こうした“unityroom発”の有望な作品が,今年の「BitSummit PUNCH」に出展されている。それが,閲覧数27万回以上の人気タイトル「代償少女」だ。カードゲームとストーリーの要素を見事に融合させ,容赦のない世界を描く作品として話題を集め,公開から数か月で製品化が決定した。
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話題作の参戦と聞いて,さっそくプレイしてみた。なお,本作の公開から製品化までの流れについては,開発者の1人であるえいとえいど氏がnoteで紹介している。
大事なものを失いながら戦う
物語とゲームのジレンマの一致感が魅力
本作の物語は,とある森に少女「赤月アイ」が迷い込んでしまうことから始まる。森には危険が潜み,暗がりには怪物や幽霊が跋扈している。あてもなく歩き出したなら,無事では済まないだろう。
アイが戸惑っていると,不思議な少年に声をかけられる。少年によると,アイは「カード」を使って敵を退ける力を持っているのだという。実際,アイは見覚えのないカードを所持していた――というのが,本作のあらすじとなる。
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unityroom版は章立てのステージクリア形式が採用されていたが,出展デモはデッキ構築型ローグライクカードゲームに近い。分岐のあるマスから進む先を選び,敵を撃破したら新しいカードをデッキに加えられる。同ジャンルの作品に触れたことがあれば,戸惑うことはないだろう。
ただし,各カードにはコストとして“代償”が設定されており,支払う代償が重いものであるほど大きな効果を得られる仕組みになっている。たとえば「思考力」のカードは,敵に15ダメージを与える効果がある。序盤の敵を一撃で倒せるほどの威力だ。
その代わり,カードは使用するとデッキから消滅し,同時に対応する要素がアイ自身から奪われてしまう。「思考力」の場合,以降はランダムでカードが使われる状態になるため,早い段階で使ったらゲームオーバー待ったなしだ。
代償で失うものは多種多様。言語を失えばカードテキストがランダムになり,恐怖心を失えばカードを使わずにターンを終えることが不可能になる。
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となれば,ゲームプレイに影響を与えにくいカードから使っていくのが基本になるが,代償が小さいカードは効果が限定的なものが多い。カードプレイに代償以外のコストは不要だが,代償が厳しすぎると,一切のカードをプレイできないままターンを終えざるを得ない場面も訪れる。
ターンを終わらせると,敵が攻撃を仕掛けてくる番だ。どうにかなる代償が手元に来るまで耐えるか,すでにある“重大な代償”を要求されるカードを使うか――ジレンマに向き合いながら戦う必要があるわけだ。
ただ,ローグライクカードゲームになったことで,失ったカードを改めて入手したり,同じカードを複数所持したりできるようになっている。unityroom版はゲームプレイに重大な支障をきたすカードはほぼ使えなかったが,出展デモではギリギリの場面であれば選択肢に入る。
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本作の特筆すべきところは,独特のゲームメカニズムを,ほぼ齟齬なく物語体験と接続している点にある。失いたくないものを支払わなければ先に進めない“物語上のジレンマ”と,背負うデメリットを計算しながら進む“ゲーム上のジレンマ”が見事に一致しているのだ。
ゲームプレイに与える影響が小さいカードも存在するが,実際に遊ぶと使うことにかなり抵抗を感じる。画面の色彩が失われる「色覚」,表情が失われる「笑顔」など,代償をUIやビジュアルにしっかり反映することで,“重大な何かを失った”感覚をプレイヤーに与えている。
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オリジナル版から追加されたローグライク要素や新しいストーリーにも違和感はなく,当初からのファンにとっても純粋なアップグレード版として受け入れやすい作品だ。今後の動向が気になる人は,Steamストアページを訪れてウィッシュリストに加えておこう。
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