本作は,モールス信号で部隊を動かすターン制の戦略シミュレーションだ。プレイヤーが立つのは前線ではなく,無線で指示を送る側である。味方への命令はすべて短点と長点で打ち込み,敵が飛ばしてくる通信を傍受して次の手を読む。画面は白と黒だけで構成されている。
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主人公はレマルク(Remarque)という名の老人で,物語は病室から始まる。見舞いに来た孫がたんすから見つけた若いころの写真を手渡すと,レマルクは通信将校として戦場にいた時代を思い出す。ゲーム本編はその回想として進んでいく。舞台となるのは1950年代の戦場だ。
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戦闘はターン制で,マス目に区切られた盤面の上で進む。1ターンはCmd(命令),Wiretap Prep(傍受の準備),Ally/Enemy(実行),Wiretap(傍受)の4つのフェーズで進行する。
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命令はモールス信号で打ち込む。押すのはスペースキーで,短く押せば短点,長く押せば長点になる。語順は決まっていて,動かしたい味方がいるマスの座標,命令の略号,目標のマスの座標,そして送信を示すKの順だ。移動はMV,攻撃はATで,KはOKの略である。命令のログには「F3 MV F5 K」「C3 AT D4 K」といった行が並んでいく。前者はF3にいる味方をF5へ動かす指示,後者はC3にいる味方にD4を攻撃させる指示になる。
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特徴的なのは,命令を出した瞬間にユニットが動くわけではない点だ。命令はいったん保留され,ターンを終了したときにまとめて実行される。
そして,ターンを終了する前にもう1つやることがある。無線機の周波数合わせだ。画面左のIntelligenceの欄には,受信すべき周波数と時刻が表示される。たとえば510kHzで2時30分。プレイヤーは無線機のダイヤルを回してこの数字に合わせておく。周波数はFrequencyのF,時刻はTimeのTだ。ここが合っていれば,そのターンに敵が飛ばす通信を傍受できる。ダイヤルはスペースキーで100kHz単位,左右キーで1kHz単位で動かせる。
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時計が指定の時刻を指すと,雑音のなかに短点と長点が混じり始める。符号は解読された状態で,画面のNotepadに1文字ずつ並んでいく。VVVに続いて,D4,AT,C3,K。こちらが命令を打つときとまったく同じ語順である。D4にいる敵が,C3を攻撃する。そしてC3のマスに立っているのは,こちらの兵士だ。あとは単純で,C3の味方を別のマスへ逃がしておけばいい。敵が次に何をしようとしているのかは,通信を拾えるかどうかで決まる。暗闇の戦場という設定が,そのまま情報のゲームとして設計されている。
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当然,モールス信号を知らない人はどうするのか,という疑問が出てくる。Kim氏によれば,韓国でもモールス信号を読める人はほとんどいないという。SOSを知っている程度が一般的な水準だ。
だからチュートリアルには手を入れ続けてきたという。1文字ずつ打つところから始まり,座標の見方,確認の仕方と,順を追って教えていく。画面にはアルファベットと数字の符号の一覧が常時表示されており,どの符号がどの文字なのかを見ながら打てる。会場のブースの机にも,紙の対応表が置かれていた。
これまで各地の展示会に出展を重ね,そのたびに反応を見て調整してきた結果が,BIC2026で動いていたビルドである。
難しいという反応は当然あり,見ただけで敬遠する来場者もいる。それでも一度座らせてしまえば,10分ほどで大半の人が問題なく入力できるようになるという。展示会に何度も足を運ぶ常連のなかには,よく使う符号なら表を見ずに打てるようになった人もいるそうだ。
モールス信号は,本作の見た目そのものも決めている。画面が白黒なのに理由を聞くと,短点と長点の2種類しかないのだから色も2つでいい,という答えが返ってきた。そういう発想から,白と黒だけで作ることにしたのだという。
本作を開発しているのは,Kim Sijun氏ひとりである。プログラムだけでなく,グラフィックスもすべて自分で描いている。現在遊べる1時間ほどの分量まで作るのに,およそ8か月かかったとのことだ。
Kim氏は現役の大学生で,専攻は植物学である。ゲーム開発とは関係のない学科で,本作は卒業制作でもない。時間ができたときに個人で作り進めてきたものだ。
モールス信号を題材にしたのは,ゲームシステムにしたら面白いのではないかと思いついたのが先で,実際にプロトタイプを作ってみたら自分でも面白かったので,そのまま今の形まで発展させたという。
現在マップに登場するユニットは偵察兵,歩兵,狙撃兵の3種類だが,今後は種類を増やしたいという。また,山のような高い場所にいるユニットは攻撃力が上がる,といった要素を加えて戦術の幅を広げる計画もあるそうだ。
完成時期の目標は,2027年の第1四半期から第2四半期。遅くとも6月までには仕上げたいとのことだった。
「War In The Dark」のSteamストアページには2027年第1四半期のリリース予定と記載されており,デモ版が公開されている。対応言語には日本語も並んでいるが,こちらは現時点ではAIによる翻訳とのことだ。



















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