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政府のコンテンツ産業支援の実態はどうなってるの? 経産省の担当者とゲーム開発・展開の現場が現状と展望を語ったステージイベントをレポート[TGS2026]
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印刷2026/09/21 19:16

イベント

政府のコンテンツ産業支援の実態はどうなってるの? 経産省の担当者とゲーム開発・展開の現場が現状と展望を語ったステージイベントをレポート[TGS2026]

 2026年9月18日,東京ゲームショウ2026の4Gamerブースで,ステージイベント「日本『エンタメ戦略』の舞台裏──なぜ今,国はゲーム・コンテンツ産業に賭けるのか──」が行われた。

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 このイベントでは,経済産業省の担当者から,日本のIP360度展開を軸とした支援策を筆頭に,エンタメ・IP戦略の全体像が説明された。そのうえで,それら支援策が実際に現場へ届いているのかが,ゲーム事業者の視点から検証された。登壇したのは,以下の3名である。

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Re entertainment 代表 中山淳雄氏(進行)
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経済産業省 商務・サービスグループ 文化創造産業課 課長補佐 和田憲明氏(パネリスト)
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アソビズム マーケティング部 PC&コンソール マネージャー 井上清勝氏(パネリスト)

 冒頭では,中山氏がゲーム業界を含む日本のエンタメ業界の現状を説明した。
 それによれば,日本のコンテンツ輸出額はこの15年間で1兆円から6兆円に成長しており,コンテンツは自動車に次ぐ規模の輸出品となっている。そのため政府は,コンテンツ輸出──すなわちエンタメ産業を伸ばしていく方針を採っている。

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 日本のコンテンツ輸出の主力を担っているのは,コンシューマゲームとアニメだ。
 このセッションでいうコンシューマゲームは,売り切りではなく,ダウンロード販売,DLC,オンラインマルチプレイ,そして継続的な運営型サービスなどの領域を指す。

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 海外のコンシューマゲーム市場は,2016年には1.3兆円規模だったが,2023年には3.5兆円規模となり,急成長を見せている。この傾向は,日本のコンテンツ輸出にも当然影響を与えている。

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 海外における広義のアニメ市場はこの15年間で2兆円を超える規模となり,ゲーム市場よりも成長の勢いがある。
 一方,日本のマンガ市場は,コロナ禍以前は緩やかに落ちていたが,コロナ禍を機に伸び始め,7000億円規模まで拡大した。紙の雑誌や単行本は減っているが,電子書籍のおかげで全体が上がっている状況だ。
 海外のマンガ市場は,アメリカとフランスを中心に伸びているとのこと。

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 アニメ市場は2020年代に入ってから,世界中で高い成長率を示している。中国とインドのアニメユーザーは3億人規模となっており,海外全体では10億人規模にもなる勢いだ。しかし彼らの多くはマンガやゲームにアクセスしていない。中山氏は,アニメからいかにしてマンガやゲーム,グッズにアクセスさせるかが,日本のIPの最前線を広げていく鍵となると語った。

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 海賊版から正規流通品への転換も,日本のIPを海外でさらに広げていくうえでの大きな課題となる。日本のIPの実需は,海賊版を含めて20兆円規模に到達しているのだが,そのうち違法流通品がかなりの割合を占めているのが現状だ。

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 改めて日本のゲーム市場を見ると,2025年にはPCゲームの市場規模がコンシューマゲームを上回った。中山氏は,この理由について2020年代に入ってからSteamを中心にPC向けインディーゲームが活性化したことを挙げるとともに,ユーザーの9割以上が海外ユーザーであることを示した。

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日本のエンタメ・IP戦略の現在地〜2033年海外売上20兆円,その全体像〜


 このパートでは,和田氏が現在日本で展開しているエンタメ・IP戦略を紹介した。まず経済産業省が発表した「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」では,2033年までに日本発コンテンツの海外売上高を20兆円に引き上げる目標が掲げられている。そのなかで掲げられている「IP360度展開」は,1つのIPをマンガやアニメ,ゲーム,音楽,実写映像といったさまざまな形態のビジネスに展開していく施策である。

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 その施策を遂行するために政府が支援をするうえで則っているのが,以下の「エンタメ政策5原則」だ。

1. 大規模・長期的・戦略的に支援する。
 従来の政策はころころ変わりがちで,民間が準備を整えてようやく乗り出したら補助金制度がなくなっていた……というケースも珍しくない。そうしたことが起こらないよう,少なくとも2033年までは方針を変えることなくしっかりとやり切るとのこと。

2. 日本で創り,世界に届ける取り組みを支援する。
 国費を使う以上,支援の対象となるのは,しっかりと世界進出にチャレンジする取り組みがメインとなる。

3. 作品の中身に口を出さない。
 和田氏は,「役人が口を出してヒットが生まれるのであれば,我々は今の仕事を辞めてコンサルタントになっている」とコメント。むしろクリエイターの表現の自由を保護していくと表明した。

4. 真っすぐ届ける。
 補助金など政府の支援制度の多くは,条件や申請の方法が分かりにくい。必要な手続きは当然あるものの,誰でも使える分かりやすい仕組みにしていくという。

5. 挑戦者を優先する。
 たとえば予算1億円の事業に対して国から半分の補助を受け,自己負担5000万円で行うという取り組みよりも,5000万円の補助を受ける代わりに1.5億円,2億円の投資をするような取り組みを優先して支援していくとのこと。

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 「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」の概要も紹介された。2033年の海外売上高20兆円の内訳のうち,たとえばゲームは2024年の3.4兆円を12兆円に引き上げるという。上昇幅が一番大きいのはゲームで,この構図は今後も変わらない見込みだそうだ。

 キーワードとなるのは「『市場の失敗』の解決に向けた3本柱」「『IP価値最大化と対価還元』を促す5大構造改革」である。
 前者の3本柱は,「創る:コンテンツ製作」「流す:コンテンツ流通」「叩く:海賊版対策」となっている。後者の5大構造改革は,コンテンツを海外で売り,その売上を国内に持ち帰ってきたときに一部の関係者だけが儲かるのではなく,いかに関係者全員に行き渡るようにするかについて,クリエイターの側から議論する形となっている。

 国内投資に関しては,「エンタメ政策5原則」の5で示されたように,国が補助金を出して民間の負担を下げるのではなく,官民が一緒になってより大きな投資をしていくイメージとの説明がなされた。

 コンテンツを売っていく対象のうち,「巨大市場重点国」はアメリカとイギリス,「成長市場重点国」はインドとインドネシアとなる。

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 「コンテンツ産業成長投資支援事業」の予算は,1会計年度ごとに使い切る財政単年度主義ではなく,たとえば2026年に日本語版のゲームが完成して,2027年に海外版を販売するといった複数年にまたがる計画にも対応する。

 また,この事業の令和7年度(2025年度)補正予算は約350億円だが,翌年度は1600億円超の予算を組んでしっかり支援していきたいと和田氏は意気込みを見せていた。

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国のエンタメ支援策は,現場に届いているのか〜どんなメッセージが伝わっているのか,その課題は〜


 そうした支援は,実際のところゲーム業界でどのように活用されているのか。井上氏は最初に「ローカライズ」を挙げ,日本語のテキストが多いタイトルでは,ローカライズ費用が数千万円規模になり,ナラティブ性の強いタイトルではさらに高額になると説明を加えた。 

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 また,ローカライズしただけでゲームが売れるわけではないので,プロモーションもしなければならない。その1つが海外のゲームイベントへの出展なのだが,これは並行して開催されるオンラインイベントから,ユーザーにSteamのウィッシュリストへ自分たちのゲームを登録してもらうことが大きな狙いとなる。

 しかし,ここ数年の円安により,出展費や渡航費などが以前よりもかなり高くつくのが現状だ。加えて昨今は,現地のインフルエンサーの影響も無視できなくなっている。井上氏は「ローカライズ,イベント出展,インフルエンサーの3点セット」と表現し,支援がそこに使われることを示した。

 政府の支援は金銭的なものだけではなく,文化庁は「人材を育てる」ことにフォーカスした支援を行っている。
 また和田氏は,たとえば日本のクリエイターが海外に行き,その国や地域の有名なクリエイターや業界関係者と直接コンタクトを取るのはなかなか難しいが,あいだにJETRO(日本貿易振興機構)の紹介が入るとスムーズに話が進むケースが多いことを紹介。文化庁はそうしたネットワーク作りにも取り組んでいるとのことだ。
 一方,中山氏と井上氏は,海外マーケットをディレクションできるような日本人マーケターが少ないことを指摘し,そうした人材の育成の必要性を語った。

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日本が真のエンタメ立国になるために,次に何が必要か〜国と民間,それぞれの宿題と未来の在り方〜


 日本が真のエンタメ立国になるために必要なものを問われた井上氏は,アニメの事例を挙げ,ドイツやアメリカのゲームイベントでは誰もが日本のアニメを大好きだと言っていることを紹介した。
 その一方で,日本のアニメであってもまだまだ海外に届いていないものもある。日本のゲームを海外に広める活動のなかで,そうしたアニメとのコラボ施策などを介せば,ロングテールで日本のコンテンツを届けられるのではないか──そんな実感があると話す。

 とくに昨今は集英社や講談社,東映,サンリオといった日本の人気IPを抱える企業がインディーゲームに参入しているので,さまざまなコンテンツのマーケターが交流を深め,ノウハウを高めていくのが重要であると語っていた。

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 和田氏は,世界に進出するにあたって個別に取り組んでいてはなかなか難しいため,企業間で協調できるところと競争すべきところをしっかり分けて,日本全体でチャレンジすることが重要であると語る。

 また世界的に見ると,自国のエンタメやIPに対する支援に関してこれまで日本が遅れを取っていたのは確かだが,だからといって政府がどこまで出ていくべきなのかという課題もあるという。
 そこに関しては,まず「エンタメ政策5原則」の3にあるように「中身に口を出さない」ことが最重要であり,あとは人材と制作のどちらにより多く投資するべきかの検討や,あるいは海賊版対策といった部分に注力すればいいのではないかとまとめていた。

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