」「冒険への好奇心」「カナヅチ(泳げない)」といった,ソニックの特徴となる複数のDNA情報を最先端のバイオテクノロジーによって合成し,その内部に内包している。
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「架空のキャラクターのDNAとは?」という疑問に,LOM BABYの浪岡拓也氏(Transeeds Inc.)と,ソニックシリーズのクリエイティブディレクターである星野一幸氏(セガ)が答えてくれた。
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4Gamer:
「ソニックのDNAを封入したフィギュア」という斬新なプロジェクトを企画した経緯を教えてください。
星野一幸氏(以下,星野氏):
これまでもソニックブランドは,新しい技術やトピックに積極的に挑戦しています。バイオテクノロジーを用いて,技術のブレイクスルーに最前線で取り組んでいるLOM BABYさんの活動を大阪・関西万博で拝見して,ソニックとコラボレーションできたらエキサイティングなものになると考え,提案させていただきました。
浪岡拓也氏(以下,浪岡氏):
私たちの活動を広く知っていただくために,万博では試作品としてDNAフィギュアを発表しました。それが最初の作品と言っていただくこともありますが,万博の作品はあくまで試作品で,セガさんと一緒に作ったソニックのDNAフィギュアが第一歩という感覚です。
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星野氏:
ゲームカルチャー側には斬新すぎて,理解が追いついていないことはあるかもしれません。先日のファンミーティングでも,そういうファンの方が多かったのは事実です。
ただ我々としては,最初のゴールはそこでいいと考えています。「よく分からないけど,とんでもないチームと組んで,ものすごく新しいことやった」という感想を持っていただいて,世の中をちょっとざわつかせたことが成功だったと思っています。
SONICのDNAが最先端バイオテクノロジーによって、
— ソニック・ザ・ヘッジホッグ【公式】 (@SonicOfficialJP) June 5, 2026
この現実世界へ誕生する。
※DNA設計・合成を含め、AIは使用していません。
SONIC's DNA is born into this real world through
cutting-edge biotechnology.
No AI was used in the process,including DNA design and synthesis.#ソニック35周年… pic.twitter.com/qyWYOpMQSm
4Gamer:
実際にはどのようにしてソニックのDNAを作られたのでしょう。
浪岡氏:
2020年にノーベル賞を受賞した「DNA合成技術」をベースに,ソニックの要素である「ハリネズミ」「青い色」といったDNA情報をコンピュータ上で書き換えることで,理論上は青いハリネズミができます。
ただハリネズミを青くするだけではソニックにならないので,星野さんらセガの方と共に「ソニックらしさとは何か」を議論しました。
たとえばソニックの「冒険心」であれば,ハリネズミには探索行動をするホルモンがあり,それを増強することで冒険心に近いものになるのではないかとか。DNAやホルモンのさまざまな組み合わせを考えて,99%ソニックに近似したDNAが完成したんです。
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4Gamer:
「泳げない」という要素まで入っているのは驚きました(笑)。
星野氏:
ソニックの欠点でもあるんですが(笑),それがあることでソニックらしくなるのは間違いないので,細かい設定も提案させていただきました。
浪岡氏:
足を速くするために筋肉を増強するDNAを組み込むんですが,それだけでは骨格が耐えられないので,骨格も同時に強くする必要があります。そうすると必然的に泳ぎが苦手になるんです。
あえて泳げない要素を組み込まなくても,生物学的なトレードオフのバランスとして自然につながったことは大変興味深いです。
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4Gamer:
映画「ジュラシック・パーク」のように,DNAからソニックの実物を作れたりするんでしょうか。
浪岡氏:
「ジュラシック・パーク」では,過去に生存した生物を復元していました。実際にT-レックスの皮をDNAから培養して,その皮で作ったバッグが1億円で落札されたという話もあります。部分的には実現できていることです。
私たちがやっているのは復元ではなく,空想上の存在を現実的に生み出すことで,技術的にはそれも可能だと考えています。ただ実現するには,国家予算規模のプロジェクトになってしまうんですよ(笑)。
また,本当に空想の生物を生み出すべきか否かは,DNAフィギュアを通じて皆さんと一緒に考えたいテーマでもあります。
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4Gamer:
ファンや来場者には,どのように楽しんでほしいですか。
星野氏:
先ほどお話ししたように「よく分からない」という声もありますので,もう少し詳しく説明したいと考えていますが,“百聞は一見にしかず”です。まずは,SEGA STORE TOKYOに来ていただいて実物を見てください。そして何かを感じていただきたいです。
浪岡氏:
私たちは今,AIの先を行く「ALife(Artificial Life=人工生命)」の研究をしていますが,セガさんは30年前に「NiGHTS」でALifeの先駆けとなるシステムをエンタメに導入しています。その先駆者と一緒に仕事ができたことに運命を感じました。バイオテクノロジーをエンタメに昇華して,DNAフィギュアとして手に触れられる形にできたことはとても感慨深いです。
今の時代,AIを使えば大抵のものが分かった気になれますが,あえて「よく分からない未知のもの」に遭遇して,SNSなどで議論が生まれることもまた作品への愛ではないかと思います。
ソニックは世間にも浸透して,多くの人に愛されるキャラクターになっていますが,DNAフィギュアのソニックはかなりエッジの利いた未知の存在のように見えますので,いろいろな角度から眺めて,新しいソニックを感じてみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
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