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「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」35周年記念インタビュー。総合プロデューサー飯塚 隆氏に聞く,これまでの道のりと未来の可能性。そしてまだ見ぬ新作に向けて[TGS2026]
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印刷2026/09/21 16:56

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「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」35周年記念インタビュー。総合プロデューサー飯塚 隆氏に聞く,これまでの道のりと未来の可能性。そしてまだ見ぬ新作に向けて[TGS2026]

 セガの人気アクションゲーム「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」が今年で誕生から35周年を迎えた。今回の東京ゲームショウ2026には,残念ながら新作の発表や出展はなかったが,直前に発表された「ソニックレーシング クロスワールド」PC / PS5 / Xbox Series X|S / Switch2 / PS4 / Xbox One / Switch)のコラボ展示や,コラボタイトルである「SONIC PICO PARK」が出展されていて,ステージイベントなども盛り上がりを見せていた。
 そんなTGS 2026には,「ソニック」シリーズ総合プロデューサーである飯塚 隆氏も訪れており,ディアの取材に対応した。4Gamerもインタビューする機会を得たので,その模様をお伝えしていこう。ソニックの35年を駆け足で振り返るとともに,シリーズの未来や日本のファンへの気持ちを語ったインタビューだ。

「ソニック」シリーズ総合プロデューサーの飯塚 隆氏
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総合プロデューサーに就任して16年。その道のりを振り返る


4Gamer:
 2026年は,ソニックが生まれて35周年という記念すべき年となりました。そのすべてを振り返るのは難しいですが,飯塚さんが総合プロデューサーとなってからのことをお話しいただけますでしょうか。

飯塚 隆氏(以下,飯塚氏):
 私がプロデューサーになったのは2010年でしたが,このときがある意味,シリーズのターニングポイントだったかもしれません。
 それ以前はタイトルごとにディレクターがいて,それぞれが独自のソニック像でゲームを作っていたんですね。私がディレクターだった「ソニックアドベンチャー」シリーズはアメリカで開発していましたが,日本では「ソニックと秘密のリング」を作っていて,同じソニックチームのタイトルなのに,距離も方針もバラバラだったんです。

4Gamer:
 なるほど。それが2010年以降,統一が図られたと。

飯塚氏:
 はい。私がプロデューサーになった2010年以降は,どちらのプロジェクトもコントロールできるようになり,風通しがよくなりました。“ソニックらしさ”とは何かといった,コアの部分の整合性をとるようになり,それまで行われていなかった,開発リソースの共通化なんかも可能になったんです。当時は「ソニック カラーズ」「ソニックジェネレーションズ」を並行して開発していたので,おかげですごくやりやすくなったと思います。

4Gamer:
 その後,飯塚さんは2016年にアメリカに渡られるわけですが,そこでも変化があったのでは?

飯塚氏:
 もちろん仕事は大きく変わりました。日本の現場を離れたことで,開発を直接見ることはできなくなりましたが,担当ディレクターとは密にコミュニケーションを取り,私に代わって彼らが開発を監督できる体制を構築していきました。
 一方で,アメリカは外部のデベロッパとの共同開発が多く,私が彼らと直接やりとりするようになったのも大きいですね。結果として「ソニックマニア」「チームソニックレーシング」のようなシリーズとして統一感のあるタイトルが作れたのだと思っています。

「チームソニックレーシング」(2019年)
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4Gamer:
 ソニックシリーズの35年において,とくに思い出深いタイトルというと何になりますか。3タイトルほど挙げていただきたいのですが。

「ソニック・ザ・ヘッジホッグ3」(1994年)
画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / 「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」35周年記念インタビュー。総合プロデューサー飯塚 隆氏に聞く,これまでの道のりと未来の可能性。そしてまだ見ぬ新作に向けて[TGS2026]
飯塚氏:
 もう,いろんなところで話していますが,最初に印象に残っているのは「ソニック・ザ・ヘッジホッグ3」です。
 入社してすぐの新人時代に,企画立ち上げから携わり,プランナーとしてレベルデザインを担当したタイトルなんです。そこで先輩方に教えてもらった開発のイロハは,今でもクリエイターとしての財産だと思っています。
 新キャラクターであるナックルズのアイデア出しにも参加して,「ハリネズミの次だからハリモグラにしよう」「パンチで岩を掘るキャラにしよう」といったアイデアを採用してもらいました。新人の提案でも柔軟に取り入れてくれる環境に,感激したことを覚えています。

4Gamer:
 2本目はやはりアレですか(笑)。

飯塚氏:
 はいアレです(笑)。「ソニックアドベンチャー」ですね。それまでの2Dアクションから3Dアクションへの移行は,本当に大変でしたので。それまでの開発で学んできたノウハウが,まるで通じないんですから。まずソニックをどう走らせればいいかが分からなくて,直感で作ってはみたものの,それがまったく面白くならない。それでも時間だけはどんどん過ぎていくので,ものすごい危機感がありました。

4Gamer:
 ブレイクスルーは何だったのでしょうか。

飯塚氏:
 新しく考案したカメラシステムがカギだったんです。それを搭載してから,一気に面白さが見えてきました。当時の発表会でお披露目した巨大なループを走るシーンも,このカメラシステムがあったからこそ見せられたくらいですので。

「ソニックアドベンチャー」(1998年,画像はPS3版のもの)
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4Gamer:
 有楽町の国際フォーラムでの発表会ですね。

飯塚氏:
 ええ。あの発表会のループを走るシーンは,私が実機でデモプレイしたものを使ったんですよ。なのに周りからは,「あれムービーだろ」「プレイ画面のはずがない」などと言われて,悔しかったですね。2回目の講演では,わざとミスしてプレイアブルだって証明したくらい(苦笑)。

4Gamer:
 それはそれは(笑)。今だから話せる裏話ですね。

飯塚氏:
 当時,あそこまで3D表現を突き詰めたゲームはありませんでしたし,しかもソニックだからスピード感を殺すわけにもいきません。だからループを走るときはカメラをぐるっと横に動かして,ループが終わったらまた戻っていくようなカメラシステムを提案したんですね。自画自賛になりますが,あれは発明だったと思いますよ(笑)。

4Gamer:
 そういえば,ソニックたちがしゃべるようになったのも「ソニックアドベンチャー」からでしたね。

飯塚氏:
 そうですね。それも「ソニックアドベンチャー」に課せられた命題の一つでした。「ソニックの口調はどうするのか」「ナックルズはどんな性格なのか」。そういったことを,ほぼゼロから構築していったのが同作だったので,現在のモダンソニックのスタートラインは,やはりここだったのだと改めて思います。

4Gamer:
 では,残りの1本はいかがですか。

飯塚氏:
 あと1本は,やはり「ソニックフロンティア」でしょうか。あれは今後のソニックシリーズを決定づける,大きな試金石だったと思っています。
 オープンワールドのソニックは10年ぐらい前からずっとやりたいと思っていましたが,“コースを走る”ことが面白さの根幹であるソニックとオープンワールドは,少々相性が悪いんですよ。「だだっ広い空間にソニックがポツンといても,面白くなるわけがない」っていう,れこそ「ソニックアドベンチャー」開発初期のトラウマがよみがえってきて,なかなか思い切れませんでした。
 でも結果的には,ディレクターの岸本(岸本守央氏)が悩みに悩んだ末,オープンゾーンという形を生み出してくれて。まさにソニックの今後を左右する,偉大な一歩を踏み出したタイトルになったのではないでしょうか。

「ソニックフロンティア」(2022年)
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まだまだ進化するソニック,その未来は?


4Gamer:
 では,そんなシリーズの歴史を踏まえつつ,今後のソニックがどんな進化を遂げていくのか,展望を聞かせていただけますか。

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飯塚氏:
 現在開発中の新作について,具体的なことはまだ話せないのですが,シリーズの進化の余地という意味では,まだまだやれることがあると私は確信しています。「ソニック カラーズ」で導入したカラーパワーによって,シリーズの遊びは大きく変わりましたし,「ソニックフロンティア」が切り開いたシステム的な進化も,まだその先があると思うのです。
 キャラクターにストーリー,ゲームシステムと,さまざまなアプローチによってこれまでにない遊びを作り出していきますので,ぜひ期待してお待ちください。

4Gamer:
 ソニックシリーズに限らない話ですが,2Dから3Dに進化した以上の何かというのは,ちょっと思いつかないですね。

飯塚氏:
 我々としては,単にテクノロジーによる進化のみならず,2Dのクラシックシリーズと3Dのモダンシリーズの双方を進化させていきたいと考えているんですよ。「ソニックフロンティア」がある一方で,「ソニックスーパースターズ」のような方向性もありますし,その両方を着実に育てていきたいですね。

4Gamer:
 確かに「SONIC PICO PARK」や「ソニックランブルパーティ」なんかも,これまでとはちょっと違う方向性ですね。

飯塚氏:
 そうなんですよ。とくに「SONIC PICO PARK」は,我々から見てもちょっと意外な方向性でしたが,TECOPARKさんがソニックを冠するにふさわしいクオリティに仕上げてくれて,私自身も開発中のバージョンを本当に楽しくプレイさせてもらっています。新しいステージが追加されるのを,毎回楽しみにしているぐらい(笑)。

「SONIC PICO PARK」(発売日未定)
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4Gamer:
 今回のTGSでは,「SONIC PICO PARK」と共に,「ソニックレーシング クロスワールド」のシーズンパスとして,「ゴジラ」や「新世紀エヴァンゲリオン」とのコラボレーションが発表されて話題になりましたが,こうしたコラボ先はどんな基準で選ばれているのですか。


飯塚氏:
 コラボ先のIPは,キャラクターありきというより「コースを走ったときに,いかに新しい驚きを与えられるか」という点にフォーカスして選択しています。このIPなら,こんな面白いコースが作れるだろうというコース制作の算段がついたところで,IPホルダーさんにご相談する流れですね。
 当然,すべてでOKをいただけるわけではありませんが,今回の「ゴジラ」や「エヴァンゲリオン」は幸いにも快諾していただけました。

4Gamer:
 これまでのコースも,実際に走ってみると細かいところまで作り込んであって,驚かされたものです。「ミュータント・タートルズ」のコースとか,本当に映画そのままでしたから。

飯塚氏:
 まさにそれが狙いです。我々としてはIPをお借りしている立場なので,ソニックだけでなく,そのIPのファンの皆さんに「これが見たかったんだよ!」と言ってもらえるものを作りたいと,強く意識して制作にあたっています。
 今回の「ゴジラ」や「エヴァンゲリオン」も,そうした仕掛けをたくさん盛り込んでいますので,ぜひお楽しみに。

4Gamer:
 ソニックは,今も昔も欧米での人気が高いシリーズですが,近年は日本でも熱心な若いファンが増えている印象です。飯塚さんとしては,そうした日本のファンに向けて,今後どんな取り組みを行っていくのでしょうか。

飯塚氏:
 ソニックはグローバルなキャラクターですので,目指すのは世界中の誰しもが楽しめるコンテンツであることに変わりありません。ただこれまでは,どうしても欧米中心の展開にならざるを得なくて,日本やアジアが後回しになりがちだったのは確かです。
 でもソニックは日本で生まれたキャラクターですから,日本やアジアのファンの皆さんにも愛していただけるコンテンツに育てたいという思いは,昔からありました。ですので,今は「ソニック&フレンズ」のような可愛らしいビジュアルの関連シリーズも積極的に展開しています。こうした日本やアジアのファンに向けた展開は,これからも続けていくつもりです。

4Gamer:
 やっぱり可愛い方向性のほうが,日本やアジア圏では人気なんですね。

飯塚氏:
 そうですね。「ソニック&フレンズ」は予想以上の人気を博していますし,実はアジアだけでなく,最近は欧米でも人気の高まりを感じています。“日本発”のキャラクターとして,今後も幅広く展開していきたいです。


4Gamer:
 最後にソニック35周年を迎えてのメッセージをいただきたいのですが……その前に。飯塚さんにとってこの35年は長かったですか。それとも短かったですか?

飯塚氏:
 気持ち的にはあっという間でしたね。入社したばかりの新人としてソニックの開発に携わった私も,今はもう50代後半ですから。次の周年を迎えるときには年齢的に……どうなっているでしょうね?

4Gamer:
 我々ファンとしては40周年,50周年と続けていただきたい気持ちでいっぱいなので,健康にはどうか気をつけてくださいね。では次の作品に向けての抱負など,読者へのメッセージをいただけますか。

飯塚氏:
 まずはソニックシリーズが無事35周年を迎えられたことについて,ファンの皆さんに感謝を述べさせてください。皆さんに支えていただいたおかげで,ここまで来ることができました。
 今年のTGSは「ソニックレーシング クロスワールド」の新コラボや,「SONIC PICO PARK」のお披露目が中心でしたが,我々ソニックチームとしては,ゲームに限らないソニックの新しいコンテンツで,毎年皆さんに驚きを提供していくことを目標としています。
 たとえば2027年3月には映画の4作目が公開されますし,Netflixでも新しいキッズ向けアニメを配信する予定です。あらゆるメディアで新しいソニックをお届けしていきますので,これからも引き続き応援をよろしくお願いします。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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