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インタビュー
[インタビュー]「アサシン クリード シャドウズ」における“歴史に忠実”の意図は? どういう思いで本作を開発しているのかを聞いた
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4Gamerでも京都で行われたイベントレポートや,先行プレイレポートなどを掲載しているが,今回は開発者であるエグゼクティブプロデューサーのMarc-Alexis Côté氏と,クリエイティブディレクターのJonathan Dumont氏にインタビューを実施したので,その内容をお届けしよう。
俳優の新田真剣佑さんの出演も発表。京都で行われた「アサシン クリード シャドウズ」のイベントをレポート
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Ubisoftは本日(2月6日),京都の歌舞伎劇場である南座で,3月20日に発売予定の最新作「アサシン クリード シャドウズ」のイベント「アサシン クリード シャドウズ ショウケース in 京都」を開催した。島袋さんら声優陣が登場し,さらに俳優の新田真剣佑さんの出演も発表されたイベントの模様をお届けしよう。
「アサシン クリード シャドウズ」,プレビューインプレッション。戦国時代を舞台にしたシリーズ最新作に“時代劇”を感じた
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2度目の延期を経て2025年3月20日に発売される予定のシリーズ最新作「アサシン クリード シャドウズ」のメディア向けプレビューイベントが実施された。弥助と奈緒江という2人の主人公を採用し,まったく違うプレイスタイルで楽しめる本作のインプレッションをお届けしよう。
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4Gamer:
まずは,改めて「アサシン クリード」とはどういったゲームなのかを教えてください。
Marc-Alexis Côté氏:
「アサシン クリード」シリーズは歴史を題材にしたフィクション作品です。人々をコントロールしたいテンプル騎士団と,自由を勝ち取るためにそれに抗うアサシン教団の対立をテーマにしており,世界中のその時代における,人類の歴史の重要な局面をベースとして,登場人物たちの個性的なストーリーを語る背景としています。
そこにパルクールやステルス,戦闘,マップの探索や探検といったゲームの楽しい要素を入れた作品ですね。
Jonathan Dumont氏:
分かりやすく言うなら,アサシンクリードは,仮想の世界をリアルに体験できるバーチャルリアリティ装置のようなものですね。架空の物語を体験できるというものです。
4Gamer:
なるほど。もしも歴史の重大な局面に,テンプル騎士団やアサシン教団の対立が関わっていたら,という物語を描いているわけですね。
Marc-Alexis Côté氏:
そのとおりです。
Jonathan Dumont氏:
そこに主人公を登場させて物語を組み立てていくんです。多くの人々が知識として備えているであろう歴史上の出来事や人物,場所などをリアリティを感じさせるためのアクセントとして散りばめながら,主人公の物語を描いています。
4Gamer:
過去に他紙のインタビューで「歴史に忠実」と発言されたことから,その言葉が注目されていますが,アサシン クリードにおける「歴史に忠実」とはどういうことなのでしょうか。
Jonathan Dumont氏:
あくまで物事の細部表現におけるリアリティです。我々はその時代を調べて作り込み,プレイしていて納得感のある世界を作ろうとしています。
フィクションなので「これがこの時代の歴史だ!」と言いたいわけではありません。時代背景や大まかな出来事をゲームで知ってもらい,そこから興味を持って博物館などに行って,本当の歴史を学んでほしい。「アサシン クリード」をプレイしたことをきっかけに,歴史に興味を持つ入口になればいいと考えています。
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4Gamer:
ああ,私も「アサシン クリード ブラザーフッド」をプレイしたときに,チェーザレ・ボルジアについて調べたことがありますね。ゲームと史実の違いを比べるのが楽しかった記憶があります。
Marc-Alexis Côté氏:
2007年に発売した最初のアサシン クリードから,このゲームが歴史フィクションであることは冒頭で表示しています。エンターテイメントなので,ゲーム的な楽しさや世界を作るためには多少の脚色が必要になります。
Jonathan Dumont氏:
我々は舞台となる時代の歴史や背景を学びながらアサシン クリードを作っています。それらを表現するために,できる限りの努力をしています。もちろん,その中で間違いを犯してしまったこともありましたが,それでも私たちは,ゲームにプレイしたときに,誰もが楽しめる没入感を得られることを目標としています。
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4Gamer:
本作の主人公は弥助と奈緒江ですが,なぜ弥助という実在の人物を主人公にしたのでしょうか。
Jonathan Dumont氏:
プレイアブルキャラクターという意味では,実在の人物を操作できるのは初めてではないんです。アサシン クリード オデッセイの冒頭でレオニダスを操作できました。
それはそれとして,弥助はミステリアスな部分が多いながらも,信長の近くに確かに存在したという非常に興味深い人物でした。彼はこういう人物だったのではないか? をフィクションの中で描くことに最適な人物だったんです。
4Gamer:
なるほど。ですが,それだけだと弥助じゃなくてもよかったんじゃないかと思ってしまうのですが,それでも弥助を主人公として選んだのはなぜだったのでしょうか。
Jonathan Dumont氏:
ポルトガルの宣教師によって日本に連れてこられたことや,物語上での奈緒江との対比など,日本と外国をつなぐ存在として,非常に興味深く,また面白い人物だったからです。
4Gamer:
たしかに,テンプル騎士団とアサシン教団という対立構造は,主に欧米で起きた出来事で,島国である日本でその対立構造を描くには,外国勢力との交流を描く必要がありますね。その点で言えば,弥助を主人公にしたのは自然な流れかもしれません。
Jonathan Dumont氏:
架空の人物ではありますが,奈緒江も歴史に根差したキャラクターではあります。彼の父は藤林正保で,謎に包まれた人物でもあります。
4Gamer:
表現的な話になるんですが,障子越しに暗殺したり,剣戟のシーンだったり,日本の映像作品を参考にしていると思うのですが,インスパイアを受けた作品はあるのでしょうか。
Jonathan Dumont氏:
開発チームは今作を作ることに非常に熱心で,日本のカルチャーも好きな人が多いです。私も小さいころからウルトラマンを見て育ちました。インスパイアを受けたというか,参考にした作品で言えば,「十三人の刺客」「関ヶ原」「座頭市」などですね。もちろん黒沢監督作品にも影響を受けています。
Marc-Alexis Côté氏:
竹や草などもそうですが,刀で斬り合うときに,あらゆるものを切れるように表現したかったんです。切る角度によって切断面が変わるようになっているんですよ。
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4Gamer:
それはすごいですね。本作を作るうえで一番難しく感じたことはなんでしょうか。
Jonathan Dumont氏:
技術面においても,芸術面においても,“生きた”世界を作り上げるのが大変でした。風の吹き方とか,季節の違いとか,土砂降りのとき,雪が降っているとき,そのあたりの表現が難しかったですね。
Marc-Alexis Côté氏:
プレイヤーがその世界を探索するとき,季節の違いを感じられるようにする。建物でも季節によって,雪が積もっていたりなど微妙に違っています。主人公が2人いることも含め,ひとつのゲームにいくつかのゲーム要素が入っているような感じですね。
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4Gamer:
最後にシリーズファンにメッセージをお願いします。
Jonathan Dumont氏:
私たちは情熱をもってゲームを作っています。ゲームをプレイしていただいて,その真意を理解していただけたら嬉しいです。
Marc-Alexis Côté氏:
アサシン クリードの舞台を日本にすることは,我々の長年の夢でした。日本とその美しさにインスピレーションを受けてきました。ファンの皆さんが私たちが作ったゲームを楽しんでいただけることを願っています。
4Gamer:
我々日本人が欧米の文化を理解することが難しいように,日本の文化を理解することは非常に難しかったと思います。
Jonathan Dumont氏:
おっしゃるとおりだと思います。このゲームを作るためにたくさん日本の文化を学びましたが,それでもまったく足りているとは思っていません。ですが,私たちは「アサシン クリード シャドウズ」を没入感のある歴史的フィクション,エンターテインメント作品として,心から情熱を注いで作ったということを理解していただけると嬉しいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
「アサシン クリード シャドウズ」公式サイト
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