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中国の古い伝承では,人が死ぬと魂霊は肉体を離れ,地府へ向かう。そこでは判官が生前の行いに応じて魂霊を裁き,罰によって罪業を清めた魂霊は,やがて転生へと向かう。その際,孟婆湯を飲むことで,前世の記憶を忘れるとされる。
本作は,こうした輪廻転生のサイクルをモチーフにした経営シミュレーションだ。
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物語の背景には,「西遊記」で孫悟空が地府を大きく荒らした事件がある。大きな被害を受けた地府と人間界の均衡を保つため,プレイヤーは急遽用意された地府の一区画で,死者たちの審判と懲罰,そして転生までの流れを管理していく。
本稿では,デモ版を体験した感想と開発陣へのインタビューをもとに,本作の魅力を紹介していく。
チュートリアルで案内役を担うのは,中国の地府神話に登場する鬼卒“牛頭”だ。牛頭は,通常であればもう一人の鬼卒“馬面”と対になる存在だが,本作では地府に起きた大きな異変のあと,ひとりで事態の収拾にあたっている。
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牛頭の案内に従い,プレイヤーは魂霊たちが地府に到着し,審判と懲罰を受け,最後に転生台へ向かうまでの流れを学んでいく。
まずは柵で審判所の範囲を指定し,その中に机と座布団を配置して審判所を作る。地府の異変によって閻魔たちは職務に就けない状態になっているため,審判を行うには,判官のスキルを持つ役人である“霊差”を雇う必要がある。
ほかの施設も,基本的には審判所と同じように,柵で範囲を決め,必要な家具や設備を配置することで作成できる。
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審判を終えた魂霊は,生前の行いによって積み重ねた罪業を清めるため,懲罰を受けることになる。考え方としては,日本でいう「禊」に近いものと捉えると分かりやすい。
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デモ版では,死者を焼く銅柱や,凍らせる寒氷窟といった刑具を建設できる。懲罰によって彼らから銭を得ることもでき,それを使ってさらに施設を増やしていく流れだ。
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また,これらの施設には「威厳」と「陳設」という2種類のパラメーターが設定されている。威厳は魂霊の怨気の上昇を抑え,陳設は施設の稼働効率を高める。これらの数値は“冥火灯”や“石獅子像”のような装飾を置くことで向上し,施設の回転率を上げるとともに,懲罰施設から得られる銭も増やせる。
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罰を受け終えた魂霊の一部は,そのまま転生へ向かい,新たな人生を始める。そこで必要になるのが,前世の記憶を忘れさせる「孟婆湯」だ。
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ただし,孟婆湯は本人が作ったものではないため,効き目は完全ではない。強い執念を持つ魂霊の場合,孟婆湯だけでは解消できない。こうした魂霊の未練に関わる要素は,今回のデモ版では体験できなかった。
転生へ向かう魂霊のほかに,「陰寿」を持つ存在もいる。これは人間界での寿命である「陽寿」と対になる概念で,魂霊が地府で過ごす時間を表す。こうした魂霊は罰を受け終えたあと,「酆都城」(ほうとじょう)へ向かい,地府での生活を始める。
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審判や懲罰の流れが強制的なフローであるのに対し,酆都城での魂霊たちは,より自由に生活できる。食事や睡眠,娯楽などの欲求が発生し,魂霊によっては故郷を思う気持ちも生まれる。プレイヤーはさまざまな施設を建設し,そうした欲求を満たしていく。
もっとも,中国の地府という題材は,一般の読者にとってなじみ深いものではないだろう。単純に「閻魔大王が死者を裁き,十八層地獄へ送る場所」と捉えると,ギリシャ神話におけるハデスとタルタロスに置き換えたもののようにも見える。
しかし,実際には中国の地府神話には独自の世界観と死生観がある。この点について開発チームは,プレイヤーがゲームを進める中で,自然と文化的背景を理解できる形にしたいと説明している。
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たとえば,ゲーム内には図鑑のような機能が用意され,各種の物語や背景を確認できる。また,前述した魂霊の執念を解く要素では,生前に果たせなかった願いを解決していくことになる。
そうした小さな物語が特定の品物や文化的背景と結びつき,プレイヤーは遊びながら地府神話への理解を深めていく仕組みだ。
さらに,「真假美猴王」や「沈香救母」といった神話や伝承,白起や王翦※といった歴史上の人物も登場するという。
※白起と王翦は,いずれも中国の戦国時代に秦で活躍した名将で,秦による中国統一に大きく貢献した人物として知られている。
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同ジャンルの運営型シミュレーションと比べて印象的だったのは,本作の地形が「Two Point」シリーズのような四角形のグリッドを前提としておらず,円形の台地を中心に構成されていることだ。
開発者によれば,現在のデモ版では円形の台地が目立つが,将来的には地形の形状は円形に限られないという。プレイヤーは簡単な操作でさまざまな地形を作り,観賞性の高い世界を作り上げられるようになる。自由配置による造景を楽しみたいプレイヤーが,グリッドに縛られないようにしたいという考えがあるようだ。
一方で,操作のしやすさも考慮し,吸着やグリッド表示のようなサポート機能は追加する予定だという。
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本作でとくに目を引くのが,地府を平面に施設を並べる場所ではなく,高低差を持つ立体的な空間として扱っている点だ。プレイヤーは100×100×100mの空間内で,地形を自由にカスタマイズできる。浮島を追加したり,大きさや高さを調整したりしながら,自分だけの地府を作り上げていく。
さらに,崖や浮島,洞窟のような地形も作れるという。離れた浮島に鉄鎖付きの接続設備を配置すると,島同士が鉄鎖でつながり,魂霊が行き来できるようになる。
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プロデューサーによれば,地形のカスタマイズは単なる造景要素ではなく,物理法則や高低差を利用した運営にも関わってくる。たとえば,下に火鉢を置くことで,銅柱を赤く焼けた状態にできる。熱は上昇気流のように上へ伝わるため,上方に足場を作り,そこに高温を必要とする施設を配置すれば,その効果を活用できる。
地形の位置関係や施設の置き方を考えながら,運営効率を高めていくことも,本作の大きな遊びの一つになりそうだ。
また,デモ版ではまだ大きく扱われていなかったが,正式版では霊差の育成要素も強化されるという。たとえば,孟婆湯を作る霊差のスキルが低い場合,調理中にミスをしたり,はしごから落ちたりすることがある。
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こうした要素は,運営上の戦略性にも関わってくる。スキルの低い霊差は給与が安い一方で,作業効率や安定性に難がある。
また,霊差自身が昇進や昇給を望んだり,新しいスキルを学んだりする要素も用意される予定で,人材管理と育成は,本作の経営シミュレーションにおける重要な要素の一つになりそうだ。
開発陣によれば,本作の開発期間はまだ5か月ほどで,デモ版のプレイ中には進行上の問題に遭遇する場面もあった。ただ,本作のコンセプトや,地府神話という題材ならではの魅力は,しっかりと伝わってきた。
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運営型シミュレーションというジャンルは,すでにある程度の定式ができており,テーマによって独自性を出す作品も多い。そのなかで,本作が掲げる立体空間における自由なカスタマイズに,ゲームプレイ面でも造景面でも新鮮さを感じ取っている。いちプレイヤーとしても,この挑戦がどのように形になっていくのか楽しみだ。
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そのほか,地獄の役人と聞くと,厳格で恐ろしい存在を想像しがちだが,本作の地府は,恐怖一辺倒ではなく,コミカルさやブラックユーモアを交えて描かれている。
死後世界という重い題材を,笑える演出と経営シムの手触りに落とし込んでいる点は印象的だ。デモ版にはまだ粗い部分もあったが,地府を“輪廻を管理する役所”として再構成する発想には,十分に続きを見たくなる力があった。
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「Hundred Nights: DIFU」はPC向けに開発中。日本語に対応する予定だ。気になる人は,動画とあわせてそのプレイフィールを確認してほしい。


















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