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印刷2026/09/19 11:00

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「VRChat」が最近,日本の展開に積極的なのはなぜ? ピクシブとの提携でどうなる? 日本公式の“中の人”とピクシブにインタビュー[TGS2026]

 2026年9月17日から21日まで開催されている東京ゲームショウ2026に,ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」PC / Meta Quest / iOS / Android)がブースを出展している。
 公式としては初出展となり,ブースがあるのはメインホールの端の端。壁に描かれた人気アバター「まめひなた」を探せば見つかるだろう。

ブースには人気アバターのコスプレイヤーも
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 会期中,ブースでは関連企業やゲストを迎え,トークセッションやライブ上映,ワールドツアーなどが行われる。

 さらにブースには,来場者に向けたプロフィールエフェクトのプレゼントも用意されている。受け取り時に招待用URLを発行できるので,これを活用すればフレンドにも渡せるはずだ。

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端のほうにあるブースだけに,足を運んでくる人の多くはVRChatterの様子。……「VRChatに住んでいる」みたいな選択肢が欲しいのは筆者だけだろうか
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一般公開日初日の朝時点のシール。ブースにVRChatter来すぎでしょ
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 ビジネスデイのトークセッションでは,ピクシブも登壇していた。同社は,我々日本のVRChatterがお世話になりすぎているBOOTHを展開する会社であり,先日VRChatとの資本業務提携を発表したことでも話題になった。


 今回4Gamerでは,VRChatのHead of Japan Growthを務める北庄司英雄氏と,ピクシブの3D領域事業責任者である古賀和樹氏にインタビューする機会を得た。今回の東京ゲームショウ出展を含め,最近は日本向けの動きが活発に見えるVRChatは,どういった方針を掲げているのだろうか。

VRChatの北庄司英雄氏(左)と,ピクシブの古賀和樹氏(右)
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4Gamer:
 今回,VRChatが東京ゲームショウに出展するのは初となりますが,昨年頃から日本での公式の動きが活発になったように見えます。初の公式オフラインイベントとして行われた「VRChat Japan Business Experience 2025」もそうですし,ショップ機能が実装されてからの日本モチーフの多さや頻繁なコラボなどもそうです。
 これらはどういった理由で行われているのか,VRChatはどんな方針でいるのかを教えてください。

北庄司氏:
 会社目線で見たとき,日本のマーケットは非常に大きいものです。VRChatにおけるプレイヤー数としては,アメリカに次いで2位になります。同時に,圧倒的にクリエイターの多い地域でもあります。

4Gamer:
 VRChatのクリエイター数は,ほかのすべての国を足した数よりも日本が多いという話をされていましたね。

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 2025年12月17日,「VRChat」のオフラインイベント「VRChat Japan Business Experience 2025」が,ベルサール秋葉原で行われた。運営元であるVRChat Inc.が,公式オフラインイベントを日本で主催するのは,今回が初めてのこと。ビジネス向けだが,公式による基調講演が行われるなど,なかなかない機会だったので,その模様をお伝えしよう。

[2025/12/19 07:00]

北庄司氏:
 そうした状況で,VRChat運営が日本に目を向けるのは当然のことです。
 それとは別に,いろいろなタイミングが合って,2025年7月にVRChatに私が加わりました。

 昨年の私の仕事として大きかったのが,「VRChat Japan Business Experience 2025」です。これは,日本の皆さんの熱量をアメリカのメンバーに実感してもらいたいという思いがあって企画しました。幸い,これがうまくいって,改めて日本市場をアピールできました。

 そして,日本のマーケットをもっと大きくするために,今年から日本に向けた体制が組まれ,その成果が皆さんの目に見えているという状態です。

4Gamer:
 あのイベントがオフラインで行われたことで,そんな効果があったんですね。

北庄司氏:
 本社はアメリカにありますが,メンバーは日本に対してリスペクトを持っていて,文化を理解しようとしてくれます。そうした流れで出てきたのが,桜をモチーフにしたアイテムや,七夕イベント,初音ミクやG-SHOCKとのコラボといった,最近の動きになります。

4Gamer:
 コラボアイテムは,よくこんなに日本向けのものが連発して出てくるなと思っていました。あれは,グローバルで売られているものなんですよね。

北庄司氏:
 もちろんです。アメリカでの決定を経て実施し,販売しています。

4Gamer:
 バーチャル広島駅もですか。

北庄司氏:
 はい。駅の改札口をモチーフにしたワープエフェクトがウケていたみたいですよ。日本に旅行したときに見たやつだ,みたいな。
 日本のコラボが多いのは,日本のIPの人気が高いというのと,日本人の私が入ったことで日本の会社との交渉がしやすくなったというのがあるかなと。

4Gamer:
 北庄司さんの名刺を見ると,役職としては「Head of Japan Growth」とあります。具体的には,どんなことをされているのでしょうか。

北庄司氏:
 名前のとおりなんですが,日本を成長させるためになんでもやります。

4Gamer:
 なんでも。

北庄司氏:
 社員は1人だけ。

4Gamer:
 1人。いや,え?

北庄司氏:
 契約社員の方はいますが,社員としてコミットしているのは私だけになります。売上なのか,ユーザー数なのか,いろいろな目標はありますが,それに対してのアクションの立案やアメリカとの調整を全部決めるのが私の仕事です。

4Gamer:
 日本におけるVRChat公式の窓口を,お1人で担われていると。では,今回の東京ゲームショウへの出展を決めたのも北庄司さんなんですか。

北庄司氏:
 そうですね。VRChatにおいて,すでに遊ばれている方に向けたイベントとしては「Vket」や「メタフェス」があります。そこに公式が出ても,ファンサービスはできますが,まだ遊んでいない人の目には留まりません。

 そこで,東京ゲームショウに出ようと考えました。VRChatの名前を聞いたことがあってもやったことはない人に「帰ったらダウンロードしてみよう」と思ってもらえたらいいなと。

4Gamer:
 なるほど。

 でも,今回の出展は既存プレイヤーに向けてのサービスもいいですよね。会場でプロフィールエフェクトを配っていたのはびっくりしました。かなり嬉しいです。

北庄司氏:
 そこは,今遊んでくださっている皆さんにもお礼すべきだと思い,用意しました。
 これからも,日本の皆さんに喜んでいただけるようなことを推進していければと思います。

4Gamer:
 最近,プレイヤーとして「おっ?」となった動きといえば,ピクシブさんの資本業務提携です。今回の出展では,登壇もされていますし。

 VRChatプレイヤーの多くは,BOOTHでそれはもうお金を使っているわけですが,それがVRChat公式の利益にならない状況を,ずっと「大丈夫なのか?」と思っていたというか……。自分たちのお金が,自分たちが楽しんでいる世界の維持に回るといいなという気持ちがあります。今回の提携でそれは可能になるのでしょうか。

古賀氏:
 現状,お話しできることはプレスリリースで発表している内容までになってしまうのですが,今までよりも良い循環を作っていけると思っています。
 お互い役割が違うというか,我々がツールや販売の場を作っていて,VRChatさんは体験の場を作ってくださっています。ですから,相互補完する形でやっていけるかなと。

BOOTHの3Dモデルカテゴリの取扱高は飛躍的に伸びており,2025年には104億円に。なお,勘違いされがちだが,これはあくまで取扱高であってBOOTHの利益ではない。その多くはクリエイターに入っている
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4Gamer:
 しかし役割という点では,現在公式で実装されているショップ機能と,外部の販売プラットフォームであるBOOTHは,競合する部分もあるのでは。

北庄司氏:
 そういう見方もあるかもしれません。
 しかし大前提として,VRChatはクリエイターのプライオリティが非常に高い場所です。クリエイターにどう活躍してもらうか,どう守るか,どう販売してもらうか。こうした考えを大切にしているからこそ,自由な世界を作っていける文化が生まれていると思います。

 クリエイターの活動の場を広げるにあたって,今やBOOTHは欠かせない存在ですから,手を取り合えるはずです。クリエイターからすれば,日本向けにはBOOTH,アメリカ向けには公式のショップといった使い分けもできますし。

4Gamer:
 やはりVRChat内のショップは,アメリカだと強いのですか。

北庄司氏:
 はい。そもそも,改変文化自体が,日本を中心にした特殊なものですから。ほかの地域では,アバターの改変はメジャーではありません。

4Gamer:
 それはまぁ,そうですよね。冷静に考えて,多くのプレイヤーが外部サイトのBOOTHでいろいろ買い込んで,それをゲーム開発ツールであるUnityで当たり前のようにいじっているのは,特殊すぎます。

北庄司氏:
 もちろん,我々としては公式ショップをもっと拡充していきたいと思っていますが,それはクリエイター支援のためというのが大前提です。そのために,共栄していければと思います。

古賀氏:
 「クリエイターのため」という目的が同じなら,手段はいろいろあります。同じ方向を向いた結果が,今回の提携ということです。VRChatはこれからもっと広がっていくと思いますし,それを一緒に育てていく仲間です。

4Gamer:
 BOOTHの方がこうしたイベントに出てくることが珍しいのでうかがいたいのですが,最近気になっているのが,VRChat関連の生成AI商品です。サムネイルは立派なのに,購入してみると生成AIによる粗雑な作りで使い物にならず,ダウンロード購入のため返金もできないといったケースを見るようになりました。

 現状,商品やショップの評判を見るような機能もありませんし,ユーザー自身が警戒して判断する以外に手がありません。安全に購入したいなぁ,という気持ちがあるのですが……。

古賀氏:
 起きている問題はしっかりと認識しており,現在対応策を検討中です。
 ただし,BOOTHとしては場当たり的な対応によって別の問題を引き起こすことのないよう,反射的なアクションは意識的に取らないようにしています。
 課題を丁寧に分解・整理し,段階的に着実な改善・解決を進めてまいります。

4Gamer:
 分かりました。気持ちよく買い物がしたいですから,対応が進むことを望みます。

 では,北庄司さんに今後の話を聞いてみたいのですが,昨年,公式で行ったビジネス向けイベントのようなものを,プレイヤー向けにはやらないのでしょうか。

北庄司氏:
 現在,コミュニティ軸とクリエイター軸で,月に1回公式主導のイベントを実施しています。みんなで会って,お互いの知見についてディスカッションしたり,公式に対してリクエストしたいことを聞いたりといったイベントです。
 毎月秋葉原でやっていますが,今後はバーチャルでの開催も検討しています。

4Gamer:
 となると,割と参加者の限られたイベントになりそうですね。公式で大規模参加イベントをオフラインでやるぞ,みたいな方向性ではないんですね。

北庄司氏:
 そうですね。プレイヤー向けの大規模イベントは,すでに公式以外で盛り上がっているものがありますから,我々としてはそこに乗っかる形がいいかなと思っています。公式が何かをやってしまうと,皆さんが自由に遊べる場を壊してしまいますから。

 これから公式としてやるべきことは,VRChatに人を増やして環境を整えることだと思います。そうすることで,クリエイターもチャンスが増えますし,魅力的なIPと協力できるかもしれません。

4Gamer:
 具体的には,どういった活動を考えていますか。

北庄司氏:
 ユーザーアンケートを取ったときに,「VRゴーグルがないと遊べないんでしょ」という反応がたくさんありました。もちろん,あったほうが没入感があって最高の体験ができますけど,デスクトップやスマホでも大丈夫というのは,遊んでいる皆さんならご存じのとおりです。
 ですから,「VRゴーグルがなくても遊べる」ということから認知してもらって,気軽にVRChatに入れるようにしていこうと思っています。

4Gamer:
 2026年に入ってからのプレイヤーの流入はいかがですか。体感ですと,「超かぐや姫!」の効果でかなり増えたような気がします。

北庄司氏:
 はい,実際に増えています。現在,VRChatを始めるきっかけで大きいのが,「超かぐや姫!」のようなIPや,ストリーマー,そして友達からの紹介です。だいたいこの3つに集約されています。
 とくに友達からの紹介は,プレイヤーが増えれば増えるほど,紹介される人も多くなりますから,毎年どんどん大きくなっていますね。

古賀氏:
 VRChatは「第三の場所(The Third Place)」という表現(※)を使っていますが,すごくいい言葉だと思うんです。実際にそこで人が日々を過ごして,つながっていく。このつながりはもっと大きくなっていくはずですから,我々としても一緒に成長していければと思います。

※家(第一の場所),職場(第二の場所)とは別の,居心地の良い場所のこと。

4Gamer:
 コアなVRChatterにとっては,本当に居場所と呼べる場所ですからね。もはや住んでいる。
 そして,BOOTHはなくてはならないインフラです。ぜひこれからも,住みよい場所をご提供ください。

北庄司氏:
 任せてください。


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