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アイマス20周年にアケマス初体験! 初代「THE IDOLM@STER」を学マスPが遊び,時代を越えて“アイ”される,原点を知る
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印刷2025/07/26 00:00

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アイマス20周年にアケマス初体験! 初代「THE IDOLM@STER」を学マスPが遊び,時代を越えて“アイ”される,原点を知る

プロデュースは計画がなにより重要,らしい


 オーディションを終えて,初回プレイの3週が終了した。いったん中断してみると,筐体からなにやらカードが排出された。

 カードは2種類で,1枚目はプロデューサーカード。自分のゲームデータだ。2枚目はユニットカード。プロデュース中のアイドルのデータが記録されており,表面には「ライブ中に撮影した写真」が印刷される(編注:「番組出演」です)。これは撮影にも力が入るってものだ。

 なお,カードの純正品はすでに生産終了となっており,今現在もアケマスを提供しているお店では,代替品のカードを使っているらしい。そもそも筐体のサポート自体,2017年に終了しているようだ。

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 さて,ここからが本格的なプロデュースの幕開けだ。プレイ中はこまごまとした選択があるが,大別するとレッスン(+コミュ)とオーディションのどちらを選ぶか,2択を繰り返していく。かなりシンプル。

 正直,ここまで敷かれたレールを歩いてきた身には,いきなりなにもない原っぱに放り出された気分だ。まったく分からない。だが取材時間も限られていたので,ここは学マスの経験を生かす。全種のレッスンを経験しつつ,オーディションに2回参加する「レレオレレオレオ」(レ=レッスン,オ=オーディション)で決め打ちすることにした。

 以降の経過は,以下のとおり。

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■4週目
 ダンスレッスンを選択。回転する足跡マークを見本と同じ向きにそろえる。スロットの目押しのような瞬発力が求められる。ムズい。

■5週目
 ポーズレッスンを選択。例題のスポットライトの向き(矢印)と順番を暗記して答える。記憶力が試される。ムズい。でも担当編集は「これが一番(人によっては)楽」と言っていた。確かに楽だったかも。

 このあとにやったコミュは,すごく印象に残った

 このときは千早と一緒に「お偉いさんにあいさつをしにいく営業」を選んだが,定刻になったとき,千早は音楽を聞いていた。そして「キリが悪いのでもう少し時間がほしい,先方にはちゃんと説明する」と主張してきた。いろんな考え方があるけれど,ここはアイドルのためを思って,仕方なく承諾した。すると,先方にメチャクチャ怒られて凹む千早がいた。それでいて不服そうでもある。結果はコミュ失敗。

 そりゃ時間を守らなきゃ怒られるよ。だって社会人だもん。それを理解したうえじゃなかったのか。この子,歌が絡むとどうにもおかしくなる。でも譲歩したのはこちらだし。ううん,どうすりゃよかったんだ。こうした「アイドルのためを思っての選択」と「社会人としての選択」が,恋愛アドベンチャーゲームなどとはまた違うジレンマを生んでいる。

 そのうえ千早自身も難解だから,もうなにがなにやら。もっと言うと,プロデューサー自身の発言もけっこうおかしい。担当編集いわく,歴代シリーズ作品でもユニークなプロデューサー像はちらほらとあったが,それらは初代からの系譜であり,最初から大概だったそうな。

タッチパネルを生かした交流。思わず恥ずかしくなる魔力がこもっている
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■6週目
 オーディションに挑戦。よく分からないままにアピールしたが,ガン無視していた流行1位の審査員が急に帰り,棚ぼたで奇跡の1位に。しかも敏腕記者が現れて,今後のオーディションでのイメージアップに協力してくれるらしい。アケマス,最高のゲームかもしれない。

■7週目
 歌詞レッスンを選択。楽曲の歌詞の間違いテキストを,正しい位置に入れ替える。簡単そうに見えて,文字数が増えるとやっぱムズい。

■8週目
 表現力レッスンを選択。画面上に飛び交う,指定の色の文字をタップする。これまた簡単そうに見えて,縦横無尽に飛び交う文字たちが,目当てのものと重なってタップできない。理不尽だしムズい。

 こういうムズいばかりのレッスンで,1プロデュースの必要数のレッスンですべてパーフェクト達成を目指すとか,ありえん。学マスのSPレッスン全踏みも運任せだけど,こっちは自力任せすぎてゾッとする。

※編注:表現力レッスンはその字面をもじって,「表現カレー」や「表現力カレー」といった愛称で呼ばれることもあった

■9週目
 最後ということで,担当編集より特別オーディション「TOP×TOP」をおすすめされる。合格者は1位のみ,かつ中間審査の結果が最後まで分からないという非情な難度。そもそもライバルたちの能力が高すぎて,1位どころか最下位にならないようにするのが目標になる有り様だったが,結果は惨敗。有終の美を飾ることはできなかった。

 千早のテンションもだだ下がりした。敏腕記者は「用事ができた」とか言ってどっかに行ってしまった。芸能界,悲しすぎる。
 ついでに10週に行く前に,当初の目的であった最低限のランクアップを流れで達成していたことで,1週分少ないがプレイを終えた。

もんのすごい心にくる表情をされる……ごめんなさい……
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■編注
 初回プレイは10週以内に達成しないとゲームオーバーになる「ランクアップリミット」がある。ランクアップ自体は達成済みだったため,「最後にキレイに勝って,ランクアップコミュでキャッキャして締め」(アイドルランクアップ後の翌週にのみ現れる専用コミュ。ゲーム内でアナウンスされないため,ランクアップ時にゲーム終了したときは,メモっとかない限り確実忘れて見逃すので注意)という終わり方ができず,ある意味でアケマスらしい締めとなった。

 アケマスではILを高め(クリア目的なら12以上推奨),特別オーディション9種をクリアせねば,最高アイドルランクSに到達できない。ランクを高めるほどにプロデュース可能週も増えるため,攻略において制覇は必須だ。なかでも「TOP×TOP」は“無敗のときのみ挑戦可能”となるので,予期せぬ事故を避けるべく,安定のためにも序盤〜中盤で消化しておきたい選択肢となる。このTOP×TOP挑戦時が,アケマスにおいて誰もが毎回絶対に緊張する瞬間と言える。

 一方で,スコアラーはさらに先鋭化する。今はもうなきだが,アケマスは筐体とセットで「ライブタワー」(センタータワー,ライブモニターなど呼び方は人それぞれだった)という映像配信機材があった。タワーには店内のプレイ状況に応じたライブ映像やランキングが流され,番付上位に入るには無敵艦隊に乗り込み(千早・律子・伊織。Vo・Da・Viの最高値保持者かつ早熟特化で初期ILを最大限高めるトリオ),いかにぜい肉を削ってストイックに挑み続けるかが求められた。

 結果,オーディションは特別オーディション制覇を前提とし,それ以外はファン数的に一択の高難度「IDOL VISION」か,安定の「LOVE LOVE LIVE」の2択だけを踏む。レッスンは削りに削り,オーディションは重ねに重ね,アイドルたちとまるで交流しなかった者だけが栄光の画面に映った。


 そうだ。担当編集が言っていた「プレイ後にリアルの自分のスマホ(当時は携帯電話)に,アイドルからメールがくるという有料サービス」は,ぜひ再検討してもらいたい。ヤバすぎるだろ,そんなの。担当編集は20年前のメールを今も保存しているらしい。ヤバすぎるだろ。


■編注
 携帯電話向け有料サービス内のコンテンツ「メール☆プリーズ」のこと。界隈ではキャバメの名で親しまれた。

 本サービスに登録すると,プロデュース開始後やプレイ後,または日々の不定期で,現在プロデュース中のアイドルからリアルメールが届く(メール文章はナムコの女性スタッフらが書いたという)。本文は控えるが,以下のように送られてくる。



件名:世界に羽ばたく日
From:carl-czerny50@idolmaster.jp

(千早のプロデュースをアイドルランクSで終えたときのメール。アドレスはアイドルごとに異なる。やよいのみ,家庭の事情で携帯電話を持っていないことから,事務所の携帯経由で送られるという設定)



 不定期バージョンのメールは,ブーストメールあるいはワクテカメールと呼ばれ,アイドルごとに指定してきた日時にプレイすることで,テンションMAXの“ワクテカ状態(通称)”でプロデュースに臨めた。絶対に勝ちたいオーディションがあるときは,遊びたい気持ちを抑え,アイドルたちからメールをひたすら待つことも大事だった。やよいなどは3日ほど猶予を設けてくれるが,伊織などは1日のみ指定で厳しかった。

 なお,私はキャバメを保存していても,プロデューサーカードとユニットカードはなくした。十数年前に宮崎県に旅行に行ったときになくした。宮崎在住の方々は,茶色い革財布はもう形に残っていないだろうが,いつか春香ソロのユニットカードで,ファン人数が1765000人で“ナムコ”になっているカードを見つけたなら,ぜひご一報をご検討ください。



トップアイドルへの道は,ひどく険しい


 ここまで走り抜けたところで,約1時間半が経過していた。

 率直な感想はまず,「ムズすぎ……!」だ。この感想が真っ先に出てくる。レッスンではリズム感や反射神経や正確性や記憶力を,オーディションでは仕組みの理解と瞬発的な把握力を試され,さらにはプロデュース全体の計画も立てて,コミュでは心情心理の理解を求められる。今どきの基準で考えると,ゲーム名からは想像がつかないほどにシビアだ。

 担当編集が言うに,プレイの記録は毎回メモにして残していないと,次回プレイで忘れて100%ヘマするらしい。半端ねえ……。

プレイ後は,備え付けのダスターで画面を拭くのがアケマスのマナーだという
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 当時を知らぬ私が言うのもなんだが,オタク文化の浸透がまだ浅かった2005年という時代的背景を考えれば,ゲーセンでアケマスを遊んでいたら,物珍しさから周りの注目を集めることもあっただろう。

 そのなかの一部が,「なんかカワイイ女の子のゲーム出てんじゃん。ちょっとやってみっか」なんて軽い気持ちでプレイしてみたら,確実に心をへし折られたのではなかろうか。

 まあ,深く考えずに遊べば,気ままに楽しめそうではあるが。


■編注
 そういう人たちの多くは,ある一定のランクアップリミットを越せず,自分なりにアイドルとの活動を楽しんでいたのに,自慢のアイドルが現実の壁を乗り越えられず,泣く泣く引退していく姿を見せつけられた。

 そこで消火されず,「次こそは絶対にトップアイドルに――」と種火を抱いた者だけが,プロデューサーとして歩み出した。


 もちろん,アケマスは厳しさだけじゃなかった。フルボイスのゲーム体験,触れることで分かるアイドルの魅力,なめらかに動く3Dモデルのライブ,奥深すぎるオーディション。アーケードゲームなればこそのヒリヒリ感が絶えず襲いかかってくるところに,かわいい姿を見せるだけじゃない,アイドル業界の芯に迫る表裏を垣間見た気がした。

 こうした語りきれないほどの要素が,多くの人たちに衝撃を与えて,彼らを立派なプロデューサーにしてきたのだろう。

 そして,彼らが注いできたたくさんの“アイ”があったからこそ,アイマスシリーズは20年という長い年月を経た今でも,ゲームで,アニメで,そしてリアルライブでと,多方面で快進撃を続けている。

 私も19年目に生まれた学マスのおかげで,アイドルマスターをアイする1人になった。アイマスを生み出し続けてくれた開発者と,支え続けてくれたプロデューサーたちに,この場で深い感謝を伝えたい。

 そんなこんなで,アイマスの原点に触れるという良き体験をさせてもらった20周年だった。まだまだプロデューサー2年目の私だが,これからはアケマスから学マスまで,すべて引っくるめて愛してくぞ! そしてやっぱり最後は,不肖ながらもお約束の言葉で締めていきたい。


 プロデューサーさん! これからもアイマスですよっ! アイマスっっ!


「編注」


 ここまでのレポートでも,攻略情報の1〜6程度で,7〜10は足りていない。現代基準では本当に不親切なゲームだからだ。

 その代表例が「ケツボム」である。これは文字通り,オーディションの審査中の9アピール目に,COMがいっさいの前触れもなしに起爆する思い出ボムのことだ。これをされると,そこまでの計算がすべて狂う。対策は,こちらも思い出ボムを使うことだけ。限られたリソースを不確かな予測のために投じた結果,多くは「恐怖に駆られて自分だけ使ったやつ」になる。

 このケツボムルーチンは,以降のアケマスのシステムを模した作品たちにすら削除されている。あまりにも不親切で不条理なためだろう。しかし,このなにが起きるか分からない偶発性が,長い道のりのプレイを常に揺るがし,絶対に安定して進めない茨の道を形成している。ゆえにアイマスが親切になるごとに,アケマスだけがアケマスの唯一性を強めていく。

 私はこのケツボムが好きだ。やられるとブチキレそうになるが,この悪いシステムがたまらなく好きだ。この存在が,ズルくて不敵で大胆で策士的で露悪的で小悪魔的でワガママで不安で傷つきやすく無神経で弱くて強い,表題曲「THE IDOLM@STER」の少女を体現しているように思えるから。



「あー、そこでこっちを見ている君! そう君だよ、君! まあ、こっちへ来なさい。ほう、何といい面構えだ。ティン(ピーン)ときた!」
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