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高校生が1人で作ってきた「Dawnkeep」は,シティービルダーとRTSを融合した野心作[BIC2026]
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印刷2026/08/17 14:54

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高校生が1人で作ってきた「Dawnkeep」は,シティービルダーとRTSを融合した野心作[BIC2026]

 韓国・釜山で行われたBIC2026は,今回で12回め。57の国と地域から856作品の応募があり,前年比で44%増だという。

 その会場に,Zangの名義で「Dawnkeep」を出展していたのが,現役高校生であるチャン・ウォンヒョク(Jang Wonhyeok)氏だ。

チャン・ウォンヒョク氏
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 ジャンルはリアルタイムストラテジーに分類されており,Steamのストアページには「ダークファンタジー領地経営ディフェンス」と掲げられている。操作系はこれまでのRTSをおおむね踏襲しているとのことだ。

 特徴は,昼と夜でプレイの中身が入れ替わることだ。昼は資源を集めて建物を建てていく領地経営のパートで,参照元としてチャン氏が挙げたのがシティビルダー系の作品だった。対して夜はRTSパートになり,「StarCraft」や「Age of Empires」のように兵種ごとに機能の差があって,ユニット同士の相性と編成を踏まえた配置を考えることになる。

 2つのジャンルを混ぜているので,会場でも結局「これは何のゲームなのか」とよく聞かれるだろうと本人も予想していたという。そのうえで,「新しい試みを詰め込んだ挑戦的なジャンルとして受け取ってほしい」と話していた。

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 一般的なRTSでは,ユニットは資源を使って生産するものだ。チャン氏はそこが個人的にずっと物足りなかったという。

 Dawnkeepの住民は購入できない。村の幸福度が高い状態を保っていると移住者が集まってくるし,住民同士が子を産んで増えることもある。人口は資源の使い道ではなく,村の運営の結果として増えるわけだ。

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 住民には名前と特性がある。特性は48種類を計画していて,そのうち6つを除いた42種類が実装済みだという。

 特性は飾りではない。プレイヤーは特性を見て,その住民に向いた職業や行動を前もって計画できる。誰を何の職業に就けるかを決める材料になっている。

 特性は良いものばかりが並んでいるわけではなく,手先が不器用といった短所も含まれる。特性は祝福にも呪いにもなり,不要な特性は教会で浄化できるとのことだ。

 さらに住民は1人ずつ疲労度と幸福度と士気を持ち,それが労働と戦闘の両方に影響するという。

 個体に名前と特性を持たせ,資源ではなく村の運営で人口を増やす。こうした設計は,RTSよりもコロニーシム系のゲームが積み上げてきたものに近い。そちら側の作法を,兵種と編成で戦うRTSの土俵に持ち込もうとしているわけだ。

 昼の行動は,すべて夜に来る敵への備えになっている。防御施設として監視塔や城門,木柵があり,資源をためる建物や人口を増やす建物も建てられる。扱う資源は木材と石材と金,それに3種類の食料だ。

 チャン氏が挙げた方向性は3つ。防御施設を建てて最小限の兵で守り切るか,建物と人口をひたすら増やして数で攻め込む大規模な戦闘に持ち込むか,あるいは訓練所で少数精鋭を育てて迎え撃つか。どの道を選ぶかを昼のうちに決めておく,という設計である。

 昼と夜の長さは,現行バージョンで昼が約600秒夜が約100秒とのことだった。夜は能動的に戦い続けるというより,一度に押し寄せてきた敵をどう処理したかが見える時間として置かれている。

 見せ方もそこに合わせてある。昼はほかのRTSと違ってマップ全体をそのまま見渡せるのに対し,夜になると周囲がフェードアウトして村の近くしか見えなくなる。夜のほうが危険だということを,情報量の差でプレイヤーに感じさせようという狙いだという。

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 兵種として槍兵,騎士,弓兵,司祭が挙がっている。夜に村へ押し寄せてくるのは,赤い三角帽をかぶったノームだ。

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 物語は,滅んだ王国の生き残りがこの島に集まり,再建を進めるところから始まる。王国が崩れた理由は人間同士の内戦だった,とチャン氏はいう。

 同じ人間がまた集まれば,同じ問題がもう一度起きる。その前提が最初から置かれている。

 ノームは,その内戦から逃れて先に島へ渡っていた側だ。昼は穴に籠もって自分たちだけで暮らしているが,地上に人間が住み着いて騒がしくなったため,夜になると出てきて住民を襲う。

 つまりノームの側から見れば,あとから来た人間のほうが侵略者ということになる。戦争を英雄や叙事詩の側からではなく,普通の人々の側から描きたい,というのがチャン氏の説明だった。

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 もっとも,RTSでは100体から200体のユニットを動かすことになる。全員の特性を1つずつ確認しながら遊ぶのは現実的ではない。

 操りきれない人数をどうするか。そこで今後追加を予定しているのが,階級である。領主として最初の5人〜10人くらいまでは直接管理できるが,人口が増えれば食料を作る者や資源を採る者以外の役割,つまり文書を扱う者や管理する者が出てくる。
 人間の社会がどの国でもどの時代でもそうなってきたように,行政官や貴族といった層を作るという。

 階級を作れば,階級間の対立や葛藤も出てくる。そこも作り込むつもりだそうで,プレイヤーは一方に肩入れしてその側の完全な勝利で終わらせるのか,それとも両者の折り合いをつけて理想的な未来を描くのかを問われることになる。

 現在の企画では,ゲームは100日目まで続く。その過程での選択によって,プレイヤーの下にいる住民たちの運命が変わる。特定の階層を丸ごと排除する選択をすれば,そこにいた住民は死ぬ。
 逆に,ある選択のせいで別の住民が得をすることもある。結果は社会構造の変化として見えるようにしたいという。

 エンディングは複数用意される。チャン氏が本命と考えているのは,統合に向かう肯定的なものだ。それ以外のエンディングは後味の悪さを残す形にして,これが正しい選択だったのかをプレイヤーに問い返したい,とのことだった。

 なぜここまで社会の話に踏み込むのか。当初の企画は,単純なRTSを作ってみようという程度のものだったという。ところが開発を勉強していく過程で,うまくいったゲームには開発者が社会に投げかけたいメッセージが入っていることに気づいた。

 チャン氏が今の世界について感じている最大の問題は,人と会っても対話で解決するより,自分と似た人間同士で集団を作って相手の集団と争うほうへ流れていくことだ。それがどの国でも見られる。これが我々にできる最善なのか,と問いたくてこのゲームを作ったそうだ。

 全員が違う特性を持っているが,違う者同士がよりよく生きるための手段が対話なのだ,というメッセージを間接的にでも伝えたいと語った。

 戦闘とゲームの基本システムはできあがっていて,残るのは階級や社会と経済の体制だ。実装そのものにはそれほど時間はかからないが,コンテンツを追加していくほうに時間がかかるという見立てだった。

 会場で人に触ってもらって実感したこともあったそうだ。開発者が当然分かるはずだと思っている部分が,ユーザーには不親切に映る。テストとユーザーの声を重ねて,無理のない作りにしていきたいという。

 伝えたいメッセージがもっと対話をしようという話なのに,作り手本人が誰とも話さず勝手に作っていたのでは締まらない,というのがチャン氏の理屈だ。

 子どもの頃に最も影響を受けたゲームとしては,「ゼルダの伝説」と「マリオ」シリーズを挙げ,そのジャンルが好きだと言っていた。ほかにも「ダークソウル」に触れ,日本にはすばらしいゲームが多いと考えているとのことだった。

 そのうえで,日本ではRTSというジャンル自体がなじみの薄いものなので厳しいかもしれないが,それでも日本市場には挑戦してみたいと話していた。

 本作のプラットフォームはPCで,Steamでの配信になる。発売日と価格はいずれも未発表だ。

 Steamのストアページに現在表示されている対応言語は韓国語だけで,翻訳の目標としてチャン氏が挙げたのは韓国語,英語,ドイツ語,ロシア語,中国語,日本語である。日本語版はこれからの話ということだ。

 パブリッシャからのオファーは最近になって複数回受けており,アジア地域のパブリッシングを支援するという条件で,話を進めている相手がいるそうだ。

 ここまでの6か月間は1人での開発だった。高校生が1人で,アートとサウンドの大部分まで手がけてきたことになる。

 周囲の知人に絵を見てもらったり,色味の相談をしたりはしていて,そのなかで資源関連の建物の一部を手伝ってくれた友人が最近合流し,現在は2人体制になった。今後さらに人が増える可能性もあるという。

 完成の目標時期は,2027年第4四半期から2028年第2四半期のあいだで,大きな支障がなければその頃に出せそうだと見ている。

 画面を眺めているぶんには,青い屋根の家と羊が並ぶ穏やかなドット絵だ。そこに置かれている主題との落差が,このブースでもっとも興味深かったところだった。しかもその主題は,説教として台詞に書かれているのではない。特性を持った住民が増える,階級ができる,どちらかを切り捨てられる,という遊びの側の仕組みとして実装されようとしている。

 なお,計画として語られた仕様は,今後のフィードバックなどによって変更する可能性もあるとのことだ。

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