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Black Tower Studiosは,アクワイアの「侍」シリーズなどの制作に携わったクリエイターのRichie Casper(リッチー・キャスパー)氏と鎌田浩平氏が,「海外のインディーゲームのノリで制作できる,海外志向のゲーム会社を日本につくろう!」と設立したスタジオだ。
その志向は本作にも色濃く表れており,ジャンル名として掲げられているのは「ブラックコメディ診断アドベンチャー」。その名に違わぬ,かなりぶっ飛んだ作品となっている。
BitSummitなどのイベントにも出展されてきた本作だが,今回4Gamerは特別に開発途中のバージョンでプレイする機会を得た。本稿では,そのインプレッションとともに,ディレクター・根岸いさお氏のインタビューをお届けしよう。
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問診と観察で病名を推理。偽医者としてクセ者患者をさばく
アメリカで気楽な一人暮らしを送っていた大学生の主人公は,ある日,マフィアに拉致され,「1日で医者になって,母親の借金を肩代わりしろ」と無茶な要求を突きつけられる。
頭が良くなるクスリを打たれ,猛勉強の末になんとか医療知識を身につけた主人公は,マフィアが経営する病院で偽医者として働かされることになるのだ。
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主人公の仕事は,患者を問診して病名を割り出し,治療を施すことである。字面だけなら感動的な医療ドラマを想像するかもしれないが,なんといっても本作はブラックコメディ診断アドベンチャーだ。
自分をプレスリーの生まれ変わりだと信じる男や,昔話「桃太郎」を再現するような暮らしを送るうち,お供の動物から病気をうつされた男,股間にフォークボールが直撃したキャッチャー,さらには病院へ賄賂を要求する役人まで,クセ者ぞろいのキャラクターが次々と登場する。
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患者たちがユーモラスなだけでなく,その証言から病名を特定していく,ちょっとした推理要素が本作の面白さとなっている。
患者が症状を訴えると,3〜4つの病名候補が自動的に提示される。それぞれの候補には症状のチェックリストが用意されており,カルテに記された「名前」「年齢」「性別」「症状」「アレルギー」などの項目について問診し,得られた情報をプレイヤー自身がチェックしていく。
最終的に,条件が最も多く当てはまるものが,患者の病名であるというわけだ。
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こう書くと,会話を総当たりして正解のフラグを探すアドベンチャーゲームを想像するかもしれない。しかし,患者の証言をすべて聞いても,チェックリストの全項目が埋まるとは限らない。どこかでプレイヤー自身が情報をつなぎ合わせ,判断しなければならないのだ。
ここでポイントとなるのが,ゲーム自体はコメディでありながら,登場する病気は実在するものだという点である。特別な医療知識がなくても,患者の話やカルテ,見た目に表れた手がかりを結びつければ,答えにたどり着けるようになっている。
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例えば,ある患者が「熱がある」と訴えると,病名候補として「風邪」「インフルエンザ」「コロナウイルス感染症」「亜鉛欠乏症」が浮かび上がる。
発熱だけなら,風邪,インフルエンザ,コロナウイルス感染症のいずれにも当てはまるため,まだ判断はできない。しかし,カルテの趣味欄にある「食事」について話を聞くと,「最近の食事がすべて薄味に感じられる」という。発熱に加えて味覚にも異常があるとなれば,コロナウイルス感染症が有力だ。
こうして病名を特定し,「メディカルガン」で注射器を発射すれば治療は完了する。ちなみに,注射器を当てる場所はどこでも構わない。額や目にぶち込んでも,病名さえ正しければ何のペナルティもない。
患者の身なりから情報が得られることもある。不眠を訴える男性の場合,その症状は候補となる「うつ病」「睡眠時無呼吸症候群」「カフェイン中毒」「時差ぼけ」のすべてに当てはまるように見える。
しかし,患者のシャツには琥珀色のシミが付き,カルテには「トイレが近い」と書かれている。となれば,コーヒーの飲みすぎによるカフェイン中毒が怪しい。医療ゲームでありながら,日常の経験や観察力を使って推理できるのが面白い。
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問診での会話は,正解に到達するための必須フラグではない。チェックリストも,必ず使わなければならないわけではない。なんなら,話を一切聞かずにカンで病名を選んでも構わない。
症状や患者の境遇がコメディ的に強調されているため,一言二言話を聞いただけで病名を察せることも少なくない。問診を重ねて慎重に診断するか,わずかな手がかりから即断するか。プレイヤーなりの診察スタイルで,名医ならぬ名偽医者を目指せるのである。
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命より効率を優先する。借金まみれの偽医者生活
素早く診断することには,明確なメリットがある。主人公の目的は人を助けることではなく,金を稼いで借金を返すことだからだ。
より多く稼ぐには,たくさんの患者を診察しなければならない。当然,1人にかける時間は短いほどいい。最初は患者の話をじっくり聞いていたはずが,いつの間にか時計ばかりを気にし,診察の速さを優先するようになっている。そんな自分に気付き,少し愕然とさせられる。
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金にこだわらなければならないのは,毎日,借金を返済する必要があるためだ。返済額がノルマに届かなかった場合,主人公を見張るマフィアのミスター・ブロンドに殴られ,体力が減ってしまう。
食事を抜き,浮いた金を返済に回すこともできるが,そんな生活を続ければ主人公の体調は悪化していく。さらに,役人への賄賂や,仕事に役立つアイテムの購入にも金が必要だ。
手元に現金を残してミスター・ブロンドに殴られるか,返済ノルマを優先して極貧生活にあえぐか。何を犠牲にして借金を返すのかはプレイヤー次第という,なんともブラックな生活が待っている。
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心臓マッサージから脳の交換まで。波乱続きの偽医者ライフ
こうして診察の日々を送っていると,通常の問診だけでは対処できない,特殊な急患も運び込まれてくる。
心肺停止した患者を,心臓マッサージのリズムゲームで蘇生させたかと思えば,クレーンゲームの要領で2人の脳を入れ替える珍手術に挑むこともある。主人公の偽医者ライフは波乱続きで,気が付けば試遊範囲の終わりまで一気に遊んでいた。
とにかく患者たちが個性的かつコミカルなので,次はどんな人物がやってくるのかと,もっと多くの患者を診察したくなる。
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主人公を助ける眼帯の看護師ミス・オレンジをはじめ,登場人物たちはフルボイスだ。その声がいずれも妙に味わい深く,作品のユーモラスな雰囲気をさらに強めている。
何人もの声優やコメディアンを起用しているのかと思いきや,なんと老若男女を含む登場人物の声をディレクターの根岸いさお氏が1人で演じ分けているという。
ひとたび声を聞けば「これはコメディだ」と伝わってくるほど強烈で,1人による演じ分けが,作品全体に奇妙な統一感を生み出していた。
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医者であるはずの主人公が,いつの間にか患者の命よりも診察の効率や利益を優先してしまうゲームシステムも,本作の大きな特徴だろう。
さらに作中では,政府が薬価をつり上げたため,一般の人々は普通の病院にかかれなくなっており,マフィアの病院が必要悪として求められている。荒唐無稽なコメディの裏側に,医療制度や貧困への風刺が忍ばされている点も興味深い。
笑って患者を診察しているうちに,プレイヤー自身も少しずつ,このおかしな医療システムの一部になっていく。
主人公は借金を返し,偽医者生活から抜け出せるのか。それとも,立派なブラック医者へと成長してしまうのか。物語の結末はもちろん,製品版ではどのような患者や手術が待ち受けているのか,正式リリースが楽しみになった。
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ディレクター・根岸いさお氏インタビュー
ここからは,「Dr. Oops!」のディレクターを務める根岸いさお氏へのミニインタビューをお届けする。
プラチナゲームズでゲームデザインなどに携わり,現在はBlack Tower Studiosでゲーム開発に取り組む根岸氏は,どのように本作を企画し,その診断システムやクセ者ぞろいの患者たちを作り上げたのか。BitSummitでの反響や,実在する病気を扱ううえで意識していることについても聞いた。
4Gamer:
まずは根岸さんがBlack Tower Studiosに加わった経緯と,「Dr. Oops!」の制作が始まるまでの流れを教えてください。
根岸いさお氏(以下,根岸氏):
2024年にBlack Tower Studiosの一員になりました。知人の紹介をきっかけにスタジオを知ったのですが,当時スタジオはオリジナル作品を出していこうという機運が高まり,開発体制も充実させていた時期だったそうです。
タイミングが良かったのか,入社時には「好きなものを作っていいよ」と言われました。昨今のゲーム業界を考えると,なかなかないオファーですよね。本当に幸運だったと思います。
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4Gamer:
「Dr. Oops!」はかなり尖ったユーモアのある作品ですが,そうした方向性はスタジオの社風として求められたものではなかったんですね。
根岸氏:
そうですね。本当に「好きなものを作っていい」と言われたのがすべてです。
入社前からゲーム企画の種を100個ほど考えていて,その中から,自分が作りたいものというだけでなく,スタジオの雰囲気や開発体制を生かせそうなものとして選んだのが「Dr. Oops!」でした。
4Gamer:
そもそも,医療や病気をゲームの題材にしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
根岸氏:
最初に思いついたのは,世界観ではなく遊びの部分でした。
以前,目の調子が悪くなったときに,ネットでいくつかの症状を調べて「たぶんこの病気だろう」と予想したことがあったんです。そのあと病院で診てもらって,答え合わせとなったのですが,症状から可能性を絞り込んでいく行為そのものが少し面白いなと感じました。
一つの症状だけではいろいろな病気が考えられるけれど,ほかの症状や状態と組み合わせれば絞り込める。これはゲームとして成立するのではないかと考えて,まず診断をコアの遊びにし,そこから世界観やゲーム全体の仕組みを組み立てていきました。
4Gamer:
ゲームの設定で影響を受けた作品はありますか。
根岸氏:
海外ドラマの「Dr.HOUSE」が好きだったことは影響していますね。
患者を診ていくなかで,実は本人が何かを隠していたり,嘘をついていたりする。それを証拠やヒントから解きほぐして,病気を突き止めていく。その体験をゲームにしたら面白いだろうなと思いました。
4Gamer:
ビジュアルや作品の雰囲気は「ザ・シンプソンズ」のような海外の大人向けアニメを思わせます。これは海外のアーティストやスタジオにお願いしたわけではないんですよね。
根岸氏:
アートは弊社の日本人スタッフが制作しています。このスタイルになったのは,ドライでシニカルな笑いを表現したいと考えたときに,このようなスタイルのほうが合うだろうと思ったからですね。
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4Gamer:
ゲームの仕組みは「Papers, Please」が思い浮かびますね。
根岸氏:
ええ。ゲームサイクルは「Papers, Please」を参考にしました。
「Papers, Please」も,次々にやってくる人を審査し,仕事をこなしてお金を得て,一日の終わりには厳しい支払いが待っていますよね。患者を次々に診察していくゲームにしようと考えたとき,その仕組みがうまく合うと思い,本作なりに咀嚼して取り入れました。
4Gamer:
診断システムは,最初から現在のチェックリスト形式だったのでしょうか。
根岸氏:
いえ。最初のプロトタイプでは,手元に「家庭の医学」のような事典があり,そこから病気を探す仕組みでした。
辞書や事典って,使い慣れると「この辺に載っている」と感覚で分かるようになりますよね。その感覚を遊びにできないかと思ったのですが,実際に作ってみると……端的に言って,つまらなかった(笑)。
4Gamer:
直球ですね(笑)。なぜうまくいかなかったのでしょう。
根岸氏:
どこに何が載っているか分かるのは,その本を何度も使って内容が頭に入っているからなんですよね。初めて遊ぶ人に,知らない病気がどのページにあるかまで覚えてもらうのは,ゲームとして成立しないなと。
そこでいくつか別の方法を試し,現在のチェックリスト形式に落ち着きました。
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4Gamer:
本作では架空ではなく,実在する病気が登場します。表現上の難しさもあると思いますが,それでも実在する病名を使うことにした理由を教えてください。
根岸氏:
実在する病名だからこそ成立する,ゲームとしての手応えがあったからです。
例えば耳なじみのある病気なら,いくつか症状を聞いただけで「これではないか」と自分で予想できますよね。現実の知識を使って,早押しクイズのように答えを見つけられる。それがゲームとして気持ちいいんです。
もう一つは,患者の行動や症状を聞いていって,最後に「だからこの診断につながるのか」と分かる納得感です。実際に存在する病気だからこそ,自分の知識や経験とも結びつきます。
4Gamer:
なるほど。試遊で不眠を訴える患者の検診をしているとき,「トイレが近い」と話す彼の服にコーヒーらしきシミがあるのを見て,「これはコーヒーの飲みすぎ。カフェインの摂りすぎでは?」と気付ける場面がありました。
根岸氏:
まさにそういうところですね。現実の知識があれば,会話を全部聞かなくても答えに近づけるようにしています。
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4Gamer:
実際の病気や症状を扱う以上,センシティブな題材でもあります。そこは誤った受け取られ方をしないよう,かなり慎重に考えながら作っているのでしょうか。
根岸氏:
もちろん,そこは私もかなり気を使っていますし,社内でも意見を交わしています。
一度,すべてを架空の病名に変えて試したこともありました。ただ,そうすると症状から病名につながったときの納得感や,自分の知識で解く感覚がかなり薄れてしまったんです。
4Gamer:
そこで実在する病名を使うことにしたうえで,扱い方についてもしっかり考えていると。
根岸氏:
そうですね。例えば,生まれ持った特性のようなものを,「治療すべきもの」として扱うことはしません。また,重い精神疾患などについても,そこに強く焦点を当てるような作りにはしていません。
そうした部分はチーム内だけで判断せず,さまざまな立場や考え方を持つ人から意見を聞きながら制作しています。
そして何より,病気そのものを笑いの対象にはしないことを徹底しています。笑いにつなげるのは,患者本人の突飛な行動や,病院にやってくるまでの経緯です。
4Gamer:
その線引きをしながら,一方ではコメディとしてキャラクターを立て,診断のヒントも会話に仕込まなければならない。テキスト作りはかなり大変そうです。
根岸氏:
大変ですね。毎回,大喜利のようなものですから(笑)。一緒に働いているプランナーから原案をもらうこともありますが,最終的なテキストは基本的に僕が書いています。
4Gamer:
どのようにキャラクターやテキストを作ったのでしょう。
根岸氏:
作り方はいくつかあって,病気や症状からキャラクターを考える場合もあります。
例えば,頭部へのダメージが重なり,いわゆる「パンチドランカー」と呼ばれるような症状で困っている患者がいたとすると,その人がボクサーだったりするとそれがそのままの答えになりますよね。そこで「クレーマーが来ると頭突きをしてしまうホテルマン」のように,少しひねるわけです。
逆に,先に突飛なキャラクターや状況を考え,「この人なら,どんなことで病院に来るだろう」と症状や病名を当てはめることもあります。
そこから,どんな情報を出せば迷ってもらえるか,どうミスリードするかを考え,最後に会話として面白くなるよう書き直していきます。
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4Gamer:
患者は,一度診察して終わりではないんですよね。
根岸氏:
正しく治療できれば,2回目,3回目とやってくる患者もいます。それぞれの趣味や生活から新しい出来事が起きるような,ちょっとした連続ストーリーになっています。
もちろん診断に失敗して患者が死んでしまうと,その先は見られませんけどね。
4Gamer:
第一印象の強い患者が多いのは,配信映えも意識しているのでしょうか。
根岸氏:
ある程度意識して設計しました。配信者と視聴者が一緒に病名を考えて,ツッコミを入れながら楽しんでもらえると嬉しいです。
序盤から印象に残る患者やパンチの強いミニゲームを入れたので,それらがうまく機能することを願っています。
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4Gamer:
借金返済や食費など,お金のやりくりの要素もありますね。毎日の返済ノルマを達成できないと,ミスター・ブロンドに殴られるという(笑)。
根岸氏:
ええ(笑)。ただ,殴られても体力が残っていればゲームは継続できるので,殴られることを受け入れて先へ進むこともできます。
そこはゲーム的にあまり厳しくしていない部分ですが,ただそれだけでは緊張感が足りない。現在は定期的に1000ドルや1500ドルといった大金をボスへ直接返済するイベントも加えています。こちらは払えなければゲームオーバーです。
4Gamer:
そのために,あえて普段の返済を諦めて殴られ,大きな支払いに備えることもあると。
根岸氏:
そうですね。食事を抜いて節約することもできますが,空腹が続けば体力にも影響します。
どこを我慢して,どうやりくりするかもゲームプレイの一部です。製品版では,マネジメントの部分でもしっかり苦しんでもらえると思います(笑)。
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4Gamer:
そして驚いたのが,登場人物の多くを根岸さん自身が演じていることです。なぜこうなったのでしょう。
根岸氏:
最初はブリップ音だけの予定でした。キャラクターの口を動かす実験として,試しに僕が声を当ててみたら,チーム内で妙に評判が良かったんです。
「正式にどうするか決まるまでは僕が入れておきます」と続けていたら,「このままがいい」となって(笑)。
4Gamer:
制作者自身が声を当てる,何役も演じるという意味では,「サウスパーク」などの海外アニメにも通じますね。
根岸氏:
「秘密結社 鷹の爪」っぽいと言われたこともありますね。
全部を同じおじさんが演じていることで,「これはこういうバカなゲームなんだ」と伝わって,作品に妙な統一感が出ているのかもしれません。
ただ,BitSummitに出すまでは,身内で盛り上がっているだけじゃないか,「素人っぽくてきつい」と言われたらどうしようという不安もありました。実際にはそれが面白かったと言ってもらえて,そこはホッとしました。
4Gamer:
そのBitSummitでは,ゲーム自体の反応はいかがでしたか。
根岸氏:
一番心配していたのは,診断システムを理解して楽しく遊んでもらえるのか,そしてこの笑いが通じるのかということでした。
試遊は20分ほどありましたが,途中でやめた方は3%〜5%弱くらいで,ほとんどの方が最後まで遊んでくれました。後ろから見ていると,笑顔になっていたり,海外の方が肩を揺らして笑っていたりして。それを見て,作って良かったと思いました。
4Gamer:
Steamのウィッシュリストにも影響はありましたか。
根岸氏:
ストアページを公開したのがBitSummitの前日で,ほぼゼロからのスタートでした。それが出展後に1000件ほどまで増えました。
会場では大人の方が多く,体感では半分ほどが海外の方だったと思います。ウィッシュリストを国別に見るとアメリカが最も多く,次が日本です。海外の方にも受け入れてもらえたのは良かったですね。
4Gamer:
開発は現在どのあたりまで進んでいますか。またパブリッシングについても自社タイトルとしてリリースする考えなのでしょうか。
根岸氏:
開発は佳境に入っており,9月か10月にはマスター版を完成させられるよう進めています。
開発自体はほぼ自社で完結できますが,本作は海外からの反応もいいので,販売や海外展開を二人三脚で進めてもらえるパブリッシャを探しています。
こちらから連絡したり,向こうから声をかけていただいたりして話が進んだケースもあります。ただ,スケジュールが合わなかったり,「ゲームはいいけれど,うちのレーベルのテイストとは少し違う」となったりすることもあります。
4Gamer:
インディーゲームのパブリッシャは,音楽レーベルのようにそれぞれ色や得意分野がありますよね。本作の個性に合う出会いがあることを期待しています。
最後に,「Dr. Oops!」をどのような作品にしたいと考えているのか,あらためて教えてください。
根岸氏:
「インディーゲームらしくしよう」と考えて作ったわけではありません。ただ,尖った面白さを,きちんと味わえる作品にはしたいと思っています。
中心に置いたコンセプトは,「バカでクレイジーなお医者さんごっこ」です。そこからぶれないこと。そして予算とスケジュールにきちんと収めること。その3つを守りながら作っています。
そして,病気を扱う作品という点で,表現にはきちんと気を付けなければいけないと思っています。ダークコメディだからこそ,そうした考え方を大事にしながら最後まで作り切りたいですね。
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